ブログ

行く人来る人~チェンジマネジメント⑩~

年初からチェンジマネジメントについて弊社の取り組み概要を大雑把にご紹介してきましたが、一旦今回で最終回にしたいと思います。最終回は、「人」をめぐる問題です。

来る人

もし、組織が変わり始めていたら、そしてそれが外部に伝わっていたら(伝わるように可視化していくのです)、新しく参加する人は、こんな人「のはず」です。

  • 自社よりやや規模の大きい他社の類似分野で業務を立ち上げたり、グロースさせた経験者
  • 人事、財務、EC、物流などの専門知識を有する人
  • ミッションの遂行意識の強い人

これは、「どんな能力が組織に不足しているか」が明確になり、それを有する人を補充する動きができるようになる、という点が大きく影響しています。そして、何を成し遂げようとしていて、そのために何を取り組んでいるのかが明確になり、それを会社として発信できるようになると、そのような会社は優れた人材を採用するのが以前よりも、容易になります。「旧態依然たる中小企業」が「ニッチトップを目指す気鋭のベンチャー」にポジションを変えるのです。

一方、その会社を昔から支えてきた人は?というと…

伝統的な日本の組織はジェネラリストで当たり障りのない人をよしとしてきました。これは控えめな言い方であり、その実情は、無思考的に指示にしたがい、体力の限界まで会社に奉公してくれる社奴の大量生産でもありました。市場拡大に伴い供給不足の状況下で、生産を拡大し世界に販路を見つければ売れた時代にはそれで企業は成長できたのです。しかし、市場が縮小し、小さなマーケットに他社よりもフィットする商品を機動的に供給することがもとめられるようになり、そのためには体力だけでなく、分析力やその背景にある知識も求められるようになると、こうした「なんとなく事務職」「いるだけ管理職」は与えられた「ミッション」に対してただ立ち尽くす光景が多くなります。

評価制度をどのように設計するかというのは大きな問題です。組織の変革を早め収益性を改善するためには成果主義的要素を強める方が効果的だと私は考えていますが、多くの経営者はこれにはあまり賛同してくれていません。そのギャップの理由は、私は「頑張れる人を内外から集めて再編しよう」と言っているのですが、経営者は「今いる人に頑張ってもらう」という前提に立っているということです。もちろん、それは一理あることであり、制度まで変えることを急がなくても、チェンジマネジメントは可能です。ただし、その場合には、実際の現場をマネジメントする上級管理職が成果追求、ミッション遂行に厳しい人であることが重要になってきます。そして、そうなると、管理職のマネジメントを助けるためには結局制度の助けが必要と管理職から声がでるケースが多いように思います。

いずれにせよ、こうして、能力がやや不足する人、あるいは年齢と共に低下してきている人には、変わっていく会社は居心地の悪い場所になっていきます。もちろん、今までいた社員の中でも一定数は、「こういう、前にどんどん進んでいく感覚のある会社に本当は自分もしたかったんだ」と思ってくれて、頑張ってくれます。よく私はいうのですが、3人の部署の部長より、50人の部署の課長の方がよほど楽ですし、やりがいがあります。成果達成のしんどい部長は外からきたしんどいことが好きな人に任せて、経験豊富で実務能力の高い元部長→現現場課長は、現場のプロとして高いパフォーマンスを発揮し、それにより昇給すればよいと思うのですが、なかなかそうも切り替えてもらえないようです。

これも日本の組織に染み付いた「常識」なのですが、高度成長期に長く人手不足の時代が続いたため、人が辞めるのはダメな組織、と思う傾向が日本にはあるようです。しかし、これは正しくありません。一定の割合で成績下位が辞め、平均以上が採用され、その人たちが早期に戦力化していくことで会社は効率化、利益改善を進めることができ、新しいドメインへの戦力の移行が実現します。そのようなもののいい方が忌み嫌われるのは、「労働者視点」であり、マネジメント視点では適正な新陳代謝はむしろ計画されるべきなのです。現代においてダメなのは、本当はいろいろ物は言いたいし、勉強もしている若手が発言を封じられ同調圧力を嫌がり辞めていくことです。

このことは、心優しい経営者にとっては、今までの人生観を否定されるようで受け入れがたいことのようです。しかし、世の中の「強い」と言われる企業は、実はこれを仕組みとして実現しているのです。ここではその実例は紹介を避けさせていただきますが、その話、そして日本の企業社会の歴史をお話しすると理解はしていただけます。

最後の仕事

こうして、組織が少しづつ「前に進み続ける」慣性力を得、社内に推進リーダーが生まれたらその会社はしばらくは前に進み続けると思います。時に計器をチェックしてハンドルを切ることは必要ですが、それも市場を観察し続け考え続けてさえいれば決して難しいことではありません。そして、私たちの最後の仕事がやってきます。それは撤収です。本当は元気になった会社といつまでも一緒に仕事を進められれば幸せなのですが、ここからは、財務、IR,製造や広報の専門家の活躍するステージです。

弊社はまた、どこかで困っている経営者を探して、修羅場に首を突っ込みにいかなくてはなりません。弊社もまた常にしんどい立場です。


関連記事

  1. 嘘を見抜く方法
  2. できる上司が社員を辞めさせるわけ
  3. 「過剰品質」を生む社会
  4. オフィスレイアウト 国際比較文化論
  5. 100年企業と農耕民族
  6. 戦中派に敬意を表して
  7. 昭和のマネジメントスタイル
  8. オープンイノベーションの現実と対策②リーダーはどこにいる?
PAGE TOP