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「面白くない」経営の追求

弊社が提案する経営改善は、だいたいが面白くありません。経営の強みの明確化と再生産の仕組みの日常への組み込み。毎日の地道なチェックと軌道修正。経費、原価のコントロール。それに成果主義の徹底…。「経営に魔法の杖はない」ということをいうとがっかりされることもあります。そして、「そんなことなら自分でもできる」ということを暗に言われます。けれども実際にそれが「できていますね」と感心する会社は中小ではほとんどありません。わかっていることとできることとでは大きな差があるのです。しかし、そういう経営者の思われることにも正しい部分があります。それは、「地道にやれば少しずつでも改善できるはずだ(自分たちでも)」ということです。

本当は鮮やかな広告手法で来客を増やし、新規顧客を分捕ってきて、あるいは画期的な新サービスを立ち上げて売り上げを急増させて世の中に名を上げるようなことをしたい気持ちは私もあります。しかし、このブログでも時々言及していますが、多くの会社が思い描く「理想の新規事業」には大きな誤解があります。一番大きな誤解は、「打率が低い」ということです。もちろん、そこでの人物金の「正しい使い方」のような手法はあるのですが、それを踏まえて実施したとしても、成功する確率はそれほど高くなく、わかっている人がやっても「10個試すと1個ぐらいは当たる」ものなのです。だとすると、「たくさん試せる余資と人材」が必要ですが、その余裕がない状態で中途半端に投下してもうまくいかないのです。

もう一つの理想の誤解は「新しい」とか「優れている」とかの思い込みという点です。多くの事業家がいう「新しい」は実は新しくないことがほとんどで、過去に検討したり試されたりしたが、市場が小さくてうまくいかなかったというものが多いのです。お金を払う意思のある市場にいかなければものは売れないのに、「市場を作る」という事業家もいます。市場を変えることなどトヨタでもできません。我々にできるのは、「市場に対応する」ことだけです。

また、「ここの点が既存製品よりも優れています」という説明を聞くこともベンチャー企業の製品サービスであるのですが、多少の差ではユーザーは乗り換えないし、新規顧客ですら、シェアの大きい方を採用しがちである、ということをいうと大層腹を立てられます。市場に「十分な差がある」と認知されるような有意な差がなければスペックでスイッチングする、ということはなかなか起きないのです。

私もマーケティング論は重視する方だと思いますが、だとしてもそこからヒット商品が生まれる事例はごくまれです。メディアから流される「サクセスストーリー」は天才とドラマティックさで脚色された「物語」であり、しかもマーケティング論や製品自体は、容易に模倣できるものでもあります。実際には多くのヒット商品と企業の成長は、マーケティングからではなく、「オペレ―ションの強さ」から生まれています。営業を起点に生産、物流などの複合した機能が有機的に結合するその仕組みは容易に模倣できるものではなく、かつ一度仕組み化されると継続的に維持されるものでもあります。

これが私が、「つまらない地道な内容を経営者に繰り返し重視するよう呼びかける」理由です。そして、多くの古い(ベンチャーはそうとも限らないのですが)クライアントの存続している基盤、つまり強みは、その「オペレ―ション力」にあることが多く、かつ自分たちではそれに気づいていないし、公知化して承継できるようにすることや改善することを明確に取り組めていません。この部分は、冒頭の話に戻りますが、「うまく整理して取り組めばどんな会社でも必ず成果が出せる」と私は思っています。そして、そこで十分な余力が出来てくれば、その余力を「新規事業」の1個の成功と99個の失敗につぎ込む体制を作っていけばよいと考えています。

なかなかこうしたお話をまとめてご説明する機会も少ないため、6月のスタートにあたり一回整理して書いてみました。

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