お客様先にて、人事制度全般につづいて経理・経費管理の仕組みの導入をおこなっています。弊社がIT業者と違うのは、システムではなく、なぜそれを行うのか?なぜそのようなルールなのか?を説明するところから始めて、実際に数か月の入力、点検作業までを担当者に付き添って実施することです。
関連する法律もあり、どの会社でも当然のようにやっていることなので、そうした仕組みの出来上がった会社から転職してきた人からすると、「ようやくこの会社もキチンとした仕組みが導入されつつある」と思ってもらえるものなのですが、こうした仕組みを新しく導入する、まだ湯気が立っているようなベンチャーではかならずしもそうではありません。それは社長や社長の右腕であるリーダー陣が、こうした仕組みの構築運用経験がない、あるいは極端な場合だと組織的な企業での就業経験がないまま起業したり、その企業にジョインしているため、こうした仕組みの存在理由や運用コストの実情を知らない、教育されていないというケースが結構な確率であるからです。
似たような業務で規程の整備があります。これもひな形を改変して取締役会で承認をもらうだけならばアジャスト作業が大変といえば大変なのですが、一本道でできる作業です。しかし、それでは作った規程は形骸化します。規程があるが形骸化している状態というのは、規程がないよりもたちが悪いと考えます。それは、社員にとっては「ルールを守らなくても良い会社」になっているからです。しかし、規程を周知し帳票含めて運用するのは、作ることよりもはるかに大変です。それは、管理者がその規程の必要性を認識し、遵守する意識を持ち、社員にも徹底し、これまでの「仲間」に対して、「管理者」と「被管理者」に立場を違えて規程違反を是正指導する必要があるが、そうした「立場」の違い自体を「悪しき古の風習」と勘違いしているからです。「ホラクラシー」「ティール」と「統制」とは相対立するものではありません。求められる程度の適度さの概念はあるにせよ、「人のお金を使わせてもらう」ことに対する厳正さ、効率追求のためのチェックということは、きわめて高いレベルのモラルと運用習熟や知識を兼ね備えた奇跡的組織でない限り避けては通れません。
多くのベンチャーでは、管理者は「プロダクツ」のリーダーであり、プロダクツの制作と販売に集中しています。もちろん、多大なコストを管理に割いているようなベンチャーでは成長はおぼつかないので、それはそれでよいのですが、経費管理、労務管理などをどのように短時間で要領よく行うか?のハウツー、そしてその意味を教えてもらう機会は実はリーダーにとって、あまりないのが実情です。そういう私もよく考えると、誰かから教わったとか、資料に体系化されていた、とかいうことは一度もなくて、20年以上の間上場会社やその連結子会社数社で管理者をする中で、自分で試行錯誤して方法論を身に着けてきたのが実情です。本も検索して見ましたが、この分野の「教科書」は見当たりません。
というわけで、前回のダウンロードコンテンツ、「ベンチャー企業若手スタッフ向け経営入門」がそこそこ好評でしたので、
第2弾は、「ベンチャーでマネージャーが事務を適切に行うことができる早期錬成カリキュラム」を作成することにしました。鋭意作成中ですので、できましたら、またこのブログ欄でお知らせします。ただし、今回は、ご関係先企業様以外は、そこそこの価格での有償にしようと思っています。