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出かけるとお客様目線が見える

おとといはなるべく銀行に足を運ぶようにしているというお話をしましたが、

これは銀行だけでなく一般の取引先でも同じことで、私は自分ができるだけ行くようにしています。これについては、サラリーマン時代にも結構批判を浴びてきました。たとえば、こんなことを言われました。

  • お互い交互に行き来するのが、対等の精神
  • 時間と交通費がもったいない。
  • 買う方が立場が強いんだからそんなへりくだらず堂々としていればよい
  • メールや電話で済ませられるだろう

最後のメールや電話で済ませる、はそれで話が完結できるならば本当にそうしたいのですし、そういうスキルのある相手だけを相手にしていた方が、導入後の維持コストも安いので結局利益率が良い、とも思うのですが、現時点ではそれが可能な顧客数は自分の人件費に比べて十分ではないわけですし、対面販売の方が、成約確率が高い傾向にはあるし、導入後の追加販売等クロスセル、アップセルもしやすいという面があるためになかなかなくせるものでもないようです。

偉そうにすることに快感を覚える管理者というのが昔はかなりいましたし、今も財閥系にはいますが、そのほかは、考え方自体、間違っています。考えるべきことは、「時間当たりの成果(利益)とコストとの見合い」だけであって、そのほかのことは全く仕事に関係のない「余計な事」ことです。

同じ時間当たりの成果がもっとも上がり、その成果が100万円あるならば、その方法の実行に50万円投じることは、成果が1万円で費用が0円の方法を取るよりも正しいわけです。こう説明すると皆、そんなことは当たり前だ、という顔をするのですが、実際にはこのような誤った縮小思考を営業の現場では数多く目にすることがあります。

訪問したらこんないいことがあった

では、実際に訪問すると何が良いのでしょうか?「来てくれたんだから、何かしらお土産持たせなきゃ」と思ってくれる人もまだまだ結構いらっしゃいます。それは発注ではないかもしれませんが、有力情報の場合もあります。そのほかにも、実際こんなことがありました。

  • 社内の設備やポスター、消耗品の棚やごみの捨て方などが提案のヒントになる。
  • エレベーターの保守会社や、複合機のメーカー、電灯のLED化度合いなどから、コストに対する考え方や変化を進取する姿勢がわかる。
  • アポしていた方の上司に会える。(それとなく頼んでみたり)
  • 受付電話のところの番号表などで関連部門がわかり、紹介してもらったり社内をよく理解できたり、運よくその部署の人に会える。
  • 挨拶や案内の人の様子でその会社の社内の空気(リジッドさ)や研修トレーニングの徹底度がわかる。
  • 応接室のポスターや待合室のパンフレット類でその会社が今重点を置いていることがわかる。あるいは、これらの古び方や欠品度合いで、今の社内のアップデート機運の良しあしがわかる。
  • 社内全体が、顧客に向いているか、社内に向いているかが良く分かる。

というようなメリットがあります。また、これは実際に2例ほどあった話ですが、財務、総務の担当部長級に面会に行ったら、最近替わった新しい人が出てきていたり、明らかに長く待たされるのですが、その間誰も何も言ってこなかったり、社内が妙に静かだったり…嫌な予感がして、売り込みをそこそこにして帰ると、2社ともそこから1年以内に潰れました。

与信不安がある場合は、帝国データバンクの資料や空想で会議室でものを言っていないで、実際に行って見て会って状況を判断するべきです。こうした一次情報を収集し情報を洞察し、そこからまた提案に反映するということはハイパフォーマンス営業マンの一つの素養です。

逆に訪問されるときのことも考えよう

ここまで読んでいただいた方、逆に考えると、社外の方に訪問されたときにあなたの会社はどんな印象を訪問された方に与えていますか?

小さな会社はなかなかセキュリティの堅牢なオフィスと会議室の分離、というようなことができにくいものですが、それとは別に最近いろいろな会社に伺っていて気になることがあります。それは、「カジュアルであることと、内輪うけであることは違う」、ということです。別の言い方をすると、「社内の矢印の多くが顧客向きではなく、仲間にカンファタブルである方向に向かっている、ということです。こういう会社は相手へのフィットという動作を全社的に忘れているので、売れません。

たとえば、お客様が入って来る入り口の正面に段ボールが無造作に置いてあったり、会議室の壁やテーブルに何も展示がなかったり、会社の理念やコンプライアンスについて廊下にポスターがなかったり…何を感じるか?というと、「顧客目線を常に全員が意識しているか?」であり「市場の認知をうまく獲得しようと、社員全員ができることをしているような体制になっているか?」というところなのです。こういうことができる会社は、ただ作るだけの開発、ただ自分の主張を説明するだけの営業ではなく、マーケティングに基づいた仕組みづくりをしているリーダーがいることが期待できる会社であり、それに対応できるサービスの提案が響くはずの会社です。こうしたことができていない会社には、私なんかは自分が役に立てる会社だな(会社全体がマーケットの方を向いていない会社だな)と思うわけです。

というわけで、書を捨てよ。街に出よう。感じたことを提案に生かし、そして自社を振り返ってみよう。秋で気候もいいですし。というお話でした。

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