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コンプライアンスは何よりも優先するわけ

先日、お付き合い先のベンチャー企業経営方針発表会があり、代表の経営方針の説明資料の取りまとめをお手伝いしました。その中で一点代表にお願いして、入れさせてもらった項目が今日のテーマの「コンプライアンス」でした。代表に、「コンプライアンスは何よりも優先する」と全社員の前で宣言していただくようお願いしました。そして、そこに、「きれいごとではなく、コンプライアンス違反は一発で会社を危機に陥れる」とコメントさせてもらいました。

ベンチャー企業は、往々にして、理念や技術をコアに、凝集性の高い組織が出来上がりがちです。それは良いサービスを生み、変革を早めるというプラスの面もありますが、一方でグループシンクに陥り、世間の常識とはかけ離れた、内輪の論理で物事を決めるリスクを抱える傾向があります。また、創業時には資本金も小さく、従業員数も少なかったものが、これらが増大してくると守らなければならない法律もどんどん増えていきます。

と言っているそばから、昨年資本金10百万円を超えた企業で月末締め翌々月払いで業務の依頼を進めるけどいいか?という相談がありました。これ、相手の資本金にもよりますが、小さなお取引先であれば下請法違反の可能性があります。(完了から60日以内の支払義務)担当者は、会社の資金が少しでも余裕ができるように、と自ら考えて進んで交渉しようとしてくれているので、経営者にとっても「ありがとう」の一言のはずなのですが、実はそうではない。下請法は調査票が対象企業に漏れなく送られてきていますし、ひとたび相手方とトラブルになれば告発されるリスクもあります。長く会社に貢献してきたそのリーダーは、会社のためを思って、知らないが故に法律違反をしそうになっていたのです。

従業員が10人、50人、資本金が10百万円、100百万円というような区切りを超えたら、会社を取り巻く法的環境は労務、税務、公取など様々な面で結構変わってしまい、様々な新しい制度が必要になります。社員はそれを進んで学び、それが社会で自分たちが良き存在であり続けるために必要であることを理解し、お取引先や新入社員にもご説明していかなければなりません。

5人から100人までの企業の成長の過程において、そうした企業のガバナンスやルールの専門家を社員にできるわけでもなければ今までの流れにさおさすようなことをいわなければならないわけでこれは結構重い作業です。

もちろん、私とて普段は、お客様の幹部以上に「金の亡者」でして、スプレッドシートを挟んでは彼らにカネカネと鳴いているわけですが、コンプライアンスはこれとは別次元の問題であると考えています。

具体的には、3つの面があります。

一つは、小さな会社であっても、ひとたびテレビやネットで炎上すれば、会社が危機に陥る時代だからです。コンプライアンスの遵守を優先するDNAが幹部にないと、継続性の前提が成り立たない、という事例は世間をみても枚挙にいとまがないし、私自身が取締役をしていたことのある、今はもうなくなってしまった会社でも、これらが着火点となり、業務がマヒするような結果になった経験があるからです。その会社も資本金は諸般の事情でやたらと大きいが、高々30人程度の会社でした。

二つ目は、正常なガバナンスを会社に根付かせるために有効な手法である、ということです。成長企業では経営者やあとから来た管理者がガバナンスを発揮することがなかなか難しい面があるのですが、コンプライアンス事項については、いかに古株、声の大きい人間が文句を言おうが、「守らざるを得ない」事項です。会社を統制し、整理するうえでこれを手始めに、既得権益、ブラックボックスに踏み込む、というのが過去見てきた事例の中では有効な方法でした。

そして、三つ目は、まともな若い社員にとって、自社に誇りを持ち、他社の知人に自社を積極的に語ることができる良い材料であり、リファラルで採用やPRの面でプラスの効果があるということです。コンプライアンスというと世間離れした形式的ルールと思われる、個人事業主のような営業系幹部も時々見かけますが(若い人には少ないですが)、今コンプライアンス事項として会社に求められていることは、「若い人にとっては社会生活の中で常識なこと」であり、会社文化の方が非常識なのです。

セクハラも、パワハラも、サービス残業も、差別すらも20年前は(私がいた)上場企業でも当たり前のようにありましたし、不正経理も裏金も(最近関西の巨大企業でまた噴出しましたが)決して珍しいことではなく、それをネタに脅されて会社に背信行為を働いて首になった人というのも実際に見てきました。

そうではない、時代の流れに合わせて存続していける組織というのは、時代の常識をわきまえた組織であり、それには業務の「技能」や「方法論」と同じく「学び」が必要なのです。もちろん、お客様がもうかって、成長できることを私も希望していますが、若い、これから多くの人を集めていくであろう会社のメンバーに、社会の中で会社が名誉ある地位をしめていくための教育をすることは、親世代の責務だとも思っているのです。

そして、そういうことを経営者が宣言し、学びを形にしていくことは会社を守り、時代の合わせて変わっていく重要な一歩である、と私は考えています。

というわけで、社労士さんと提携してチェックをお願いしていますし、今度は弁護士さんとも提携していこうと思っておりますので、ご関心がありましたらお声掛けください。

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