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ECショップ改善策

webのリニューアル、動画作成、ECショップ作成などの企業、個人は大変な活況のようです。多くの企業にとっては片手間だったweb経由の顧客とのコミュニケーションをメインのチャネルに育てなくてはならない状況に直面しているのですから当然です。そして、多くの人が1年後なのか2年後なのかにこのコロナ禍を克服しても、webチャネルの低コストでのコミュニケーション、簡単に言えばECのシェアは今回急拡大したのちも、拡大の流れは続くだろうとみています。

 「対面の方が成約率は高い」と言うことにこだわる方もいらっしゃいますが、①今年はそんなことを言ってもしかたありません。非対面でうまくやる方法と人を探すのが事業責任者の使命です。②対面コミュニケーションにかける時間、旅費、人件費と利益のバランスと、web経由の場合のバランスとを比較していますか?ということを考えてみていただきたいと思います。

ちなみに弊社は最近はwebミーティングがとても多く、初めてお顔を見るのがwebミーティングというケースもかなりあります。そして、対面で一日3回商談を入れようと思うと、(準備や事後の議事整理も自分でやりますので)かなり大変ですが、移動時間が不要な分webのみだと一日4件でもかなり余裕があります。

そんな中、最近の弊社は、ECショップの構築準備や既存ECサイトの改善の案件が続いています。あらかじめ計画されていた新規構築案件もあるのですが、経営課題の中で昨今のリアル店舗の閉鎖とネットショップの好調を受けて優先順位を変更した事例もあります。

とはいえ、弊社にECのデータ分析や広告の専門家がいるわけではなくて、その部分は専門家に「提案依頼書(RFP)を作成して提案を受ける」、ということを顧客のエージェントとして行い、そこに必要となる提示データの整理や課題の整理を行い、提示前のNDA締結から、提案策定段階での情報提供やデータ整備を顧客の代理人として御手伝いしています。元々、代表の私がネットビジネスやシステム開発出身ということもあり、RFP作成はお手のものなのですが、この仕事をいくつか実施しているうちに分かったことがあります。

一つは、顧客の側で戦略上いつまでにどこまで売上を伸ばしたいのか?ということが決まっていないケースが多いということです。また、どれくらい投資する覚悟があるのか?も取りうる施策の範囲に大きくかかわってきます。これはチームに与えられるミッションの合理性にも関連してきますので、初期段階、上流段階で事業責任者は経営者と整理して決めておくべきことです。まず、そこを御手伝いしています。

次は、売上は目標もあるのですが、利益については不明確というケースがかなりあり、しかもそこが実は課題を抱えているケースが多いということです。そこそこ成長したECサイトでは、複数人が関わり、商品の仕入れから発送までの流れが存在しています。このフローが初期に構築した状態のまま自動化が不十分だったり、不自然に分担されていたり、ということで売り上げを増やすと人を増やすという話になってしまう。これでは利益は伸長しないわけで、そこの改善も同時進行させる必要があります。サイトの作り方によってもこのオペレーション量、は変わってきますし、出荷部分はアウトソーシングを行うかどうかにも関わってきます。ところが、いくつかのECサイトでは、ECサイトの担当者は広告をうまく運用して売り上げを伸ばす責任者であることが多く、誰がここの責任者なのかを明確にする必要があるわけです。(大抵、そのEC運用責任者となるのですが)

さらに、ECサイトの運用一つをとっても、広告種類の選択や仮説検証のサイクルの確立の問題は一つの高い専門性が必要ですし、クリエイティブの問題はまた別の専門性が必要です。大型のECサイトではこうしたことを社内で全て実施することもできるでしょうが、中小企業ではそうはいきません。かといってこれらを全て専門家集団に任せていては利益も出ません。そもそも、経営者が求めているのは、「利益の伸長」であり、「顧客のロイヤリティ」や「ブランド感を与えられるサイト」でもありません。これらは手段として優先度が高いならばやればよいし、そうでないならばやらなくてよい、というのが経営者の立場のはずです。しかし、ここを共有できていない外注先選定を行うと、目的が手段化してしまうケースが多く見られます。業者はみな、自分の得意分野で利益率の高い部分を売り込むべく、「これが必要だ」と言ってくるからです。これを忙しい経営者に自分で判別しろ、と言ってもそれは無理があります。最終判断は経営者が行うにしても、提案の質を揃え、必要な論点を提案内容に盛り込んでもらい、経営者に提示し比較検討できるようにする役割の人間が本来は必要なのです。

事業パートナーを選定してプロジェクトをスタートしても、今度は進捗状況や問題個所の摘出と対策といったプロジェクトマネジメントが随時必要になりますし、そもそも結果が出ているのかのレポートもあいまいになりがちです。そこをマネジメントしレポートするマネージャーが経営者には必要なわけですが、中小企業では人手が不足しがちです。

こうした経営者の片腕となる「エージェント業務」は、日本では軽視される傾向がありますが、欧米では割とメジャーな事業分野です。購買経費の削減代行などもこの一種だといえるでしょう。弊社としては、百花繚乱の構築運用サイドの専門家領域にはあえて自分は踏み込まず、経営者サイドで、以下に彼らを選定し力を発揮させるか?のエージェント業務を中心に展開しています。

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