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退職者をめぐる様々な話①

これはいずれもここ数週間の話。こんなに先行き不透明な時代なのに、やっぱり各社で社員は辞めていきます。もっといい行き先が決まっているならば会社側もあきらめはつくのですがそうでもないケースも多くあります。

経営者はみな何が問題なのかと私に問います。そんな問答から少しばかり見えてくるものがあります。今週はそんな話題を2回に分けてご紹介しようと思います。(ケースは実例から適宜変更してあります)

Case1 辞めることが問題なのか?

私よりも若いながらも100人あまりの企業を率いる経営者が、この半年で5人辞めてしまって原因や対策を考えたいと言ってきました。データを調べてもらうと、これまでもだいたい毎年5人~8人程度の退職者(60歳過ぎのケースを含む)となっているようです。

皆さんはここまで読んでどう思いますか?

2018年の雇用動向調査(厚労省)によると、一般労働者(パートタイム労働者を除く)の離職率は11.3%あります。パートも含めると14.6%です。これには一割未満の定年退職者や会社都合での離職も含んでいます。また、産業別にみるとこの会社は実態としては(登録上は違うのですが)複合サービス業ということで9.3%の離職率(これにはパートも含んでいるが、別々の統計値はない。ただし、パートが沢山いる業種ではない)となっています。なお、この値は新卒以外(新卒は大企業ほど離職率が低い)は、あまり企業規模に依存しないことも同統計からわかっています。

つまり、社員100人に対し毎年5~8人の退職者がでることは、内容分析を別にすれば「平均的なこと」であり、経営者がそれほど心を痛めることではないのではないか?というのが私の一つ目の回答です。

もちろん、そこで終わってはいけないわけで内容の話もするのですが、そこはここでも書くのは控えたいと思います。ただ、どんな制度や報酬にしても持続可能な制度(=社員の半分ぐらいは満足していない報酬水準)である限り、おそらくこの水準は大きくは改善しないのであり、辞める人数ではなく、「生産性の高い社員が辞めないようにする」ということを重視するというのが私の提言した対策の狙いでして、これが二つ目の回答です。

話は元に戻って、この経営者の方、部長に「急いで採用してもらわないと業務が回りません。」と訴えられて困っておられます。そして、こうも言われたそうです。「一人前になるには何年もかかります」

確かに高度なノウハウ、広範な知識体系を必要とするお仕事なのですが、この問題の本質はここにあります。中小企業では一つの業務に従事できる人間は大企業の様に10人も20人もいるわけではなく、たかだか数人であるのが通常です。そのうち、1名が辞めたら大ごとなのはその通りです。でも、先ほどの統計からすると、その確率は5人の部署では毎年50%あります。毎年あなた方は50%の確率で起きる破局にハラハラしているのですか?

実際には異動後の年数を経るごとにだんだん離職率は低くなり、年齢が高くなると低くなるという統計があり、この会社もその法則にしたがい、若い新規採用や他部署からの優秀者を異動させては辞めてしまっています。そうすると今度は、40代以上ばかりの「おじさん部隊」が出来上がります。これでは変化にますます弱いチームが出来上がってしまいます。

もうおわかりかと思いますが、冒頭の経営者の「辞める人が出て大変」の正体はこれだったのです。つまり、「全部わかる人間を口述伝承と背中を見て育つには、長い年月がかかり、その大変さに疲れてやめていく人がでてしまうと、持続困難な状況になってしまう」ということです。

優秀なリーダーには、部下に自分と同様に広範な知識と判断力がないことに腹を立てる人が多くあります。これが「パワハラ」と受け止められるケースのかなりの部分を占めています。しかし、そんなことをしても事態は悪化するばかりです。今やらなければならないのは、「分業」を可能にし、その「個々のワーク」に必要なスキルと代表的な手順を明らかにして、トレーニングが可能な仕組みにして、5年かかっていた一人前になる期間を1カ月にすることであり、必要なスキルから「採用要件」を明確化して採用の失敗を減らすことです。

そのスキルと手順の可視化作業を現場が今でも残業負担に追われていてなかなかできないのなら、私がやりましょう。(これ営業トークです)それが私の3つ目の回答です。

多くの中小企業で同じような問題が生じているように思います。もちろん、そのスキル体系というのは文書にして数十ページで終わるようなものではなく、おそらくはその10倍の規模になるものであり、判断も単純ではなくマトリックス型の判断基準が沢山存在しているはずです。しかし、それでも、そこを乗り越えなければ、退職を恐れずに成果を追える会社にはならないし、そして、中小企業から脱却することはできないのです。逆に言えば、あなたの会社が中小企業にとどまっているのは、これが理由の大きな一部であるはずです。

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