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売れたのは誰のおかげ?

 このブログへの投稿がしばらく間が空いてしまいました。風邪をひき、WordPressにログインできなくなり(SiteGuardの設定の問題でしたが、対処するのにまとまった時間が取れなかった。)、そうこうしているうちに事件が起き24時間体制での対応が続いていました。その事件とは…

 今お手伝いしている先で主力で扱っているハンガーがあるのですが、それをテレビで有名タレントさんが紹介してくれたのです。
 それは夜の9時半ぐらいのこと。私は、自宅兼本社で、ネットがつながらなくなり、ケーブルモデム(業務用に1本引いている)を再起動していました。再起動が終了して、再度お客様の管理画面を見ると、5分前からいきなり1200件受注が増えていて、詳細を見ると、ものの1,2分の間に受注が集中しているので、何か誤ったシステム操作をやらかして、過去のデータが再度受注画面に登場したかと大いに焦りました。しかし、モールの管理画面それぞれに入ると、たしかに受注が来ていることがわかり、社員の幹部の方にご連絡すると、「テレビで今紹介されています!」ということで、そこから、物流センターに応援に行ったり(梱包したり箱作ったりしてました!)、追加補充数を集計したり…補充作業や発送作業の優先順位の再調整をしたり…と指揮をとっていたのです。
 元々11月、12月はセールも続くことから多めの対応を取ってはいたのですが、大忙しの日々でした。充実している、と言えなくもないですが、現場・特に物流現場の社員の負荷を考えると指揮するこちらもおおいに疲労感を覚えました。

 テレビ放映があった日のサイトページへの日次アクセス数は、とあるモールではそれまでの平均値の12倍に達していました。今年の私のお客様へのお約束のミッションも達成が確実になりました。しかし、この「勝利」は一体誰のおかげなんだろう?と箱作りをしながら考えていました。

 もちろん、第一には、私の提言を採用し、広告規模と在庫規模を従来の数倍に拡大した経営者の決断、あるいはそれを可能にした強固な財務基盤、ということがあげられます。しかし、私に言わせれば、これは「経営者として当たり前の資源配分の決断」です。
 一方、現場を見ると昨年同時期よりも約2倍の一日当たり出荷可能数量を物流センターでは実現していました。これは、システム面と人員配置や分業体制の見直しによるものです。また、営業側でも、業務のアウトソーシングなどによりお客様ご案内対応の最大対応可能数と所要時間が大幅に短縮したことにより、従来の数倍の受注をさばくことが十分可能になっていました。「現場で準備ができていた」というのも、また今回の勝因でした。

 では、なぜ、小さな中小企業でここ数か月でこんな準備が可能だったのでしょうか?経営管理としては、そこが一番重要なことです。それは、「今後、急成長を続けていくために、『スケーラブルな仕組み』に切り替える」ということを経営者(と私)が言い続け、実際にその仕組みを現場に導入するということを順次行ってきたからです。そして、その過程で、「今の業務を今のサイズのまま改善するのではなく、来期は今の1.5倍になることを前提に改善する」という方針で企画し続ける具体的指示をしていたのです。
 その結果、まだまだ道半ばの対策もたくさんあるものの、いざというときには拡張可能な仕組みが重要箇所から順に準備されていたのです。

 では、最初の話に戻って、このお客様に対して、そもそも、弊社は何をやろうとしていたのか?というと、それは、納品物としての形は「スケーラブルな業務システムの確立」であったわけですが、実際には組み込んでいたのは、「成長事業のマインドセット」でした。そのためにこのお客様には、数か月前から週に何日か常駐しています。

 日本の中小企業は、長く停滞し、売上規模は変わらず、社内のコストと在庫を切り詰めて、利益水準とキャッシュを維持する、という行動を過去30年間続けてきました。その中では、大きくなることよりも、安全であることが優先され、それができる人が管理者となってきました。そして、そうした人が指揮するうちに、無事故で平穏に終わる1日が社員にとって当たり前になり、あえてそこからはみ出そうとする人はいなっていきました。

 事業を成長させようと思えば、今の仕組みを変える必要が生じ、わからないことや失敗、残業がたくさん発生します。完全ではない人間は見落としがあり顧客や周囲に迷惑を掛けます。近年では中小企業でも人事評価制度の納得性を重視するようになっており、ひどい会社になると、そうした「失敗」がなく、日常業務を遂行できたことが明示的に評価基準項目に入っていたりします。そうした項目が「停滞」を助長している、と私が指摘するとあからさまに不快感を示すような管理系の役職者や役員がいるケースも多く出会ってきました。停滞を前提とした仕組みが既に組織に組み込まれてしまっているのです。

 しかし、この数か月、この会社は違いました。「やりかけでも次に行け」「失敗しても、顧客からクレーム来てもかまわない」「いざこざがないことより、いざこざがたくさんできるようアクセスと売上を優先」と私は言い続けました。答えがわからなくても前に進んでみるということを社会人になって初めてやってみた人が組織内に少しずつできて来ていて、「歯を食いしばる」ことができるようになってきていました。

 もちろん、今回の需要急増でこの会社にまだまだ不足している機能がたくさんあることも分かりました。しかし、「足りないことを補っていく」ことができる組織には少しだけ変えることができた、と思っています。それが弊社のこの会社に残した一番の成果なのだと思っています。

 

 

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