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伝統と革新の狭間で~チェンジマネジメント1~

今年も週2、できれば3回の更新をしていく予定です。よろしくお願いします。新年は何回かに分けて、弊社が事業の中心においている「チェンジマネジメント」の捉え方と具体的作業についてご説明していきたいと思います。

「組織変革の水先案内人」を自任して起業して一年半。その前の上場企業連結子会社代表時代を含めるとこの5年ほどで100を超える経営者の方とお話しさせていただく機会を持たせていただいてきたのですが、経営が歴史や文化と切っても切れない存在であると感じることが以前にもまして多くあります。それは、ここ30年の国際競争での立ち遅れ、という文脈のみならず、70年間の製造業を中心とした復興チャレンジモデルでもあり、明治以来150年の臣従を是とする国民文化であったり、もっと言えば1000年に及ぶ言霊信仰であったりします。

経営は、堅牢なビジネスモデルの発案と現実化を数字をベースに組み立てるという極めて論理的な作業であると同時に、多くの人の労力を得て、また他者に対して販売を行うという社会的存在であるが故に、「世論」や「常識」を無視はできず、かといってそれに従えばよいというわけでもなく、少し先行くことが求められる社会学的考察の具体化作業でもあります。

そして、社会は伝統を守っている限りは安全が供与されるようにその為政側によって構築されており、それを打破しようとする者に対しては排除の原理を働かせ自らの利益体質を保持しようとします。体制側はそのように「一枚岩」を維持しようとしますが、社会はいつの世も為政者の意図に反して多様であり、そして世代を経るごとに価値観がいつの世も変化しています。年末にのんびりとテレビを見ていて、NHKの紅白歌合戦と他局の番組を見比べると、この予定調和を要求する側・従う側とそれに反発する側の対比が鮮やかに映し出されていました。

日本を代表するような大企業は、この「多数派」の支持を実現すれば、とりあえずの安定は得られるわけですが、中小企業は、その大企業とまともに競っては戦えないわけで、大企業の庇護下に生きる(戦後の重層下請けモデル)か、大企業の手薄な変化の切先の市場を狙い小さな市場でのシェアを獲得し、その市場の拡大の時流に乗ることを目指すかの選択を常に迫られています。
これが(下請け型に安住しない)中小企業ではチェンジマネジメントが重要である理由です。中小企業は、商品市場でも人材でも、「変わりやすい」ところにいるために、自らを変革させることを宿命的に必要としているのです。

さらに難しいことに、この、社会の変化に対して対応していくという経営の作業は、この社内外の伝統を理解しつつも、それを一部捨てるということを伴います。そして、多くの場合、複雑に絡み合った文化伝統の一部を捨てて、部分的に制度を変えたところで、他の箇所でまた同じ問題に行き当たり、結局制度と企業文化は全面的な見直し作業を迫られることが多くあるのです。

たとえば、焦眉の政策課題である「働き方改革」。今年は「同一業務同一賃金ルール」や「残業規制の中小企業までの法定制限の実施」が行われます。この表面だけを捉える人は、「働かせない改革」などとこの動きを批判し、人事部は4月1日に向けて就業規則の改定と社員への説明の準備に追われることになります。しかし、本当にそういう課題なんですっけ?これ

現在に至るまで主流の労働管理制度は需要の拡大を前提に、スキルよりも臣従を要求し、トレーニングやマーケティングよりも長期雇用による効率的意思疎通を優先し、多様性よりも凝集性を快適とする文化に深く根差し、そこに言霊信仰に由来する「根性論」が小説、アニメなどで上書きされることで強固に確立された雇用モデルを前提とするものです。そこにリモートワークや成果主義の評価制度などの「現象」を一つ一つ移行調整させても、根っこの文化が変わらない限りうまく機能しないのです。

これらはすべて、「個人の時間当たりの収益貢献と報酬が一致するべきであり、その他の年齢、性別、国籍、雇用形態や社齢で差別されるべきではない」という今までとは異なる文化が企業に根付かないと機能しないものであり、そうなった場合に、従来文化で既得権益を得てきたその組織の支配層(多くの場合、50歳以上男性管理職)の心理的非協力、時にはサボタージュや妨害を乗り越えなくてはならないものなのです。

企業が変わっていくには、このように「常識」とされていたことを変えていき、乗り越える工夫が社外・市場に対しても、そして社内に対しても必要になります。そしてそれは終わることなく常に続けなければならないことでもあります。

弊社では、業務効率や精度の改善、利益率の改善という「実のある経営改善」を結果が出るまでお付き合いするということを事業の中心としています。理念やさん、理論やさんではありません。しかし、多くの場合において、その「制度改善」は直接の制度だけでとどまってよいものなのか?を経営者の方と突き詰めていくと、実は人事評価制度や採用方針からの調整が本当は必要であり、さらには経営者は「企業の歴史」や「自分や創業者の考え方」が今までの会社の在り方に深く根付いていて、それが良い部分と、時代に合わなくなっている部分とがあることに経営者はきづいていきます。

もっとわかりやすい言い方をすると、経営者の方が思い込んでいる、信じていることに対して、社員はとっくに変わってしまっている、しかし、経営者がそういうことを大事にしていることは知っているので、皆言わないでいるし、従っているフリをしている、特に若手社員ではそういうことが多くみられます。

いったん経営者がそれに気づくと、中小企業は比較的容易に変わることができます。(大企業は社長といっても全権があるようで実はない、と言うことも多くなかなか変わりません。)そして、準備には時間がかかりますし、もちろん説明と対話には大変な労力がかかるのですが、経営者の決意さえあれば短期間に多くのことを変えることができます。いや、先ほど申したように、短期間に多くのことを変えた方がうまくいきます。

もちろん、変えないという決断もあり得ます。その場合でも、人材要件や評価の枠組みの明確化、部門間の責任分掌の明確化などの「再定義」と「責任の明確な認識」などを行うことになります。

弊社では「チェンジマネジメント」はこうした「伝統」を具体的に把握し、その中で変えていく部分と変えない部分を理念に基づいて整理していくことにより、経営者の気づきを導き、社員への説明力のある一貫性のある変革を行うということを重視しています。そして、その伝統を調べていくと、実はトラブルの起点になっているポイントが昔の強みだということが多くあります。こうしたことは、長くその会社で活躍してきた人に、「心置きなく自慢話をしてもらう」中で発見できたりもします。

次回はそのあたりをご説明していきたいと思います。

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