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副業解禁時代に中小企業がやるべきこと

先週、みずほ銀行が副業を大幅に解禁する方針だと公表されました。銀行以外での事業の経験を銀行に持ち帰ることは銀行が顧客を理解しサービスを開発しお客様に対応していくうえでプラスになる、という考えだという事でした。「銀行マンは経営はできない」「銀行マンは事業は見えない」という経験は私もたくさん見てきました。そういう意味では良いことだと思います。そして、大銀行がどんなに恵まれた職場であるかを知り、有望な若手の退社にも歯止めがかかるような気もします。
さすがにこうした大銀行に採用される人は思考、分析、表現といった基礎能力で質がそろっています。特に入って3年目~5年目ぐらいは体力、気力、知識が最もバランスがとれていて、できるものなら中途採用したい人が沢山います。(それ以降は飼い馴らされてダメになっていきます。)

とはいえ、みずほ銀行の兼業推進が実効性があるものにできるのかどうか、今の段階では結構懐疑的に私は見ています。届け出許可制にして、さらには上司が自主的に厳しくしたり、副業希望者の予定日に限って仕事を押し付けたりして異端者を排除しようとする、というムラ社会の同質性志向はなかなか変えられないのではないかと思います。

この前も大企業でこういう例がありましたね、カネカ。会社の制度はおそらく今時はちゃんとしているんだと思うんですが、大企業の場合、実際には部長級が自分の価値観や好き嫌いでルールを曲解して運用することができてしまい、しかも部長を変えることがなかなかできないため、ポンコツな部長の部署はこうしたおかしなことが起きるのです。でも部長は役員や管理部門に取り繕って報告するのは上手なため、会社は「問題ない」と発表して余計炎上し、その部署のほかの人からまた、事実が漏洩するということが起きるのです。

それでも、一部の優秀な人は外部の世界を取り入れようとするでしょう。弊社もぜひ自分の関係先に力をお借りしたいです。弊社ならば関係先にも副業者にも成果が上がりやすい環境を整えることができると思います。というのが今日のお話です。

こうした「副業可」の流れは、厚生労働省が公開する「モデル就業規則」の中で、一昨年に「副業」の項目のモデルが「禁止」から「届け出制」に変更になった時点で、大手企業が右に倣えすることが予想されていましたが、その流れが昨年ぐらいから本格化してきました。さらに今後5年程度で大きく広がり、おそらくは不可逆的でしょう。

単一の会社からの給与収入のみを前提とした「年末調整」や「社会保険・厚生年金」など企業が個人の徴税代行をする仕組みもいよいよ変わっていかざるを得ないのでしょう。30年前から本格化した女性の進出、15年前からの職場の国際化というダイバーシティに続く、第三の波は育児時短勤務に始まり、リモート勤務や副業勤務などを交えた「短時間勤務者、リモート勤務者のミックス。オフィスのクラウド化、勤務時間の断片化とこれらの統合マネジメント」なのでしょう。

「副業可」時代は警戒すべき黒船なのか?

経営者にとってはこの「副業可」の流れは、そんなに「リスク」でしょうか?私は少なくとも中小企業にとっては、直接的なメリットの方が大きいと思います。中小企業の足りないパーツを持っている大手企業経験者をクラウド上で見つけ出し、短時間勤務、自宅勤務の形で、長期的な固定費という形を取らなくても補うことができるからです。

大企業はどうでしょう?みずほ銀行のように、「人材の能力伸長」という効果は確かにあると思います。しかし、大企業には人も情報もすでにあるためリソースを補うという効果はさほど期待できないと思います。

むしろ働く人にとっては格差拡大のリスクです。副業で自分を生かせる人は収入も仕事の経験や人脈も加速度的に増やせ、個人としてのブランドを確立できますが、そうではない人も中小企業勤務者を中心にかなりの割合出てくるでしょう。そして企業の給与水準はこのことにより決して上がる方向にはいかないでしょう。少なくとも残業代は減ることは確実です。

私の知り合いの人材紹介会社の社長が最近「副業兼業のあっせんサービス」を始めたのですが、こうした関連サービスも増えていくでしょう。簡単に言えば、大企業のスキル、ノウハウをスポットで買うことができるようになるわけです。

たとえば、弊社のお付き合い先で日常の経理業務の管理の改善を行いたいのですが、専門の経験者が社内におらず、兼任の担当者も時間に追われてなかなか体制づくりが進まない、という会社があります。こうした場合、使用しているアプリと取り組むべき課題を箇条書きで明確にして、ネット上で応募者を募ればよいわけです。知識と経験がある人からすればそれほど大変なことではありませんし、クラウドサービス上での作業が多いので、Skype等でうちあわせすれば月に1回程度出社すれば済みます。おそらくは大企業で経理の実務担当で3年目ぐらいの方で手伝ってもらえれば全然改善できるように思います。その方は、本業で年間1800時間労働で400万円ぐらいの年収だとしたら、1時間2200円ですので、こちらで時給換算で2500円か3000円出しても構わないでしょう。

こうした「知っている人、できる人をちょっと使いたい」というニーズは一番簡単ですが、ほかにも、営業企画やマーケティングでも大企業のエースが持っているスキルというのは中小企業からしたらとても魅力的です。特に、先ほどの例でもそうですが、中小企業は、なかなか仕組みの整備ができないという悩みを抱えていますが、その最大の理由は単純に「ちゃんとした仕組みをしっていて運用した経験者がいないので、いざやってみようと思うとわからないことが多くて立ち往生する」ということであり、やりたくないわけではないのです。

本質は「職務定義型」への移行である

しかし、中小企業が、こうした優れた人材、ノウハウを取り込み成果をあげようとしたときに最大の障壁になるのはやはり大企業と同じく、むしろ大企業以上に「JOB」ではなく、メンバーシップで仕事をする旧来の体質です。

「時間をかけて中で一緒に働きながらルールや慣習に慣れればよい」「ノウハウは、知っている人が社内のどこかにいて口述伝承」というやり方です。こうしたやり方では、短時間勤務やリモートで参加する新規メンバーは社内の状況を正確に理解することができず、しかもスキルを定型化してその会社に定着させてプロジェクトをクローズさせるという形をとることが困難です。つまり、①課題を切り出す。②課題をどのような状態に持っていきたいかを定義する。③そのために必要となるスキルやノウハウを把握する。④それらをまとめてプロジェクト化し、社内でオーソライズする といったプロセスを経て人員を当て込み、プロジェクトが一定の成果を終えた後は、⑤ドキュメントを検収し、⑥社内のルールを変更し、⑦運用テストを行い修正を行う。 というプロセスを踏んで会社を改善していくわけですが、そもそもこの①~⑦が出来る人がいないのです。

このようなPMBOK的なプロジェクトマネジメントができ、かつ社内の事業をよくわかっている人がいること、かつ経営者が今後の経営をメンバーシップ型からジョブ定義型に移行して必要な機能を必要なだけ柔軟な形態で調達する、ということができないと、こうした戦力の取り込みをうまくできないわけです。弊社はこうした対応の窓口となり社内の受け入れ態勢整備を行います。

実はこれは、「副業」だけの話ではないのです。育児に伴う休業や時短勤務の受け入れや、リモートワークの導入による能力はあるが地理的条件や家庭的条件が合わない人の受け入れにおいても同じように、「業務と成果物をきちんと定義し、受け入れる社内のインターフェースを用意する」ということが必要なのですが、こうしたシステム思考が従来の日本企業ではなかなかできないことが、柔軟な働き方、働かせ方ができない大きな原因になっています。そればかりか、新規採用後の一定水準への業務効率の到達までの時間がかかるという直接的なコスト増を生み、多少能力に不満があっても交代させることに踏み切れない原因にもなっています。一般にアメリカや中国の企業はこうした「職務定義型」の仕事の仕方が一般的ですが、いよいよ日本もそこへの移行が競争力を左右する時代に突入したのだとも思います。

この移行は、若い方にも何度いってもなかなかわかってもらえないので、私はよく「マニュアル整備」というところから説明しているのですが、本当はそうではないのです。本当は、「実現すべき戦略目標」⇒「今、調達すべきスキルやノウハウ、情報の明確化」⇒「調達と社内導入のプロジェクトの立案、遂行」⇒「業務の標準化と低コスト化」という流れを行っていくものです。

冒頭に述べたように、このことは、対応せざるを得ない、大きな時代の変化です。好き嫌いの問題ではないことを中小企業経営者の方には誤認識いただき(弊社にご相談いただき)たいと思っております。

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