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「何がお金を生んでいるのか?」オペレーショナルエクセレンス①

社員の時間は有限です。能力も有限です。そのことをついつい忘れた指示をして、結果に腹を立てる経営者のなんと多いことか…

何かを改善しようとするときに、改善ポイントを見つけることは簡単なことです。知らないのは経営者のあなただけで現場はみんな普段から気づいていて、それを形にしていないだけなのですから。では、それを片っ端から片付けて行けばよいか?というと、リストに整理するのはよいですが、どこから手を付けるか?はよくよく考える必要があります。適当に手を付けていくのは、費用と時間だけかかって、効果が思ったほどでない、ということの主な原因です。というのも、たいてい社員が手を付けるのは、末端の現象、それもあまり大きくはないものであるからです。

「根本の問題」に手を付ければ、いくつかの主要な問題が同時に改善する、という考え方-これをトヨタでは5Whyとよび、制約条件理論では、「ボトルネック」と呼びます-それはその通りですし、それがどこなのかを図に可視化して示せれば、皆にも理解しやすいので、私も多用しますが、最初の段階では普通の会社ではこれがなかなかわかりません。「だんだんくっきりとわかってくる」というのが実情であり、私だって、なかなか最初からはわかりません。こういう「賢い人がいる前提」での方法論は、多くの中小企業では役立ちません。「回し方」の本はいくらでもありますが、「回し始めるにはどうするか?」の本、それも具体的な方法の記述はほとんどないのです。その「実用的な変え方」をチェンジマネジメントの先導者たる弊社で全部公開して見せましょう、というのがこのシリーズです。

前回、「オペレーショナルエクセレンス」を実現するための手順21個を上げましたが、これからしばらく、これをひとつひとつご説明していくこととします。これらは次善策でもよいから、どの会社でもできる方法はないか?というのが根底にあります。(前回記事はこちら)

1 業務のうち、売上の80%を生み出す上位のものを洗い出す。(おそらくそれは全業務量の2,30%)

そもそも、「あなたの会社にはいくつの業務や商品がありますか?」と聞いて、答えられますか?長い年月の間に、いろいろなことをやるようになっていて、いつの間にか全容が誰にもわからなくなっているのではないでしょうか?

まず手始めにここから始めましょう。「部門」でも「顧客」でもなく、「業務」で分類するので、「だいたい同じだが、派生」というのは一つにまとめてしまい、同じ部門で担当していても、別々のフローや納品物なら別の業務です。わかりやすい定義を決めるならば、「インプットとアウトプットが同じものは同じ業務」という言い方が良いと思います。それでも、「請求書の数だけ業務がある」と言うならば、それでもよいでしょう。

具体的には、過去12か月の請求データ(顧客名・金額あり)をEXCELにもってきて、その右側の列に、「業務名」「業務番号」を書いていってください。2シート目にそのリストを別に作成し、1シート目のその列の「入力規則」で「リストから選択」にしてやるとよいのですが、これもやり方がわからなければ、手作業であとから不揃いな箇所を直してもかまいません。「フィルタ」で入力済みのものを非表示にしたり、同じ業務は同じ記載をしている場合は、文字列フィルタで表示して、一気に入力したりすれば、1000や2000ならば、その日のうちに終わるはずです。中小企業の経営分析なんて、たいていEXCEL上で力づくでやれるもので、「覚悟の問題」です。最後にたいてい、例外的なもの、これ雑収入じゃないのか?みたいなものが残りますが、それは、深く考えずに「その他」でよいです。この分類を把握することを経営者であるあなたができないとしたら…それは問題だと思います。方法論の不足する経営者はいくらでもお助けできますが、現場と社員を知らない経営者は助けられません。

分類の付与が終わったら、これらの業務を業務別に売り上げを集計してください。先ほどエクセルで2シート目に選択リストを作成した方は、その横に「SUMIF]で集計すれば一発ですし、集計という機能もあります。そうでなくても「業務名」で並べ替えて、順番に手作業で集計すればよいです。選択肢から選ぶ方法を使わないと、たいてい分類の表記が揺らいでいて、同じ分類で違う表記のものが生まれているので、これらを直しながら集計する必要があります。(分類で並べ替えるとわかりやすいです)

経営管理に慣れている方は、「これって、『売上』じゃなくて、『粗利』(売上総利益)じゃないの?」と思われたかもしれませんが、その通りです。本当は利益順で80%にしたいし、それがお持ちのデータでできそうならそうしてください。その際には、できれば販管費に入ってしまっている「直接費」も加味してください。

-売上で結構なわけ-

多くの中小企業は、1個1個の業務にきちんと仕入や直接費を紐づけて管理する、ということは実現できていません。そして、そのことに手をつけようとすると、また、1,2週間が無為に過ぎていきます。私がこれを依頼される場合は、結構な時間と作業量を費やして、1,2日で無理やりでも「粗利」の集計を行うのですが、この集計が原因で先に進めないぐらいならば、この段階では「売上」でも構いません。

また、減価償却費や人件費、共通費はこの時には考える必要はありません、「キャッシュを生み出しているかどうか」だけに関心があるからです。だが、長年の考え方が染みついた人に、この「キャッシュフローで考える」を説明しても納得いかないという方が結構いて進捗の障害になるのです。そんなことならば、とりえず、売上でやってしまえばよいです。

売上が大きいもので利益率が低いものは何等かの利益率の改善方法がきっとあります。逆に、売上が小さいものは、改善できる手法も限られているし、改善できたとしても利益(プラスのキャッシュ)の絶対額は限られています。また、粗利率が高いものを「売ってこい」といったところで、実際には早々行動や結果は変わりません。ならば、現状の「売上」をベースに考えた方が現実解ということは多くあるのです。

-並べ替えて眺めてみると-

さて、ここまで出来たら、業務別に売り上げを大きい順に並べてください。そして、全売上の80%を占める業務は上位からどこまでであるかを確認してください。よく「パレートの法則」と称しますが、だいたい…全業務数の3,4割で80%を占めていることが多いです。これを利益でやると、たいてい、パレートの法則の通り、2割以下になります。

つまり、売上や利益は「偏在」していて、その一部の業務で利益の80%を稼いでいるのに、残りの20%の売上・利益ために、エース級の人材の時間や、倉庫のスペース、あるいは採用・習熟のコストなどをかけている状況になっているのです。たいていこれらの中にはきちんと計算すると不採算なものが含まれています。

この「効率の悪い」業務を維持する日本の経営者の理由(言い訳)は様々です。代表的なのは、「売上と雇用を維持すること」や、「今後伸ばす」…などです。たしかに、昨年始めた業務は「今後伸ばす」でよいのですが、10年たってもそう言っているケースが良くあります。そういう「言霊信仰」(願望)ではなく、「結果のデータ」で判断する必要があるのです。

また、「雇用を維持する」は認めることにしても、上の計算では、「人件費」は加味されていません。つまり、「時間をかけてもほとんど稼ぎ出していないか、むしろ仕入と経費だけでも赤字」という業務が社内には多くある、ということを示しているのです。多くの中小企業は、「売上高至上主義」に陥っています。これには自社だけでなく、スキルの低い金融機関の原因など様々な要因があるのですが、ここでは置いておきます。その一番大きい理由は、「売り上げは徐々に大きくなるのが正常」という自分の思い込み、世間の目です。だから、利益率は低くて当たり前と思っているのです。しかし、これは、「昭和の遺産」であり、日本人の給料が上がらない最大の原因でもあります。これから説明するのは、そうではなく「時間当たりの利益を拡大する」方法ですので、この思い込みは必死で振り払っておいてください。

このように「あってもなくても同じ」「あるだけ損」な業務に対処して「資源配分の不効率」を正していく、というのがまず最初にやることです。ただし、この段階ですぐにこの「不効率な大多数を止める」という方向には行きません。これは最後の最後に整理することにして、まず、この少ししかない「稼ぎ頭」を効率的にし、もっと稼げる仕組みにすることを先に着手します。つまり、ここでやったのは、「対処すべきものを絞り込んだ」ということです。

次回②は、その実務的な分析作業 「各業務のインプットとアウトプットを明確に定義する。」からご説明したいと思います。07

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