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名刺から小さな会社の顧客DB構築①

少し前まで私の名刺は茶色い紙でした。実は用紙選択ミスで茶色と知らずに茶色を選んでしまったところ、意外にも渡された方に好評でしてなくなるまで追加発注していなかったのですが、皆さんは背景が白以外の名刺はおやめになった方が無難です。これが今日の一番目のトピックスです。

昔は机の中に紙の名刺がいっぱい入っていて、整理のいい人は時間順なのかジャンル別なのか名刺ファイルにキチンと整理しているのですが、そうではない人はぐちゃぐちゃになっていました。年に200枚程度はコンスタントに集まるし、その多くは一回限りの方なので仕方がないと言えば仕方がない。その中で使いそうなものだけ紙で持ち歩いていました。

仕事で携帯電話を使うようになったのは、2000年代半ばからですが、当初の携帯電話は今のスマホと異なり、電話帳機能の件数が限られていました。そのため、営業関連の仕事をしている人からは、「なるべく電話帳件数の多いものを選びたい」ということと、「今までの電話帳を互換性がある状態で移植したい。」という要望を多く聞きました。

今はスマホ全盛になり、連絡先もスマホ本体だけでなく、LINEや名刺登録アプリからも登録され、それらが連動するような形をとるものが多くなり件数の心配をする必要はなくなりました。その中で自動読み取り(OCR)機能の付いた名刺管理ソフトを用いる方が増えていますが、その時に、誤読が一定数は発生します。それを皆がキチンと修正登録してくれるわけではないし、この名刺管理ソフトを使う方は、登録したあと、名刺本体は持ち歩きません。(撮影した画像はあとから参照できますが)。そのため、連絡をきちんとお互い取りあえるような関係になるためには、いくつか工夫が必要です。

小さな会社でバラバラで集めた顧客候補を一元化して、メールサービスをこうちくしようということを今取り組んでいるところでしてそれに関連したトピックを3回に分けて記載します。

①名刺OCR時代に有利な名刺

これはあまり言う人がいないのですが、これからの名刺デザインは、名刺OCRを前提であるべきだと思います。その方が、少しでも連絡先として活用される可能性が高まるからです。具体的には次の点です。

  • 名刺表面内に横、または縦方向に色塗り部を設けない。…2枚の名刺と誤認する。
  • 色塗り部に文字を載せない。文字の背景色は白…OCRは色ではなく反射率の差異を利用するため、人間には読めても色があると機械には読めない。
  • 住所の中の漢数字の「一」の使用を控える。また、1も頭と末尾の線が見えるようなフォントを用いる。(一は―と誤認識し、1は|と誤認識する)
  • 漢字フォントは隷書、行書等の書体を用いない。(某政府系研究機関の組織名ロゴが立派な隷書体「だけ」でして、まったく認識されません。ロゴとしての社名を乗せるのであれば、社名は別に記載する。)
  • 表と裏に連絡先情報を分散させない。(OCRは片面にしか対応していません。裏面の情報は手作業で登録が必要になります。)

フリーライターやデザイナーの方で色の紙に銀箔押しの印字というような方がおられますが…登録できません。手作業で登録する気力もないので、連絡取れません。先日、必要が生じて箱の中から20分ぐらいかけて探し出しました。

②名刺の裏

 この部分、余談ですが、ご紹介する機会がないものでここでご紹介させてもらいます。私は名刺を会社案内替わりにしていまして、二つ折の内面を事業案内にしています。いまだに不思議そうにしげしげと見られるのですが、時々ほかにも簡単な会社案内にされて、うまく商談に差し込んでいる方を見かけます。本当は商談の最初に立派な会社案内を差し出せればよいのですが、こうした代替方法も一案だと思います。なお、私の師匠は以前2つ折りではなく、3つ折りを使われていました。さすがに量が多くて文字は読む気になれませんでしたが。

③どうやって集約して会社として使うべきなのか?

SalesForce連動とか、CRM連動とか、関連サービス業界の方はいろいろ言いますが、これらは小さい会社ではやらない方がよいです。高い割には効果がない。理由は以前、こちらにまとめました。一年近くたちましたが、状況は大きくは変わっていないと思います。

③顧客DBを作る

 今回もそうなのですが、社内で個人がバラバラの名刺管理を使っている、あるいは営業以外の職種だとその必要性自体も低くて紙のままある、という時に、改めて、メールで情報を提供しよう、ですとかDM施策を考えよう、と思った時に、社内に社内にデータベースがあらかじめあればよいのに…と思うわけです。ところが、こうした「万能の用途」に対応できるデータベースを用意しようと思うと、名前住所電話番号等連絡先情報のほかに、業種や年齢、性別等…多くの属性を入力しなければならず、結局それを誰もやってくれない(売れる人に限って、こうしたことを面倒がってやってくれない)という状況に陥ります。これを経営側で強制しようとすると、今度はこうした大した生産性のない作業に「女子社員を毎週一定時間張り付ける」というような行動に管理者が出ます。それでも、新用途に使おうと思うと結局新しい属性が必要になります。そして…登録されている情報のかなりの部分が退職や異動で使えないのですが、それをあらかじめクリーニングすることがとても困難です。

 だから、大きなシステム導入はあまりお薦めではない。他の社員の名刺を検索できるぐらいが本当はちょうどよいのだが、それも結構高くて新興企業には負担が大きい、というか、他にお金を使いたいことが沢山ある。そのため、普段から各自が個人のスマホでできる範囲でクリーニングしながら管理しておいて、必要な時に必要な分だけデータ整理して、(現に今いる人が知っていてその関連部署にいるとわかっている)母集団を作成する(数百の範囲ならば)ということが、現実解になってしまうのです。

とすると、必要なのは、全社で名刺アプリを統一しておく。そしてそのアプリは「データがCSVでダウンロードできる必要がある。」ということです。今のところはWantedly Peopleが無償でこの条件を満たしています。

さらにいうと、今時同じ業務を長くやっている人は少ないし、転職も盛んなため、膨大な名刺を持っていたとしても、今の対象プロジェクトでその対象となる人は実はそんなに多くありません。一般の社員では数名~十数名ということも多く、実は0から構築してもさほど問題はないのです。そして、多くの場合、その新しい顧客DB構築にあたって必要な名刺を一番多く持っているのは、いつでも社長、それが難しいとしても部長です。つまり、部長に「新たな顧客DBの構築を相談し、承認してもらったら、関係がありそうな名刺を紙で貸してもらってOCR機能で入力する」ということが母集団を作るのに一番近道だということです。部長に名刺を逐次入力してほしいとか、データをダウンロードしてクリーニングしてくれ、と言ってもなかなか時間的に(実はスキル的に)やり切れない会社が多いと思いますが、それでも一番決算権者と会ったり広い範囲と会っているのは「部長」というのが現実なのです。

そうして部長の名刺を整理できると、多くの部下の差し出す名刺は実は、その商談に同席した際に貰った同じ人のものということが多くあり、独自に収集したものはそれほど多くないことが多いので、重複削除をしなくても、そこへコピペしていくだけでデータが増やせることが多くあります。

この母集団を作るのがものすごく大変で、誰もやり遂げられないのです。しかし、ポイントがどこ(部長)にあるかを見極めれば実はそれほどでもありません。そして、最初から何千もそろえようと思うから大変なのです。確実に伝えたい人何百からスタートして、webからの入力フォームや社内の登録フォームを用意してそこから増やしていって、本格スタートする、と決めれば作業量は格段に減らせ、しかもとうに辞めた人や異動者が大量に混じっている、という事態を回避できます。

次回は、こうした母集団をどのように使っていくかについて簡単にご紹介したいと思います。

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