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管理強化の適切なタイミング

私たちは、上場をゴールとし、その際の上場益の配分を狙うようなファンドや上場支援会社ではありません。私自身はきぼうパートナーを起業する前は20年以上上場企業の連結子会社の経営や管理部門を担当してきましたが、むしろ上場はできるだけしない方がよいと思っています。上場は他に方法がないときの最後の手段であるべきです。その話はこのブログでも今後も書いていきたいと思っています。

上場しようと思うと様々な管理体制の整備が必要になります。例えば内部統制。「きちんとした統制と牽制が取れた組織運営」という本質はもちろん上場有無とは関係なく重要な事項です。しかし、上場しようと思うと、ITシステムでの対応での投資が必要になったり、膨大な帳票と監査体制が必要になったりします。まだ若い、伸びてゆく盛りの経営者の方々とお話したとき、限りある人とお金をそこに割いてよいのだろうか、ということは常々思うのです。もっと製品やサービスを強化するため、もっと大きくなるために資源をつぎ込んでいくべきだし、それは上場による資金集め以外の方法でもやれる範囲はまだ、だいぶあるというケースが多いように思うのです。

今もある素晴らしい若者たちの会社の管理体制の整備に参加させてもらっています。彼らの夢を具体的な数値表現に落とし込み、ビジョンや理念を明文化し、大きな成長を遂げようとするとき、たとえば予算構築と実績比較をどこまで精緻にやっていく必要があるのだろう、そこに彼らの時間を今の段階で割かせるべきなんだろうか?ということは結構慎重に考えています。

もちろん、計画と実績の差異に対してPDCAのサイクルを明確に意識し、そのサイクルをできるだけ早く回す、できるだけ具体的に回す、ということは本質的に重要であり今後彼らの手を取って教えていきたいと思うのですが、巨大なエクセルブックを常に膨大な時間を割いて管理してきた身としては、そうしたものを投下する下地を準備することと、そのタイミングが本当に彼らがそれが必要だと思える時であることがとても大事だと思っています。

そもそも規模が20人程度までは、各部の営業サイクルがきちんとしていれば、短期~中期のキャッシュフローはそんな精緻な予算実績管理をしなくても見えるのです。そのモデル自体を経営者がわかっていない場合にはまずその理解が必要ですが、そこから先は人からお金を借りて会社をやっていなければ、必要な範囲でやればよい。ファンドはそれが許せない。それならば、できるだけ付き合いを先延ばししたほうがよい、その分の資源で営業したほうがよい、というのが私の考えです。

そういうわけで、ちかぢか私が標準で使用してきた予算構築手法と、予算実績管理のシートを公開したいと思っているのですが、「フル装備」や「全自動」にはしないでおこうと思っています。古い考えかもしれませんが、転記しながら考える時間や、もっとこんな機能があった方がいいのに、と考える時間が、若い彼らの血肉になる部分があると思っているのです。

 

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