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急成長する会社がアットホームではないのは…

今週は、外出して会社を訪問したときの話がつづきましたので、金曜日もその話題にしましょう。昔から営業で、そして今は経営相談窓口としていろいろな会社に伺うのですが、会社によって雰囲気が全然違います。豪華な内装とは裏腹に、ピリピリした感じのところもありますし、なんだかアットホームさを価値として徹底追及しているのではないか?と思うような会社もあります。最近では、水やおやつ、お酒まで無料提供される会社や、卓球台やジム設備が社内にある会社が「良いケース」として紹介されているケースもあります。

アットホームな会社はまた来たくなります。受付に知っているにこやかな人がいるだけで、ほっとします。ピリピリしているところは行きたくないわけではありませんが、ちょっと行くのに緊張します。今はもう無くなってしまったところで言いますと、消費者金融の武富士さんや家電の三洋の修理サービスの会社など、伺うと全員が起立してドスのきいた「いらっしゃいませ!」を大きな声でいうのです。これなんか、少し怖かったです。

店頭販売型の業種はもちろん、一般企業でも来客への接客においてはホスピタリティがある方がよいでしょう。しかし、それが成長要因なのか?会社として追及すべきものなのか?というと、少し違う側面があります。これまで伺ったりお話をきいたいわゆる「急成長企業」はむしろアットホームではない社内の空気感が
伝わってきたことの方が多いのです。

急成長している過程の会社は外から見ると華々しいですが、内情はどこも決して楽ではありません。制度整備は常に後追いで、常に突然、制度が変更されます。その制度変更は多くの場合、いままでは人にやさしく融通が利いていたものが、ルール通りやりなさい風に変更されるものです。そうでなければ、管理部門は会社の成長に応じて人数が必要になり、効率化できません。管理部門は管理会計、業務統制システム…と要求が高度化していきます。

営業部門は、前年ではなく、前月からの顕著な数字の伸びを要求されます。いつも大忙しであり、「出来そうにない」という悲観が渦巻いているのですが、商品のマーケティングの巧みさと相まって合計ではなんとか計画通りとまでいかなくても成長を実現できているのですが、その陰ではかなりの数の担当者、多分半分を超える数が大きく未達で終わっており、少数の大きく達成した人の影で小さくなっています。

社内はどんどんと新しい優秀な専門的知識と経験を有し、これから目指す規模の会社で活躍していた人が参画し、入っていきなりいままで自分たちが見たこともないようなグラウンドデザインを示し、欲しかった人脈にいとも簡単に電話し、これまで長くその会社に貢献してきたはずのメンバーを上回るパフォーマンスを発揮していき、四半期とたたないうちに管理者が新しく入った人に入れ替わっていきます。
古くからそこにいて何でも屋として貢献してきたが、その会社の新しいフェーズでは一線級ではなくなった人にとっては決して居心地がいいものではありませんし、そうした人は転身を図り別のベンチャーでジェネラリストとして道を見出すというケースも多くあります。

こうして制度、商品、人の血が入れ替わっていくことで組織は成長していくので、会社は成長の矢の飛んで行く的(まと)に向かって一見統合されているのですが、冒頭述べた急成長企業の空気の冷たさは、多くの人と資金を集める急成長企業が疾走することに必死になり、社員は振り落とされまいと必死でいることが、伝わってきているのです。

一方で誰もが認める「安定企業」、言い方を変えれば低成長の大企業は、どちらかというとこうした点まできちんと気が回っている傾向にあります。さすがにトレーニングされ、お茶出し含めて分業がきちんとしていると思います。それ自体は立派なものですが、「企業として立派」なのか?というと、成長し高収益を上げている方が株主にも、ハイパフォーマンスの従業員にもプラスです。あなたが資産家だとしたら、どちらの会社に出資しますか?内部競争が激しいギスギスした会社はその時もダメな会社ですか?実は、この質問も、一般的には資産家は高収益性を追うはず、という前提が日本では必ずしも成り立たず、資産家すらリスクを嫌い、安定を好む傾向があり、日本の特殊さを感じるところです。

そして、この関係、中国と日本、昔の日本と今の日本でも同じ差異があるように思います。優しく、礼儀正しくあることを私たちは正義だと教わり思い込んでおり、そうではないベンチャーを、昔の野武士的起業家を、あるいは中国を野蛮視します。しかし、それこそが低成長の主因の一つであり、本当に急成長に必死になっていたら、多分そんな余裕はなく、それは周囲にも伝わってしまうものです。

経営者が組織に多くの要素を要求するのは、決して正しいとは言えません。ホスピタリティも、成長も、というよりは、「全員で成長を最優先」としていることがわかってしまうような会社の方が、私は「いい会社」だと思うことがあります。何千億の売上になっても連続最高益を更新し続けるような会社、常にM&Aを成功させ続けている会社、経常利益率が長く50%を超えているような会社、中国の成長企業…これらはみんな、立派ではない、手が回りきっておらずホスピタリティのない会社でした。

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