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続 きぼうの春

コロナ禍は拡大の一方。スポーツシーズンは開幕をずるずると繰り延べ、公共施設の閉鎖は続き、ついには大型商業施設が「当面の間休業」。こんなことはいつまで続くのか?と言うことについて皆さんはどう理解し対策していますか?まずそのスタンスで対応の仕方は変わってきますよね。

政府の緊急金融支援策は、当初は4月頃までの売上の激減を貸付で支えることを主眼に置いて2月末頃からスタートしました。窓口の政策系金融機関も、これを受けて「この制度は、近々1~2か月の資金繰りに支障を来さないようにするための制度ですので、それ以上の融資はできません。」という説明をさほど与信の良くない融資先にはしています。(弊社は3件90百万円の融資取り付けのご協力をしています)

では5月、6月になると状況は良くなるのでしょうか?プロ野球は開幕し、ディズニーランドは元の賑わいを取り戻すのでしょうか?安倍晋三首相は3月28日の記者会見で「最大限の警戒を国民にお願いする。この戦いは長期戦を覚悟する必要がある」と訴えました。疫学的な見方はまだ公表されていませんが、経営者は今のような「人的交流を制限する」状況は、半年~1年続き、その経済的余波はそのあとも相当期間続くとみて対策するべきです。98年の不況も09年のリーマンショックも大規模な需要の喪失は見られましたが、「経済行為が制約される」ということはありませんでした。その面では過去の不況とは全く異なるものです。

つまり、リアルな場での人的交流をベースとするようなビジネスは、旅行業にしろ、飲食業にしろ、今の事業を停止し、そのコアを生かしつつ、リアルな人的交流をベースとしない方法に転換せざるを得ないということです。まず、その現実を直視しなければならないし、その転換を社員に協力を呼びかけなければならない。その上で、そこに貢献できない人材は、最悪は解雇、そうでなければ雇用調整助成制度(大雑把な説明をすると今なら10月初旬まで一人あたり月額25万円までの休業手当が助成されます)を用いて結論を先延ばしするなどの対処を早期に取らなければなりません。その事業転換は模索や試行錯誤も多く、お金も時間もかかります。慣れない方には書類を作るだけでも一苦労です。その間のその作業実施のための余資を残すためには縮小的動きもやむをえません。今は全滅を防ぐために部分的撤退をしなければならない非常時です。

では、どこへ進むのか?それをまず経営者は決めなくてはなりません。社員からいい案が出ればよいのですが、多くの社員はここに至っても「会社が何かをしてくれるもの」と傍観しています。(ここで真剣に転換を模索しに取り組んでくれる方が次の幹部候補です。)社員に意見を出してもらうにしても、経営者の腹積もりは必要でしょう。

先々週、そんな背景に今後起きるであろう時代の動きを次のような記事にして、多くのアクセスをいただきました。ここでは、「具体的事例」は取り上げていませんでした。

そこで今回は、私が考えた、というのではなく、すでに市場で動き始めている「次の動き」をいくつかご紹介したいと思います。もう変わり始めている人たちが沢山いるのです。休業店舗への補償を求める声も強まっていますが、半年1年の長期の補償を行ってくれるとは思えない、というか財政上それは不可能です。先に新天地に行きついた少数の人だけが生き残れるのでしょう。そんなチャレンジの事例をご紹介し、自分たちの検討のヒントにしていただきたいというのが今回の意図です。

飲食店にて

  • すでにテイクアウトへの転換を多くのお店がチャレンジしています。
  • 同様にUberEatsや出前館などへ登録し、デリバリーサービスを実現しているお店もあります。無店舗型への転換ですね。もちろん、これだけをやっても大して売れません。近隣や大規模マンションやオフィスへの割引券付きビラ配りやDMなど今からでもやれる営業活動をせざるをえません。
  • さらに一歩進めてレシピと材料をデリバリーしているお店もあります。これは、公開しても、それでも自分の方がおいしく作れるという自信があるんでしょうね。作り方の配信をしているお店もあります。専門店は一般家庭にはないような香辛料を保管していますので、それを小分けにして提供すると、次に持ち帰り用の香辛料販売などの芽も生まれるようです。(これには後述する営業許可の問題もあるようです)
  • 接客をメインするお店で、オンライン通信での会話サービスを提供しているお店も出始めました。(私が見たお店は課金はしていませんでした。)オンライン飲み会の延長でしょう。これは相当難しいチャレンジだと思うのですが、上のデリバリーとの組み合わせならばありうるかもしれません。

食品スーパーや中食・惣菜店は、買いだめ騒動の影響もあるのでしょうが、業績が好調なようです。その需要を取り込みましょう。さらに配達は顧客とのリレーションの強化にも役立ちますし、人員配置の見直しにも効果的です。高くつく22時以降の人件費が大幅に減らせるはずです。ちなみにこれ、郊外・住宅街でやらないとオフィス街ではロックアウト実施時期には意味がありません。

飲食店の提供するものが「楽しくておいしくておしゃれな食事時間」であるならば、それを店内ではなく、家庭に移す方法がないか?と考えるわけです。

気を付けなくてはならないのは…食品衛生に関する営業許可が結構厳しいということです。製造の登録がない場合にはそこから登録しなければなりません。また、酒類の販売については飲食店の場合は営業許可で可能ですが、外販には酒販法上の免許が必要です。衛生はおろそかにできませんが、酒販の方は飲食店の転換応援のため、規制緩和していただきたいものです。

すでに飲食店をやられている方はご存じのことと思いますが…念のため。

店舗をそれでも維持するか?という問題は大変難しい問題です。軽々しく「厨房は他店を間借りして店舗は撤退して固定費を下げる」ということをここで推奨するのは一概にはできませんが、それが適当なケースもあるでしょうし、工夫次第では、緊急融資でそこをつなぎながら、他の維持費を下げて耐えることでもう少し様子見ができるケースもあると思います。ただ、稼働しない店舗を抱えたまま、デリバリーやテイクアウトだけで黒字化するというのは難しいでしょう。その辺は個別にご相談に乗っていきたいと思います。

音楽系イベント

ポップス、ロック系の音楽界は、CDが売れない中、ダウンロードでファンを作り、フェスで利益を上げるという事業構造に大変な苦労をして転換を果たしただけに、今またフェスの開催が見とおせない中、危険な状況に陥っています。

  • 一方で、最近YouTubeを開くと多くの人がLiveを行っています。有償配信の仕組みは多くの方が立上げています。
  • 一流のパフォーマーがダンスやバレエ、演奏をマンツーマンや配信で教えてくれる、というものも始めた方がいます。
  • アレンジの楽譜(著作物です)をダウンロード販売し始めた演奏家もいます。
  • これに関連して配信機器や配信設備を備えたスタジオや技術指導も増えています。

ちなみにこれらはパフォーマンスをする人ができる事であり、産業全体としては舞台装置や照明、演出など様々な人たちが関わっています。その人たちの分まで十分稼げるか?というと現状は多分そうではないです。飲食店も同じことが言えますが、「在宅の個人」に「腕利きの個人が」「価値をネットやデリバリーで届ける」というところへ経済はシフトしているわけです。本来はライブと同じ価格設定でもよいはずですが、実際には在宅での単価はこれまでよりもだいぶ小さいものになるでしょう。単価も下がるが原価も下がる仕組みの中でやれる方法を探していくことになります。

スポーツビジネスについてもチャレンジ事例がないかを探したのですが、今のところ見当たりません。ご存じの方お教えください。トップレベルのアスリートでしたら、私ならば練習や何を考えているかを配信するドキュメントを月額課金でやります。

ビジネスイベント

最後に私の普段のフィールドであるその他のビジネスの領域で、前回紹介から動きが会った点をいくつかご紹介します。

  • ZOOMで200人規模でオンラインセミナーやイベント、というのはもうあちこちで当たり前になりました。教室形式だと1回30人も集まれば上等のところ、その数倍が集められる(しかもそのための設備はとても安い)ということで、このノウハウを確立すればもうリアルイベントに戻ることはないんでしょうね。
  • 長年、サポート部門を悩ませていた電話サポートを(今のところの言い方としては一時的に)打ち切る動きが進んでいます。表面的には、在宅勤務に社員を移行するにあたって、そこにはコストをかけないということなのでしょうが、これも不可逆的な流れといえるでしょう。
  • テレワークのためのツールや通信機器、ディスプレイ類などは好調な売れ行きで品薄になっている(これは中国からの出荷が一時期不安定だったことも影響している)ものもあるほどです。また、有料配信サービスの構築も大変な需要です。(私も探しています。お声がけください)

先ほどの食品スーパーやデリバリーサービスの好調も同じですが、需要はなくなったのではなく、場所と形態がシフトしていて、困っている人がいる一方でそれと同じくらい需要が増加している人もいます。そういう人は、「自分は儲かっています」とは声を上げないだけです。

そして、最初の問いに戻るわけです。

「この変化は5月までの一時的なものだと思いますか?」

ゴールデンウイークが終わり緊急事態宣言が解除されても、当分の間は政府の自粛要請内容はほとんど変わらないでしょう。そして、多くの人が、「通勤」「都心のビル」「立派なレストランでの交歓」「直接会って面談」「店舗での品選び」が実は代替可能なものであることを今回を機会に体験し知ることで、長期的な需要シフトと産業構造の変化を加速させることになるでしょう。

もちろん、旧来のやり方でもそこで高いバリューを持つことが認知されているような事業者様は、来年になり国民の多くが免疫を獲得したあとには再び需要を獲得できるとは思います。しかし、需要シフトに対応して業態を変化させなければならない事業者が大半であり、それは今急いで始めなければならないものです。政府の融資を中心とした経済対策はその時間的猶予をくれるもの、と受け止めるのが正しいと私は考えます。

最後に「融資」の話

ちなみに弊社はお付き合い先のとある会社で、この1か月で90百万円の新型コロナウイルス対策融資を取り付けました。直近の決算の年商の半年分に当たりますし、事業を整理して大切にお金を使って行けばもっと長持ちできるだけの資金供給を行うことが出来ました。今からだと大変な部分もありますが、キチンと情報を整理して申請すればその程度の支援はえられる可能性があります。

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