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「現場感覚」と「経営感覚」 2021年を振り返って

「楽して儲けるプラン」

 去年の今頃は、「楽して儲ける」方法を一生懸命考えていて、2021年に実行に移そうと思っていました。具体的には、コンテンツ販売であったり、スクール運営であったりを具体化しようとしていました。コンテンツ販売は、こちらでは積極的にとりあげなかったのですが、実は一つはこちらで協業で具体化しています。力のあるパートナー様のおかげでそこそこの収入になりました。

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 上場系列の専門コンサル会社の代表を辞して早くも3年半がたちました。きぼうパートナー開業してからというもの、お取引先様やパートナーに恵まれて常に対応をお待たせしている待ち行列がある状態が解消しないまま、かなりの過重労働が続いていたため、「このままでは長くは続かない」という危機感もありました。また、むやみに増員すると、対応品質の平均値が下がってしまうということに対して、時間稼働を掛けないでも上がる売り上げを確保したうえで、時間を有効に価値(金銭対価というだけでなく)を感じるものに使っていきたいとも思っていたのがその検討の理由です。

 ただ、企画して試行してみると、ちょっとやはり違和感がありました。多くの中小企業が抱える問題は、文章やテキストで説明が比較的しやすい「何をやるか」ではなく、「どうやるか」がより大きいのですが、その「どうやるか」の問題をより一般化して伝えようとすると、非常に抽象度が高くなり伝わりにくいものになるという問題に直面したからです。(その抽象度の高いコンテンツは結局、このブログに特集連載的に記載しているような内容になってしまいます)
 多くの会社で起きている問題は、「何をやるべきかなんて10年前から分かっているが、それが10年たっても誰もやり遂げられない」ということです。そして、それは、時間配分や組織の優先度や評価制度など「仕組みの問題」であり、それを運用する「組織のリーダー」の問題であることが多く、「人の不合理性や怠惰さ」を受け入れたうえでそれにどう対処するかの問題です。読んで納得できることと、それが実行できることとの間には大きな谷があることは分かっていて、それが私たちの取り組むイシューなのです。しかし、これをコンテンツで習得することはうまくできそうにありませんでした。

「現場感覚」

というわけで、今年後半からは、再度いくつかの現場に入り込むことを厭わず受けるようにしまして、20代(毎日1時に終えて、7時に出社する日々…)以来のハードワークの日々を過ごしています。現場に入り込む以上、「システム操作」や「デイリー業務」の一つ一つを自分でやれる程度には理解し、そのうえで自動化したり、定型化したり、あるいは構造上の問題点の解消や業務の廃止に、ひいひいいうメンバーを半ば置き去りにして毎日いくつも取り組んでいくわけです。それをここでは、仮に「現場感覚」と呼ぶことにします。

 ところが、現場に入り込んで構造改革に取り組むことを経営者と握ったはずなのですが、経営者の側はついつい便利な企画担当としても私を利用しようとします。どうしても「現場感覚に基づいて経営判断を行い、それを簡明な説明をする」ではなく、「現場作業員」へと押し流す力が働き続けます。これはある程度はやむをえないと思っている部分もあり、受け入れつつ、スタッフからの要請には拒絶するなどしてやりくりします。これに流されてしまうと、コンサルでもなんでもなくてただの作業請負になってしまうからです。

ただ、これは別の解釈の仕方をすると、「どうやるか」の問題のかなりの部分は、無駄作業を廃止したり、アウトソーシングしたりしてもなお、作業キャパシティ・特にプロジェクト的業務、代表的なものは企画設計に関する品質や完工能力が組織に大きく不足していることにあり、そこをまずは一時的に弊社が補うことが成果を出すには必要になっているのです。
 そして、その場は私が解決するにしても、その解決を組織として次にはできるようにするにはどうするか?をその経験を目にして納得がいく状態の時に組織に組み込んでいく、という作業を続けていくことで組織は改善されていくのです

ただ、これは別の解釈の仕方をすると、「どうやるか」の問題のかなりの部分は、無駄作業を廃止したり、アウトソーシングしたりしてもなお、作業キャパシティ・特にプロジェクト的業務、代表的なものは企画設計に関する品質や完工能力が組織に大きく不足していることにあり、そこをまずは一時的に弊社が補うことが成果を出すにはつべこべ言っていないで必要になっているのです。

「経営感覚」

 しかし、現場にいても、現場に流されるわけにはいきません。多くの組織メンバーは、KPIを追わされることを拒否しようとしますし、新メンバーを入れて競争的環境を作ることを嫌がります。組織には「今のままでいよう」とする力が働き、多くの管理者はそれに抗うことをあきらめてしまっています。特に中小企業の場合、組織が長く固定的であるため、長期安定した人間関係をベースに仕事をすることが必要であると思ってしまう素地があります。そのため、管理者が経営の意思を実現するための管理者でなく、「年取った仲間」になってしまっている事例が多いのです。

 そういう「だらけた」組織はあちらこちらにあり、そこに平気でこうしたことを口にする管理者を採用して投入することはなかなか実現できないことです。しかも、その管理者は短期的に成果を出していかないと急速にレームダック化してしまいます。それをわかって、心を鬼とは言いませんが、無にして、人が嫌がる(が、実はわかっている)ことを言い切り、とにかく成果に向けてやり切ることをやっているのです。それは「経営の意思を現場に反映する」という本来は管理者の役割であり、人事の役割が不全になっているところに薬物治療を行っている、という意味であり、「経営感覚」を現場に投入する、ということです。同時に、「やらなくてもお互いがお互いを許してきた共同体」を壊していくという意味もあります。

 こうした「経営感覚」の注入が、「現場に入る」意味だと考えています。

 今年の現場改革は、クライアントである経営者の皆様、そして若手メンバーの協力により数字も状況の改善という意味でも概ね満足のいく結果となりました。とはいっても、その成果は市場環境の後押しを受けたものであったり、売上は上がっても利益は改善の余地があったりと「道半ば」なのも事実です。やってみて感じるのは「半年やそこらでは組織は完成しない」という当たり前のことでした。ただ、それが完成するまで見届けるのではなく、完成に向けて自ら動いていける組織を作ったうえで、「大政奉還」を実現して去る、というのが弊社の責務なわけですし、そんな立派な例え以前に、私の体力と時間にも限りがあります。

 来年は、そうした「大政奉還を実現する」、そして、その実績をもとに、新たな活躍の場を求めていく、ということを形にしていきたいと思っています。大変ですが、これが一番性に合っている、と納得できたことが、今年一番大事な私の得たものでした。

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