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営業会社に引っかからないための基礎知識②

前回は営業会社が、自分ではそうとは思っていない「情弱」経営者や理系エリートを狙う基本的手法とその仕組みをこちらでご説明しました。

なぜ私がこんなことに詳しいかって?それは…私がそっち側の人間だったことがあるからです。

では、具体的にどのような対策をとればよいのでしょうか?というのが今日のテーマです。書き出すと当たり前のことばかりなのですが、引っかかる人はそれができていないのです。

①提案書に書いてあることを信じないで検証する。自分でできなければお金を払ってでも知見があり、自分の会社の利益のために動いてくれる人に検証を依頼する。

これまで数多くの小ぎれいな提案書を見てきましたが、当然のことながら、提案書には自分に都合のいいことしか書いていません。また、本来かかる費用や検討すべきリスクのうち、直近で発生するようなことはクレームになるので記載していますが、1年、2年たってから発生するようなことは書いていないことが通常です。例えば維持修繕や清掃にかかる費用。災害破損に備えるための保険費用、あるいはライフサイクルの最後に生じる撤去費用や、経年劣化による効率低下などです。

また、経済的メリットを訴求する時に、割引率の設定がないのは当たり前、「現在の単価」は自分の会社が実際に使っていたり、容易に交渉で下げられる値よりも、高い値を使っていたり、「実現する単価」が実は、確定値ではなかったりすることもあります。今の機器が経年劣化で効率低下すると言っているのに、自分が売るものは経年劣化しない前提で説明しているものもあります。

そんなことが今の世の中、営業では許されてしまっているのです。多分、会社としては確信犯ですし、若い担当者はそんなことを教わりもせずに特攻させられているケースもあります。そして、間違えないで欲しいのは、あなたの目の前の営業は売り上げをあげたいのであって、あなたの会社の経営を改善したいのではない、あなたの迷惑などお金が入金された後は顧みないということです。

こうしたチェックポイントは、今はネットで調べると実は、良心的な情報もちゃんとあって知ることができることが多いのですが、調べるにも慣れた分野でないと上手にできないとか、時間が取れない(で、督促の電話を営業が月末が近づくと頻繁にかけてくる)ということもあるでしょう。そういう時は、5万、10万払ってでも、これができる人に「チェック」を依頼してください。会社の利益のためにチェックしてくれる「エージェント」「味方」があなたには必要です。世の中には、こうした業者から「紹介料」「バックマージン」をもらっている人も多くいるので、その業者の周辺にいる人ですと、あなたの利益のためには動いてくれないこともあることには注意してください。

次の対策は2つまとめてご説明します。

②本当にそれを買うことは優先事項なのか?必要なものなのか?

③会社の課題を解決するのに、直接的に寄与するか、もっと直接寄与する方法がないか?

営業が話を持ってきてくれたおかげで、会社に存在する「経営課題」がフォーカスされるということは少なからずあります。そういう観点では、質の良い「営業」は貴重な情報提供源です。しかし、その経営課題が重要であるかどうか、人的資源、金銭が限られる中でそれを今着手するべきかを決めるのは経営者であるあなたです。

多くの場合、今経営者が取り組んでいない課題は優先順位が低い課題です。そして、多くの中小企業では一度に多数の課題に取り組むような余力はありません。だから、「今ちょうどやっているところだったんだよ」という課題以外は、「今じゃない」と一旦営業担当に言っても多くの場合間違えではないのです。

また、前回のコーポレートサイトの例のように、「課題を直接解決するのではない」方法を提案されても、「直接解決する方法を探す」ことをまず優先した方がよいです。それをその営業マンに言ってみてもよいと思います。その時にきちんと説明できるとか、パートナーがいてその分野も紹介できる、とかなら付き合いを継続すればよいと思います。大企業なら隅から隅までツールやチャネルを揃えることもよいでしょうが、中小企業では、そうした回りくどい手法はお金の無駄になることが多く、問題を直接解決できる方法にこだわった方がよいです。

④それが必要なものであるならば、同じ業界内で他社、それも比較的大きな規模の会社の話を聞いてみる。

それでも必要なものならば、同じような商品・サービスを提供する会社は世のなかに複数ありますので、ネットで調べて別の会社の話も聞いてみてください。これは金額だけでなく、課題の分析や、その対処方法も含めて比較するということです。また、双方が言っていることのうち、一致している部分は確からしい箇所ですし、一致していない部分は相手方に見解を確認していけば疑問を解消できます。

面倒ですが、上で「そこへの取り組みが会社に今必要なことである」という答えを経営者が出したならば、ここでの手間は惜しまないことです。また、競合が商談相手としているというだけで、金額が下がったり、あきらめたり、という営業も多くいます。だったら、最初から下げろよ、と思うんですが、営業とはそういうものです。

同様の調査をネットを併用して行うことは有効な方法ですが、その記事が「本当にユーザーサイドのレポートなのか?」ということには注意してください。現代では、供給サイドが自分たちに有利なようなユーザーレポートを創作しているものはたくさんありますし、口コミですら、作られているものが多くあります。特に投資系には都合の悪いことを書いていないユーザーレポートが多くみられます。一番いいのは、知り合いの中小企業で導入している、検討したことがある会社に足を運び、その担当者にお時間をもらって実情を聞くことです。

⑤営業の期限切り、粘りに対応せず、話をいったん切る。

こんなこと、当たり前のことだと思うんですが、これに弱い経営者が結構いるんです。「押しに弱そうか」というのは営業会社の上司が部下に客先の話を聞くときに必ず確認することです。

期限を切ってきたら、「そうですか?でも、きちんと検討するのでそれでは今回は見送ります」ときっぱり言っていただいてよいです。翌月の中旬以降になると、結局その営業の数字が足りないことには変わりなくてまた同じ営業が同じ金額を言ってきます。本人は嫌でも上司がそうしろというからです。法改正等に伴う金額変更以外は、金額を決めるのは、「市場」です。

営業会社は、決算だからとか、在庫を減らしたいから、とかは全く関係ありませんで、年中、「相手に合わせて」セール中です。これは、「何も言わなければずいぶん高く売る」し、「粘るとぎりぎりまで値引いてでも数字にしようとする」という事を意味しています。営業会社は通常の仕入粗利のほかに、販売元との間で「数量コミット契約」というのを持っていて、〇件売ると+〇円の奨励金が支払われる」という仕組みが多用されています。ですので、利幅が薄くても最終的には売りたいのです。そして、サポートするのは、営業会社ではなく、販売元ですので、その品質はどの営業会社から買っても差がないのです。実際、私のどころに投資用マンションの電話がかかってくる件も5つ以上の営業会社から同じ物件の案内が来ていました。

また、「買ってくれるまで帰りません」的な営業、「どうやったら買ってくれますか?」「導入に向けての障壁は何か教えてください」と粘り強く居座る営業もいますが、これも作戦、というか上司の指導です。「障壁」は担当者が忙しいとか、金銭的負担が大きいというような営業担当者が取り除けるような小さなことではなく、「それが経営にとって本当に有効で他の手段より優れているかを確認すること」のはずです。こんなことにまともに取り合うと言葉尻をとらえて面倒なことになるので、「いると思っていないから」と言ってしまってください。

検討を速やかに進めるという必要はありますが、検討しないで決めてはいけませんので、そこで話を打ち切ってください。また、そういう場合、次回商談はzoomにするとよいでしょう。合理的説明以外の「精神論」をZOOMでは排除しやすいというメリットがあります。

その場で結論を出すのが経営者としてよいことだ、という風潮がありますが、それは情報量と、判断根拠を十分持っている範囲のことについては第三者や現場の意見云々ではなく、経営者が判断すればよいということです。その情報量が不足しているものは、簡易な方法で補ってから判断するのが正しい手順です。

ただし、この判断を社員の検討にゆだねるのは多くの場合得策ではありません。それは経営課題に対する視点が経営者と合致していないことが多いからです。具体的情報収集は指示しても、判断の視点、そして判断は経営者が行うことが適当です。

⑥営業に同情、共感せず、自社の利益だけを考える。

これも、意外に中小企業の経営者の方で、気にされる方が多くいらっしゃいます。実は私も、営業経験が長いだけに彼らの苦労とか、やるせなさというものは我が身のように感じられて気の毒に思うところがあります。しかし、社員に同情、共感する必要はあると思いますが、自社の利益に貢献するかどうか以外に、社外の営業の価値を見る必要はありません。

尊大になったり、失礼になったりしてはいけませんが、「情報提供とご説明ありがとうございます。社内で検討して結論は後日お伝えします」と言えばよいことです。

そして、会社の課題感が変化して、また必要になったときには名刺の連絡先に連絡すればよいことです。ただし、営業会社は非常に人の出入りが多いので、その時にはもうその担当者はいない可能性が高いです。逆に言えば、「営業会社の個人を買っても意味がない」ということです。

こうして書いてみると、当たり前のことではあるのですが、現にたくさんの会社が引っかかって、そして後悔しています。12月の残り営業日も少なくなってきて、営業会社もおしりに火がついて必死の時期です。今日から数日、どうかおきをつけあそばせ!

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