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専門家力

①EXCEL達人と呼ばれて…

 弊社は本当は、事業ドメイン設定と全社から個人レベルまでの目標設定など組織運営のプロ、ということを売りものにしていたのだが、実業としてはそのあとの遂行段階での業務プロセス改善のプロという要素の方が売上構成要素としては圧倒的に大きくなっている。それに合わせて、「口だけでなく、遂行まで責任もって受ける」という言い方にして営業しているが、実情としてEXCELとシステム化の作業がなんだかとても多くなっている。まあ、それでも「あいつに任せると担当の時間が半分空けられる」と言ってもらえることは仕事をしていくうえでありがたいことであるし、現場にいるときは、「EXCEL達人」扱いでもよいのであって、それは部分でしかないということは経営者にわかってもらえればよい。

 ちなみに私よりもEXCELに詳しい人はいくらでもいる。調べながら試行錯誤しながらやっている。私がそう呼ばれるのは詳しいからではなくて、「そんなのもっと半自動で定型化できるでしょ!」と一日に何度も言い放ち、それをやって見せて若い社員さんをうなだらせるからであり、「仕組み化」への情欲が強いというだけのことである。

②デコレーターさん

 そんな私にも、「自分にやらせてはダメです」と公言せざるを得ない分野がある。それは、「美」に関する部分。全くセンスがない。自分が作れない、というだけではなくて、どんな見せ方がありうるのかや、それをどのように表現するのか、ということもあまりよく知らないし、そもそも良し悪しの判断からして怪しい。
 言い訳としては、いい歳のおじさんが、自分の趣味等で詳しい範囲外で、この「良し悪し」をわかると思っていること自体が危険であり、せめてその分野のターゲットセグメントである層に話を聞いて参考にするなど、「自分は分かっていない」ということを前提にした判断をすることが良識だと思っている。

 そんな私が少し前に、「ハンガーラック」のwebページのプロデュースをする必要が生じた。長期的には、ターゲットセグメントに提案力のあるプロダクツを新たに開発して…ということになるわけだが、そんなごもっとな話の前に、今ある「量産型」「丈夫で質実剛健を売り物にする低価格品(実は質はかなり高い)」をそうではなく、「使い方次第ではおしゃれで便利です」というお話をweb上でする必要がある。「今、できる改善を迅速に行う」ことは経営者の重要な関心事である。

 というわけで「自分」をあきらめて、プロのカメラマンお一人と、デコレーターと呼ばれる、演出を行うプロ2名に協力をお願いした。
 結果を、お客様の宣伝を兼ねてお見せしましょう。

従来…
今回撮影の画像例①
今回撮影の画像例②

この撮影シーンは、男性のリビングと、女性のマンションの玄関を想定したものなのですが、そもそもラックを玄関に置く、という発想自体がこれまで数万台を販売してきたこの会社からは一度も出てきたものがないものでしたが、デコレーターお二人が最初に言った「例えばこんなシーン」が玄関だったのです。そして、私にはコーディネート力がないので、小物選定から演出まで一式お願いしたい旨をご依頼すると、こうした小物類を用意して撮影の準備をしてくれました。
 また、中小企業は予算が限られているものですが、そのため、ハウススタジオでの撮影を避けたい旨を相談すると、お客様の社内をロケハンし、撮影可能な場所を探し出してくれ撮影してくれました。実は、このマンションの玄関風の写真、普通のオフィスビルの一角をうまく利用して撮影したものなのです。「玄関風」のシナリオは事前にスケッチをいただいていたのですが、どこでどうするのか、当日その場になるまでわかりませんでしたが、出来上がってみるとたしかに「玄関」です。

 当日の撮影でも、私がディレクションするだけの経験がないので、カメラマンさんと進んで相談しながらデコレーターさんがどんどん進めてくださいました。カメラマンさんの方も、商業写真だけではなく、ポートレートなども行っている方だったので照明の当て方や演出の意図などをすぐにわかって要領よくまとめてくれるので、私のような素人プロデューサーでも、ちゃんとした写真ができた、というわけです。

 もちろん世の中には、こうした分野の専門家がいることは(もともと私は広告代理店業の役員をしていた時期もありましたので)知っていましたが、今回の3人が「プロだな」と思ったのは、中小企業の限られた製品、予算、時間の中でできうる工夫を最大限することを当然のようにしてくれたこと、そして、ディレクション力不足に対して、どんどん牽引して撮影現場をこなしてくれたことです。経験も予算も少ない中小企業にはもってこいのプロに恵まれたのでした。

 へえ、と思ったら上の画像リンクからご購入ください。

③SO設計

 そんな日々の中、別のお手伝い先でストックオプションの設計を行うがアドバイスして欲しいというオファーがあった。概要はもちろん知っているが、最近の潮流(辞めてももらえるタイプなど多様化が進んでいる)まできちんと追えているわけではないこともあるし、法的、税務的見地からの事前検討など、各専門家の助言が資格的に必要な部分もある。そうした部分に直接対応できないのが、「何でも屋」きぼうパートナーのつらいところ。

 しかも、そのお手伝い先には、メガバンク系信託銀行の魔の手が伸びようとしていた。銀行なんて、自分たちに都合の良いことしか言わないに決まっているわけで、その前に「全体像を俯瞰的に理解し、今後の進め方とアドバイザーを手に入れて」、銀行の話を聞ける体制を作る必要がある。というわけで、この分野にかなり詳しい士業の方を推薦して話を聞いてもらった。私も勉強のために同席したかったのだが…システムトラブルが相次いでいる時期でできなかった。

 私が、きぼうパートナーのドメインを「中小企業の変革」に置いたのは、(大企業がそんな一個人に発注しないからという現実は別として)、いわゆる「コンサル」が中小企業にとっては高くてしかも、「ありがたい念仏」状態で実効性がないという現状を自分ならば目の前の数件だけであっても変えられる、と思ったからでした。それは、3年余りがたち、間違っていなかった。自分は存在価値を発揮できていると思っています。
 しかし、中小企業の現場に立ち入ってみると、そこにはちゃんと中小企業をサポートできるような力量と意欲を持つ専門家たちが決して多くはないもののちゃんといたことも事実で、今回の方々もそんな方々でした。そうしたネットワークを手に入れていけ、そして案件が来たときに、「いい人知っているんですよ。ご紹介しますよ」と言えることもまた、この仕事のだいご味です。

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