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世界視点で戦う

 新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 今年も既存のお手伝い先、そして今はまだ出会っていない新しいお手伝い先に「新しい価値」を提供していけるよう努力してまいりたいと思います。

「新しい価値」はどこにある?

 ついつい私たちは、自分たちが「市場に働きかける」ことができるような錯覚に陥りがちですが、そんなことはトヨタでもできません。できるのは、「今ある市場に対応する」ことだけです。
 しかし、その結果として、日本では30年にわたり財・サービスの低価格と、労働の低賃金が維持され、世界に大きく遅れ、貧困化が進んできました。これは、本当に、「市場に対応してきた」ことだったのだろうか?そして、持続可能なことだったのだろうか?ということをここ1,2年の世界の状況を見ていて考えています。

 海外赴任経験のある方、あるいは海外からの調達担当の方はよくよくご存じのことと思いますが、日本企業の過剰な品質への要求、文書の提出要求などは近年では、資本関係のない海外調達先からは、「ほぼ無視」が当たり前になっています。それどころか、品薄のものを後からオーダーして高値を提示するアメリカ、中国の企業にかすめ取られて日本市場には回ってこない、ということも当たり前のように見かけるようになりました。(これは10数年前から実はあったことなのですが、当時はそれでもクリスマスシーズン前の超大手に対する「負け」という感じで受け止めていました)
 一方で経営者と話していて、ここ数年で何度も「それは現代の日本市場では無理だね。中国市場を考えるか東南アジアのコングロマリット(あるいはC向けなら富裕層)にアプローチした方がいいね。」という話になることが何度もありました。もちろん、経営体の投資選択はそこそこ大きいスイッチングコストを乗り越えなければならないことは承知していますが、それ以前に業界によっては、競争的な環境がなく合理化意欲がないし、あるいは別の業界では市場が縮小観測が強すぎる中で残存利益狙いという戦略でもなければ撤退を選択するでもなく、ただただ投資を抑えてコストを抑えるという行動が中心になってしまっている、という場面が、特に成熟した業界では多くみられました。

 もちろん、市場のすべてがそうというわけではなく、富裕層の消費意欲は旺盛ですし、一部には投資による改善意欲の旺盛な企業もあります。そういう少数派のマーケットに特化していけばもちろん可能性は見いだせなくはありません。一言で言ってしまえば「市場の選択を誤っている」という事は言えると思います。
 ただし、そんな一言で片づけられるほど簡単というわけでもありません。市場が縮小する中で、さらに市場を細かくセグメント分けして小さな売り上げを複数立てることを目指し、そこに向けて従来のようなスピードとコストで製品開発していては余計窮地に陥るに決まっています。小さい市場を相手にするには、今までと異なるレベルのスピード感、固定費のかからない開発手法が必要であり、それには気合ではなく、方法論の変革が必要となります。
 そして、それを支える人事・財務などの仕組みもまた変わっていかざるを得ないのです。こうした「会社のクロックサイクルをブーストする」ということに今年はこだわって取り組んでいきたいと思っています。これが弊社の提供する「新しい価値」です。

中小企業に危機感を

 一般には、中小企業は、こうした「小さな市場に向けたきめ細かく素早い対応に優れている」と言われてきました。しかし、これは大いなる自己欺瞞であると言わざるを得ません。商品市場でも、労働市場でも、何とか変わろうとチャレンジしているのは、有名大企業の方であり、変革力を失い硬直化・陳腐化している、さらに言えば社員が高齢化し組織が固定化している、結果として窮地により近づいているのは、むしろ中小企業のほうです。(これもみんながそうというわけではありませんが)アフターコロナの市場変化について行けない中小企業は今年、たくさん表面化してくることでしょう。

 そういう会社と話していると、幹部もそして経営者すらも「老いている」と感じることが多くあります。これは実年齢の話ではなく、「あれこれ理由をつけて痛みを伴う変革をやらない」「リスクを取らない」「現状維持を前提にする」などの姿勢を指しています。それでも拡大市場にいるときには、何とでもなるのですが、市場の拡大が止まって競争が激化していることを直視しようとしないようなケースもあります。もちろんこれを指摘した時点で弊社の失注は決まるわけですが…そのままでは受けたくもないですね。成果でないですもん。

 弊社だけで何かが変わるわけではありませんが、これまで政策的に延命されてきた膨大な数の中小企業にとって、市場が縮小し、変化することが目に見えてくる今、非常に厳しい時期が訪れつつあるのだと考えています。

世界視点

 今年は意識して、一つの大きな枠組みを経営者の方にもご説明し共有していきたいと思っています。それは、「世界視点」ということです。日本の市場に対応する、ということはその消費者の細かい要求に答えることとイコールではありません。クレームを受けたら必ず改善しなければならないということもありませんし、価格を維持したまま、無理な納期に答える必要もありません。そんなことは日本以外、世界中の誰もやっていないのです。

 ただ、全体として重要な品質の改善やコストの削減を自分たちのマーケット観に従い計画的に粛々と進めて、そこそこの品質のものを国際的にそこそこの価格で出せばよいのです。そして、それでも買ってくれる層が世界はもちろん、日本にも必ずいるが、それは今の顧客ではないことが多いということです。そして、なぜそのようなポジション設定なのか?それは誰にとってメリットがあるのか?をきちんと主張すればよいのであって、最安値である必要はないのです。

 そして、高く仕入れて、高く売り、社員も取引先も設けて、会社は投資をしてさらに利益が出るから会社は強くなれる、という当たり前の循環を取り戻さなければ、持続的とは言えません。

人を大事に

 「もっと乱暴に人を斬っていくのかと思っていた」とお付き合いした経営者に言われますが、そんなこと日本ではできません。できたとしてもやる必要もありません。会社の進むべき方向と、必要としている人材像、求める成果を明らかにして、それにフィットしている人、フィットしようとアジャストを進めている人を人事評価という制度を通じて大事にし、そうではない人は「求める像から乖離している」ことを明らかにすればよいだけのことです。その意味では、「大事に」は、「保護する」という意味ではありません。「必要な社員だけを厚遇する」と言った方がよいかと思います。ただし、経営者も内心文句はたくさんあろうかと思いますが、今の事業を前提にすれば、7,8割は「必要な社員」であるはずであり、実際には言葉でいうほど過激な結果にはならないのです。

 ただ、それを行うには、膨大なエネルギーが必要であり、特に管理職の認識改革が必要です。そして、多くの場合、その改革はできず、若手からの抜擢が必要になるのが現実です。そうしていくうちに、組織は自然と「経営者の望む姿」になっていくのだと思います。すべては経営者の「あるべき像」の言語化から始まるのですが、その言語化は誰でもできることではなく、そこに当社としては変える力をはたらかせていきたいと思っています。

というわけで2022年は、こんなことに取り組んでいきたいと思っています。

 

 

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