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学びと準備の時間

東京は、多くの会社が自宅勤務といいつつ、身近に罹患者が出始めるケースも増え、かなりの部分業務停止に近い状況になってしまいました。表には報じられないまでも、ろくな準備がないまま、あるいはがちがちの制限があるままに強制的に自宅勤務になって仕事にならないというケースも聞きました。

弊社に来る相談も、少し前は「リモートワークの実現」も多かったのですが、先週、今週は資金繰りや補助金などの緊急対応で支援を求めるものが多くなっています。できる限りのお手伝いをしたいとは思いますが、データ整備や各種コンプライアンス体制の整備を平時からきちんとできていなかったところは、大きく出遅れてしまう状況は否めないという状況も目にしています。(管理業務の大事さをこういう時出ないとわかってもらえないのです)

これから1年あまりは、ネット(非対面)ビジネス、リモートワーク関連と衣食、公共事業以外は売ろうと思っても売れない時期が続きますので、そこでどう時間をかけて頑張って営業しようが無駄です。営業という面では売れる分野にシフトするしかありません。それが出来ない部分は各種制度を用いて休止・縮小して固定費を落とし、また、そのうえで余裕があるならば生き延びた後の新世界に向けて、新しい準備をすることです。

今日はそんな経営者の様子を簡単にご紹介します。

CASE1 今のうちに新規業務仕込みたいんですけど

昔からお世話になっている社長からお電話がありました。この人、社員数名を抱えながら、年間のかなりの部分を出張で過ごしているような人なので、このご時世どうしているんだろう?とは思っていました。すると、おしゃるには「この調子ではどこにも営業に行けないで暇だから前から思っていた新規事業をこの2,3か月で仕込みたい(その分野は弊社がかなりのノウハウを持っていて、以前からこの社長は関心を示されていた)ので、仕事を依頼したい」、とお話でした。社長は、秋には営業先や既存顧客への再励起を始められるだろうから、その時に営業担当がパンフを持ってノウハウをしゃべることができるレベルに到達させて欲しい、と明確な達成基準を示されていました。幸いこの会社には十分な蓄えがあり、また本社以外の事業所を素早く解約され、自宅勤務体制に移管されました。その自宅勤務社員にリモートワークで研修など行ってほしいと言うことも言われました。

従前の「経験がある」という展開はベタベタのリアルビジネスだったのですが、それをネット併用してほとんど非対面で展開できるよう再構築してご提案することにしました。ちなみに非対面化のための投資は今回の100兆円経済対策の中でも助成対象となっています。

CASE2 非対面コミュニケーションのトレーニングを急ぎたい

これは直接仕事には関係ないのですが、有人の大学の先生と短時間のZOOMミーティングをしました。外国語系の先生なので演習が付き物です。講義動画を流せばよいというものではない中で、試行錯誤するヒントが欲しかったり、練習相手が欲しかったりということのようで私が週にいくつもZOOMミーティングをしているということを聞いてのことでした。しかし、ここにも私もビジネスのヒントがいっぱい詰まっていました。ZOOMにはホワイトボード機能というのがありますが、これはある一人が示すことができるだけで、大人数で書き込むことはできないのです。どうやったらインタラクティブさを安価に手軽に実現できるだろう?というのは今多くのDX初心者が抱える課題です。

簡単にご紹介すると、私の案は先生だけカメラをしゃべる用とホワイトボード(実際にはあらかじめ板書内容の概要を印刷した紙でよい)等で演じる用の2台用意するというものです。それをパソコンとスマホでなんとか実現して費用や設定の手間を回避しようという提案をしました。これですが、ハウリングを防ぐための設定とか、スマホの固定方法とかいろいろな小さなノウハウを集める必要があり、試行錯誤も必要です。これからは学校の先生だけでなく、サラリーマンでも、同じようなノウハウが必要となる(もしくは自宅を放送スタジオ化する投資をするかという)ことを実感しました。私も練習しなければなりません。けれどもこんなこと文系60代以上の先生方が対応できるとは到底思えず、ここにも世代交代の波が急に押し寄せてきていることを実感しました。

経営者は環境には対応するしかありません。

嘆いても仕方がありません。政府を含めて誰かが損失を来年前補填してくれるわけではありません。今すぐ行動をとりましょう。

  1. 公的支援を用いてできるだけ手持ち資金を厚くしましょう。
  2. 消失したリアル市場に拘泥せずに諦めて、デジタル移行、非対面移行を進めましょう。そのための情報収集と学習、試行錯誤を急ぎましょう。
  3. 完璧でなくても構わないからデジタル、非対面プロセスを始めてしまいましょう。
  4. 2が出来ない人員は公的支援制度を用いて休業などの方法を用い、賃料やその他の運営コストも一旦撤退して1の費用の消化速度を出来るだけ遅くしましょう。

巣ごもり経済という言葉が少し前にはやりましたが、今から1年あまりは1億総巣ごもりです。そこでやるべきことは、今までの延長上のことではありません。やったことがないのは世界中のほとんどの経営者が同じであり、一斉にスタートなのです。

そして、「会社を変える」決断は経営者にしかできないことです。

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