早いもので…12月になりました。
今まで小売り、システム、BtoBの販売に業務コンサルなどいろいろなビジネスに携わってきましたが、いずれにおいても12月は比較的よく売れる時期です。小売りにおいては、ボーナスという原資、正月準備にクリスマスという需要、それに寒くなることに伴う需要があり、BtoBでは、公的機関の予算の消化が佳境になること、それに3月決算の会社が多い中で、来期に向けた仕込みが佳境というような背景があります。
一年の流れを体感すると2年目にはそれに先んじて手を打つことができるようになるため、大変やりやすくなるというのを20代のころ、家電店のバイヤーをしていて実感しました。ただし、いつだってどんな仕事だって、この「季節変動」対応を準備するのは、3~4か月先のことです。来月のことではありません。小売業の本部、それにそこに商品を卸すメーカーや卸ではこのことは当たり前のように染みついていて、お盆休み明けには年末商戦の商談が始まるという年間循環になっています。その辺は2年前にこの記事にも恥ずかしい伝説的失敗とともにまとめました。
ところが、小売業の人からすると笑い話のような話ですが、BtoBで業績が芳しくない会社の多くは、これができていません。月初の会議で「今月どうすんの?」と聞かれてそこから対策をリストアップしているような例も実際見られます。当然これでは満足に実施には至りません。
ToCのビジネスでもEC運営でこれらの年間のカレンダー対応がうまくいっていないケースも見受けられます。今からクリスマス対応準備?では遅すぎます。そのあとにくる1月2週目から2月の売上の落ち込みにいかに対処するか、そして、3月の卒業・進学・春物衣料への入れ替えなども今から準備するべきことです。
時間がない中、やりきれないという主張もありそうですが、単純な業務処理に時間を取られていませんか?本来やるべきことは何なのか?の優先順位をつけると、実は業務処理は外注に回すべきだし自動化すべき、そもそもそんなことする必要があるんだっけ?というものも多くあるはずです。
2サイクル目は1サイクル目よりを下敷きにずっとやりやすくなるはずです。その一歩を担当者が踏み出すのは経営者からの「外圧」が必要です。
平準化と季節変動
一方、12月の売れる時期に備えて、在庫を積み増す資金が必要になる時期でもあります。私も、「絶対に12月1日入荷指定ね」と何度も念押ししてプリンタインクを10トンウイング車にパレット積みで大量仕入れしたことを覚えています。本当は需要は平準化していてくれた方が、人員や設備の稼働率(投資規模)、あるいは資金需要を考えると助かるのですが、実際の市場は結構大きな変動があり、一企業では変えようがありません。
しかし、上のようにお金さえあれば仕入れられ、店頭に並べさえすればお客様がレジまで持ってきてくれるものの季節変動は、資金計画を立てれば何とかやりようがありますが、例えば他の業務ですと、3月決算の後の会計事務所、確定申告時期の税理士事務所のようにトレーニングされた人を用意できた分量が売り上げ最大値を決めてしまうようなケースはどう考えればよいのでしょう?その時期だけ人を増やす、ということができるようなものではないことも多くあります。
売上を拡大するという意味では、他の時期を犠牲にしてでも人員を拡大することが過去には正当化されてきましたが、今となっては自動化要素や前倒し作業を増やすことをやりつつも、一定以上の容量拡大はせず、稼働率を高めて利益率をアップさせることを選んだ方が良いです。そうして所得水準を改善し、優秀な人員を吸収し、今までやれなかったことをやれるようにすることで単価を改善していく、という方が中小企業にとっては適していることが多いでしょう。
ただし、これは、国内市場だけを対象にすれば…です。
実は、こうしたサービスの需要は国によってバラバラです。中国の企業は、すべて12月決算と決まっていますので、中国の大企業の子会社の日本の会社の多くは12月決算を選択しています。アメリカの大企業も12月決算が圧倒的に多く、次は9月ですので、その子会社だった西友は決算月は12月です。(もともとは他の大手スーパーと同じ2月だったはず)連結決算上その方が便利ですし、IFRSではグループ内では原則決算期は統一することになっているなどの事情があるからです。
他の財、サービスでも需要変動は異なっています。南半球に行けば季節は逆ですので、チリから輸入のブドウは春にピークを迎えるのと逆のことです。
中小企業にいきなり他の国に行け、と言われてもそれは無理があるでしょうが、他の国の需要に関連、連動している国内の小さいセグメントというのは、上の会計サービスの決算期のように実は存在しています。小さいといっても中小企業の稼働率変動の谷を埋めるには十分な規模です。ただ、それに気づいていないし、気づいていてもそのセグメントに向けて効果的なメッセージを発信していないだけです。
谷を埋める方法は、実はないわけではないと多くの企業の需要変動対応を見ていて思うのです。