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会社も退職代行に対策しよう利用しよう

最近、「退職代行」というサービスが話題になっています。退職手続きを5万円程度で代行してくれる、というサービスの利用者が実はかなり多く、同業が次々起業する・・・その人は通常はその日を限りに出勤しないことになるわけで、業務の引継ぎ、顧客へのあいさつも行われず、顧客へは後任が一人で事情説明に行かなくてはならないことになります。経営側にとっては「世も末」なサービスです。

ただし、その会社が間に立ってくれることで逆に、鍵、パソコン類のパスワードなどのセキュリティ関係の引継ぎは相手にも法的リスク(損害を与えた賠償)があることを説明して引継ぎの代行をしてくれる、ということですので、会社にとっては、一定のリスクヘッジにもなっています。そういう私、中国で余剰に抱えた経理担当者の契約を解除しようとして、金庫が開かなくなったことがあります。

 

使う側の気持ちは分からなくもありません。そんなこと言うなら今までは何だったんだ、という無意味な引き留め工作、あるいは裏切り者扱いする人格攻撃、世代間の埋めがたい日常の価値観の相違に「話しても無駄」というあきらめ・・・。古い経営者・管理職は、「今後に禍根を残すような仕事の仕方をなぜ?」と思うかもしれませんが、相手は、「もう二度とあなた方や、同じ業界とは付き合いたくない」と思っているからこんなサービスを利用するのです。まずは、自分たちがそういう風に思われている、ということを認識するべきでしょう。

とはいえ、世代間の断絶は古代エジプトから続く人類の宿命。それに便利な手法が出来たことはしょうがないことです。怒っていないで具体的対策を立てましょう。そしてできれば利用しましょう。

 

■退職代行の利用発生に備える

退職時に最低限処理をしないと、損害賠償できる事項、あるいは処理を行うことが法的に正当だと認められるものは、代行業者に逆に「請求できる」ことです。そして、それは普段から社員に見えるようにしておくべきでしょう。たとえば、こんなものです。

・机、ロッカー、会社設備のカギの返却 PCパスワードの返却

・会社携帯、PC等貸与備品の返却

・顧客名簿の提出

・顧客への請求予定、支払い予定のリストの提出

また、連絡があった時点で手遅れかもしれませんが、会社のパソコンの外部からのリモート接続はできないようLANケーブルを抜くなどの対処をしてください。万一の抜出や改変、引継ぎ妨害などに備えるためです。メールサーバーやPC操作の監視機能を導入している場合には、詳細監視対象とし、過去のログのチェックを行った方がよいでしょう。これは、行うことに意味がある以上に、「行う」という会社の姿勢を社員が知っていることに意味があるのです。もちろん、正常に話し合い、訪問引継ぎなどを行う場合には、これを行う必要はありません。その両方に、コストとリスクの差が存在することをあらかじめ認識させることが必要なことなのです。

気を付けなくてはならないのは、「不正」の存在です。特にお金回りです。大口の既存顧客でこれが起きる可能性は低く、小口のその担当が開拓した口座、特にこれから1回目の入金が予定されていたようなものが営業では要注意です。管理部門では、机の中に未処理伝票があったり、承認されていない資金移動が見られたり、ということがないかを確認した方がよいでしょう。これもそのこと自体をチェックするというより、「突然の退職は、機敏に事態をチェックする対象である」という会社の姿勢を事前にわからせることに意味があります。ただ、間に第三者を挟んでいる時点で実はこの確率は自分で勝手に来なくなるよりも実は十分低いのではないか、と私は思っています。自分に瑕疵や不正があることを認識していれば、それが自分と相手以外の第三者に知れるリスクを冒すのは相当頭が悪い行動です。

なお、「今やっている仕事を終わらせろ」や「顧客に挨拶してまわれ」は無意味です。そもそもそれが出来ないから、代行業者を使っているのですし、それが会社への損害であることを証明することも困難です。それは「会社が対処すべき事項」です。

 

■退職は減らないだろう。だから考えるべきこと

退職率の低い会社というのは存在します。大きく分けて2種類あって、一つは「終身雇用型」で上の世代がたくさんいて、定年まできちんと務めるような一般に好待遇の会社。これはまあ、統計的には低くなるが真似しようとおもって真似できるものではありません。もう一つは社長や給与や福利厚生が魅力的、仕事の社会的意義が魅力的、ということがとても効果を発揮している会社です。後者を目指すことは一見よいことのようですが、必ずしもそうとは言えないと思います。どんなに頑張っても優秀な人ほど会社を渡り歩く時代に徐々になっているのは否めません。それはお金の問題だけというわけでもなく、「いろいろな景色を見たい」「もっと高い山に登りたい」というビジネスマンの好奇心を満たす手段が多様化していることを反映しているものです。逆に、待遇を良くした場合に、とどまってくれるのは、その条件以上のものが他社では得られないことを認識している「中~低レベルの社員」です。もちろん、彼らも会社のメンバーとして必要なのは間違いありませんが、将来にわたって固定されるべき層か、というと今後の会社の変化の中でやや疑問はあります。また、社長の魅力、事業の魅力、というのは本質的に重要ですが、会社の規模が大きくなればどんなに頑張ってもそこには限界があり、地道な仕事、中間管理層の介在というのはかならず生じてきて、その効果は薄らいでいきます。

某ワタミのように人を使い果たすことが当たり前とおもっているような経営は論外ですが、評価制度や給与労働時間の待遇を社会の許容する「普通」の水準にした後でも、それでも一定規模の退職はどの会社でも残ります。その率はゆっくりと上がっていくでしょう。そして、その中でコミュニケーションが得意ではなかったり、思い悩んでいているのに組織としてケアできないで「退職代行」に走る社員はこうしたサービスが有名になった以上、これからは一定割合発生していくことでしょう。

退職を前提としたとき、仕事は

・顧客名や取引状況、開拓状況が週1回程度の頻度で部署内にレポーティングされている仕組み

・その人の仕事がある程度言語的に定義され、マニュアル化されている状況(職務定義書)

・過去の蓄積や将来の可能性ではなく、当期の実績を計測する仕組みとそれに見合った報酬体系

という形に変化していく必要があります。また、これらの情報が共有される情報インフラやこれらを行うことの業務(具体的には評価項目)への組み込みが必要になります。これらをひとつづつ整備していくことは私たちもお手伝いしています。ただ、それでも経理やデザインなどはデータを引き継げば何とかなっても、営業はそうはいきません。私自身の反省点としては、すべての取引先に一度は顔出しをする、ということを部門長、あるいは会社のリーダーとしてやっておくべきだったな、と思っています。特に遠くの顧客に出張費をかけて2人でいく、ということをしない方針をとっていた時期が長いのですが、一度でもそうしておけば、突然の退社、あるいは私の場合、担当者か担当者の家族の病気ということがあったのですが、そういう時でも迅速な補完対応が出来たと思っています。

 

逆に、「会社で集めた名刺は置いていけ」という会社があります。私もやめたときには過去の会社はほとんど置いてきました。連絡先の表もキチンと残しました。けれども、そんなことをしても「万一の時の連絡先」以上の意味はありません。ただの嫌がらせにしか思われませんので、(できれば普段から)名刺読み取りアプリなどで読み取りデータ化はして、名刺は捨てるか持ち帰るかさせた方がよいでしょう。

 

ふと思うのは、経営者側にも「退職勧奨代行」もあればいいのに。制度整備して評価値示して・・・そうか、私がやればいいのか。(いや、社会的にたたかれるからやめておこう)

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