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「売ってもらえる」代販戦略③

これまで2回、代販体制をどう作るか?について、世の中に間違った常識が沢山ある、ということを説明してきました。前回の記事はこちら。

あまりに当たり前のことなのですが、「再現性のある販売の仕組み」を確立し、それを「パスを持っている人」に提供し、利益をシェアすることにより拡大速度を上げる、というのが代販の原則です。そして、メーカーと販売協力者のどちらも利益が出る状態を実現しなければ持続できない、ということを双方が意識する必要があります。というのが、ここまで2回のまとめです。

そして、それに足る力のあるパートナーと長期的な関係を構築していくことが必要になりますが、それ自体も大変なことです。つまり、「代販は即効性がない」のです。これは長く営業のマネジメントに携わった人なら実感があることだと思います。しかし、そうでない人は、「他人の商流を使わせてもらうんだからすぐ売上上がるだろう」と思い、それが相手とも社内でもトラブルの元になります。

そうここまで書いてくると、そんな販売のモデルを確立して、きちんとした教育・推進ができる会社なんてめったにないじゃないか!実用的な情報ではない、という批判を受けるかもしれません。その通りかもしれません。私自身、代販を行う会社数社を経験しましたし多くの会社をみてきましたが、この方法論を会社として確立し、実行できている会社はただ、一社だけです。

それでは、実用性に欠けるので、代わりにこんな方法も考えられます、という代替案をいくつかご提示したいと思います。

①パスは欲しいが、教育やマニュアルはできないならば

自社の「売れる人」を相手に2年程度出向させるか、相手の子会社となる合弁を設立して出向させることで、相手のパスを使わせてもらう、という技があります。ただし、この方法は自社の戦力が落ちる、という問題のほか、「出向」という制度自体、「身の入らない」空気があることを乗り越えるだけの張り切りボーイを選んで放り込む必要があります。もちろん、企業文化も相違しますのでそうした難しさもあります。

合弁の場合には、今度は会社自体を立ち上げ管理する人的コストが増大します。そうしたことに馴れているならばよいのですが、これを出向者にやらせようと思うと、せっかくの営業突破力が生かせなくなってしまいます。その辺の一長一短は一年前のこちらの人気記事にまとめてあります。

②今後のクロスセルのことを考えるとどうしても自社で顧客基盤を保有したい。という社長には

ないものねだり、だと思うんですが、それでもそう言い張る経営者の方はいらっしゃいます。そういう方の思い込み、というか執念は外部の私が言ってもどうなるものでもないので、私はそういう時は、その業種か地域を絞り込み、そこだけは直販とし、他は代販として契約でそれを制限する、もしくはクロスセルをこっちがやっていいという条件を付ける、という話をしています。

つまり、途方もない先の「今後」を捨てて、2,3年内での得意分野にするべき業界を限定してそこだけを取るようにしてください。ということです。しかし、これが採用されたことは実は一度もありません。こういうことを言い出す社長は、ある意味、自分に万能感を有しているので、できるはずだと思い込んでいるのです。(できないから、あなた私に聞いているんでしょ?)

③大きな会社と組むと向こうに主導権を握られるのが怖い

 これもよく聞く懸念です。また、「同じものを真似して作られる」という懸念も時々聞きます。これは、相手の選び方で、同じ顧客ターゲットを持ちながら得意分野の異なる相手と組む、ということができるかどうかにかかっています。そして、自社のコアコンピタンスが十分に強ければ、模倣している間にさらに先に進めるはずです。

 それから、この手の懸念をする会社の典型的な例は、相手先を2,3社しか検討せず、うち最初にアポの入った1社にしがみついて、条件で妥協するというものです。そこの手間を惜しむところにそもそも原因があるのであり、相手先を選ぶには10、20と短期間に商談を積み重ねてこちらも天秤にかけて相手を選ぶべきであるし、そこのアポ入れには十分なコストを投下するべきなのです。その時に、競業禁止に合意してくれる、というか自社のドメインではない、お互い補完関係を強化していく、という合意ができる会社でなければいけない、ということなのです。

 もっとも、これも相手の社長や担当部長が変わると考え方が変わる、という危険性は常にあります。私は、このシリーズで「相手との中長期の信頼関係」「相互の発展」というような言い方をしましたが、それは口では長期と言いつつも、事業計画としては3か月で立ち上げ、3年維持する、という感覚で実は十分長期なのだと思います。

④相手企業はどう選ぶのか?

最後はこのテーマ。実はこれが出来ない中小企業はとても多い。できない、というより、調べていない、と言った方が実情に近いと思います。この話はまた、マーケティングの基本の話で数回書けてしまうので、簡単にご説明しますと、

  1. まず、売り先の業界、地域、規模は絞り込んでください。(何度もいうがこれができていないことが問題をあいまいにしている)その対象企業を名指しで100か1000リストアップしてください。
  2. その100か1000を売り先としている(優先)、または買い先としている(うまくいくこともある)企業を探し出して規模順に並べる。
  3. その対象企業のうち、製品が競合するものを除外する。
  4. さらに、今、他社製品の取り扱いがないと思われる会社を除外する。

というような手順です。さらに、そこに会いに行って相談するためにも、いきなり電話やメールではダメです。金融機関や大学の同窓、共通の取引先等、相手の幹部との信頼関係のある「紹介」を使って会いに行く必要があります。この辺は個別にご相談ください。

今回のシリーズはこの辺で終了させていただきます。お役に立てば幸いです。

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