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中小企業でもチャレンジ!海外向け販売

■海外取引は素人には簡単ではなかった

私は中国暮らしが長かったこともあり、一時期日本で小さく(ネット上で)中国茶と関連グッズのショップをやりたいな、と思っていたことがあります。中国茶には様々な種類があり、現地では安価に様々なものが楽しめます。しかも多くのお茶が3~7回お湯を入れて飲むことができるので、会社でも、大きなマグカップに蓋のついた茶碗(茶杯)に朝、少しだけ茶葉を入れ、それに何度もお湯を入れて一日それを飲みながら仕事をする、というのが中国のホワイトカラーの仕事の様子です。私も質のいいウーロン茶と人参ウーロン茶という甘みのあるお茶にかなり懲りまして、月に一二度、駅の近くの茶葉世界というお茶の卸市場に行き、業者さんに交じって試飲していました。彼らも「日本に売りたい」、「そのほうが日本人もきっと安く買える」、とよく言っていて意気投合していました。

ところが、やはり食品としてこれらを検査を通し、通関手続きを行い、お店に届けようと思うと手間も費用も掛かります。大きな業者に代理を依頼すると高くなり、小ロットだと割が合わないし、かといってそんなに大きなビジネスリスクを抱えるつもりもない(当時はサラリーマンの副業なので)ということで、口ではいろいろな人に話しながら全然実現に向けて行動しないプロジェクトになっていました。

そのころ、私の知人で要領のよい会社経営者は、100円ショップの扇子をeBayでアメリカ向けにウン十倍でたくさん売り、ひと月に何十万円もの利益を上げていました。eBAYや後述するAMAZONのサービスを利用して売る、ということはアメリカとの間では多少容易ではあります。この辺も本稿の後半でご説明します。

 

■海外市場はとても大きく魅力的

日本が世界有数の高所得国だったのは昔の話。今では20番台を徐々に下降線をたどっています。日本には韓国を鬼の首でも取ったかのようにバカにする人がいますが、実は平均名目所得水準ではもう大差ありません。ヨーロッパに旅行に行くと日本人からすると食費がやたらと高いですが、これは昔私たちがタイにいくとおいしいものがとても安く食べられると言っていた経済格差の逆を味わっているのです。そして、この相対的な凋落は今後もしばらく継続します。

弊社では最近、ある伝統工芸を付加価値を高めて販売できないか、ということをお手伝いしています。どんなに手間をかけて作成しても、国内では百貨店のお客様でも1万円を超えれば高いと言われてしまうのが今の時代。これを原価から考えれば3万円で売れる市場を探したいと思っています。そうすると日本国内では富裕層の数に限界があり、どうしてもアジア、ヨーロッパの富裕層向けへの販売ということに着目せざるを得ません。アジアの富裕層は、日本の庶民の方が思っているよりもずっと、本当に価値を感じられる高級品への支払い意欲は旺盛です。最近では途絶える恐れさえあった岩手の伝統工芸の南部鉄器がアジアの富裕層の評価により息を吹き返しています。しかも日本人向けではなかなか売れない立派な高級品が売れる。これも共通の「お茶文化」の中で評価されたものです。あるいは、最近調べた限りでは、高級インテリアの市場は、どうやらヨーロッパは日本よりもざっと一桁大きいらしい。先ほどの逆で、アジアやヨーロッパから日本に旅行に来ると、「日本が経済的に(相対的に)衰退しているおかげで、結構安くいろんなものが買えるよね」というのが、このことの背景にはあります。

もちろん海外に向けて売るのは難しいです。趣向も違えばルールも違います。しかし、市場は昔の日本人が思っている以上に日本国内に比べても大きいのです。今、日本のAmazonでに日用品を検索すると、多くのもので変なアルファベットのメーカーがかなり安い類似品を販売しています。あれは、ほとんどが中国のメーカーの若い経営者たちが日本市場にチャレンジしているものなのです。商品説明が変な日本語のものも少し前まではだいぶありましたし、商品も買ってがっかりするものも多かったですが、この1,2年のうちにずいぶん改善しています。

私たち日本のビジネスマンも躊躇しておらず、彼らを見習い世界に打って出るべき、まずはチャレンジの行動を起こすべきと私は思うのです。

 

■中小企業こそ世界へ

中小メーカーが自分で市場を開拓しようと思うとき、それはこんなときでしょう。

昔は大手卸や大手スーパーの言いなりに買い叩かれるのに耐えていても、それに対応すれば需要が増えた時代には発注量が増えた。物価も上がったので名目額は上昇した。しかし、今は需要は縮小する一方で小ロット化し、そこで発注主は自分のマージンは変わらず確保するのだから、中小はもうやっていけなくなった。

・発注主はわがままで一方的な事ばかり言う。忙しいときは夜も帰れず、仕事がないときは知らんふり。こんなことでは今の事業を継いでくれる人はいない。

でも、自分で商流を開拓する人員もノウハウもない。ましてや海外では言葉や物流、制度の壁もある。では、そうした人員やノウハウ、言葉や物流の壁を比較的安価に取り払うことができるとしたらどうでしょうか?もちろん、それで一気にたくさん売れるという期待を持つのは早計です。しかし、市場トライアルを行い、何が本格化のために必要か、あるいは値段感やそのほかの知見を得ることぐらいはできると思います。

 

この分野では、昔からJETROが中小企業にも様々な支援を行っています。私も香港のJETROには大変お世話になりました。初期の情報提供から合同での展示会での集客などの支援の手厚さは大変なものです。しかし、JETROは継続的に何かの経営支援サービスを提供する、という仕組みは提供していないため、結局、現地での営業活動はいずれは自分たちでしなければなりません。そこを継続して自社で保持することは中小企業には大変なことです。

 

また、アマゾンのFBAというサービスに出展すると、指定倉庫に指定のバーコード等を付与して送付すると、そこから先、掲載、決済、発送等すべてを代行してくれる、というサービスもあります。製品の機能やデザインが文字で説明でき、写真で理解できるものはこれでも試すことは可能です。ただし、どのカテゴリで検索されるかは自分で記載した限られた文に依存します。また、現地の商流を構築することや先ほどの今後に生かされる情報を吸い上げる、ということはこの方法ではできません。文字以外に誰かが説明してくれるわけではないので、それで理解可能なものしか売れませんし、海外輸送の費用が購入者には個別にかかるので、割高にはなりますので、向き不向きはあります。価格では同ジャンルの中国製に勝てないので、それ以外の官能性能で勝とうと思うと価格順での検索上位に表示されることもないので、なかなか難しいものがあります。

 

大きなビジネスになりそうなものならば、昔から総合、専門商社が取り扱ってくれます。もちろん彼らは輸送から現地の卸先までのネットワークを持っていますので大変な力を持っています。ただ、その前段階にある「テスト段階」のものは自分で突破口を開かなければなりません。

 

■海外市場テストを中小企業にも

最近、ある若者に数年ぶりに会いました。以前別の事業で国際物流費削減に協力していただいていた会社の経営者なのですが、聞けば彼がヨーロッパに生鮮品を輸出する、というのです。もちろん、生鮮品の方が一般の日用品よりもさらに難しいです。彼は、検査関連、資料やサイトの翻訳と問い合わせへの英語対応、それに物流を比較的安価に代行する仕組みを構築しており、中小企業でも十分載せられる仕組みでした。物流費に関しては、私が以前彼を国際輸送費のパートナーにしていたこともあり、かなりの競争力があるのですが、そこに英語でのサイト構築機能や各種アレンジ機能を強化していました。

もちろん、この仕組みを使ったからどんどん売れるというわけではありません。しかし、webで英語できちんと説明すれば、AmazonFBAに掲載するよりも正確に価値を伝えることができます。しかも、技術要素をきちんとアピールすれば、個別の要望をメールベースで彼らが代行して吸い上げてくれるのでAmazonよりも柔軟な対応が可能です。そこに市場調査や権利処理、法務面のチェックなどの私の機能を付与すれば、より中小企業が小規模に海外チャレンジする機会を創出できる、と思っています。

今、一緒にチャレンジする人を募集しています。是非お問合せください。

 

 

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