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「行動を変える」外圧の必要性

日本の多くの会社は、ここ2,30年、環境変化とコストアップに対して、人件費を中心に経費を抑制しつつ、何とか市場の変化に対応する製品サービスを少しづつでも販売することで、売上と雇用の規模を維持する、という行動をとってきました。その中で育った30代、40代の中堅リーダー社員は、「企業の成長過程」を体験していません。そして、育ってきた環境故に、「欠品を恐れず在庫を絞り、無駄を省いて効率を最大限まで上げる」ことが評価指標として重視されてきました。
 たしかに、それで損失は減りました。90年代のコンビニは今よりも者が溢れていましたが、今では「ちょうど売り切れる」前後の在庫になっています。

 この染みついたルールは、口で言ってもなかなか変わるものではありません。なにせ、「一度失敗すると数年分の利益が吹っ飛ぶ」と脅されて、とにかく失敗しない慎重な運営をして生き延びてきた人たちなのですから、「思い切ってやれ」と言ってもその「思い切ってやる方法」を知らないのです。乱暴に思われるかもしれませんが、小売業では、5億円売ろうと思ったら、5億円分仕入れて、そして、必死で売る方法を探すしかないのであり、徐々に売り上げが伸びると思って伸びてきたら考えようという姿勢では、幸運な一部のケースを除いて、実際には伸びないし、伸びる他社にシェアを食われてむしろ微減し、それに対してまた、コスト削減で対抗する、という循環に陥っている事例が多いのです。
 そういう意味で、事業コア人材を中途採用する際に重要な基準の一つとするべきなのは、スキルや人脈があることと並んで、あるいはそれ以上に「事業の急激な成長過程を内部メンバーとして体験してそこで起きたことを見知っている」ことは、とても大事です。この「拡大する過程」を知っている人と知らないひととでは、行動の仕方が大きく異なっているからです。

 しかし、新規採用に頼らず、内部要因で事業を成長させようと思う場合には、「笛吹けど踊らず」という状況がいつまでも続いてしまいます。そういう場合にはどうすればよいのでしょうか?

 そういう場合には、いったんは経営側主導で広告費の大量投下とか、外注での作業の高速遂行など、「無理やりスピードアップさせる」ことが効果的です。もちろん、これだけではだめで、それをやる過程で、行動のスピード、量を劇的に増大させることを、具体的に要求し続けることになります。たとえば、売上が2倍になるならば、仕入も倍増(ただし、全品2倍ではない)しなければなりませんし、商品数も、取引メーカー数も急速に増大させなければなりません。もちろん、その過程では、在庫の無駄も、売れない商品も少なからず生まれ、せっかく担当者やその前任、前前任が脈々と整理・処分してきた作業は灰塵に化し、また混沌とした状況が生まれます。
しかし、経営者が望んでいるのは、「売れない整然」ではなく、「多少無駄や混乱があっても、売れること」であり、その悪路をバウンドしながら突き進むチームです。それならば、悪路を作り、後ろから無理やり経営者も走りながらけしかけて、走れるものをセレクトした方が、口だけ「やれ」といっているよりも成功する確率は高いのです。

これまで低成長にとどまっていた中小企業では、結局社員はみな「お手並み拝見」という態度です。それを変えるのは、社長の「指針」ではなく、「俺がやる」という行動です。

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