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きぼうパートナーのお仕事紹介②フィールドアドベンチャー

フィールドアドベンチャーは、屋外で運動するフィールドアスレチックの類ではありません!主として高等学校(一部の中学校にも提供)向けに提供している体験型の教育旅行サービスの名称です。提供元は、東京都の株式会社Ridiloverというソーシャルベンチャーです。というと、介護や教育、環境などの問題に取り組む会社やサービスなのか?と思われるかもしれませんが、そうではない。そこがこの会社のとてもユニークなところであり、そして事業を成長させるうえで難しいところでもあります。

この会社のことは、事業理念と戦略を語るだけで1か月分のブログがかけてしまうので、そこは大きく省略しますが、彼らの事業のポイントは二つあります。一つは、「どんな問題が、どんな構造により起きているのか?を社会の様々な層に知ってもらう」ということです。彼らは言います。「まず知ってもらう。そして少しでも考えてもらう。そのことが社会を少しずつ変えていく。」つまり、彼らのKGIは、「顧客が知ること、考えることに投じてくれた時間」なのです。

そして、もう一つは、チームを作り、活性化し個をモチベートする力です。最近では、社会の多くの場面でファシリテーション力ということが重視されるようになりました。彼らはそうした、集団を巻き込み、主体性をもって考える行動させることをどのように進めればよいのか?ということに対するノウハウをかなり高いレベルで確立しているのです。私のような働きアリ養成型教育を受けた共通一次世代からすると隔世の感があります。

しかし、時代はさらに先へと進んでいます。

昨年改訂された高等学校の新学習指導要領では、「総合的な探求の時間」(旧要領では、「総合的な学習の時間」)について改訂が行われました。指導要領では、3~6単位を高校で履修することが求められています。まず、そのような時間が学校に設けられていること自体、私を含め多くの親世代は知りません。そして、そこでは、「『探究の見方・考え方』を働かせ,横断的・総合的 な学習を行うことを通して,自己の在り方生き方を考えながら,よりよく課題を発見 し解決していくための資質・能力を育成することを目指す」とされています。つまり、従来の教科の学習を社会でいかに生かしていくのか?当事者である生徒の視点で言えば、「なぜ今、学ぶのか?」を考える機会を設けていこうということです。最近の高校の先生にはこんなに高度なことが要求されているとは、私も
同級生が何人も高校の先生をしていてもこのサービスに関わるまではついぞ知りませんでした。

サービス概要

このフィールドアドベンチャーでは、こうした生徒の学びの機会を提供しています。具体的には、次のような学習プロセスをセットとして提供しています。

  1. テーマ選択 
    「社会問題の解決に向けて解決すべき課題を見つけよう!!」というミッションが出されます。複数あるテーマ(社会問題)の中から、生徒さんはエントリーしたいテーマを選びます。
  2. 事前学習
    事前学習では、「プログラム説明(講演または動画)」と、「グループワーク」を行います。グループワークは、ワークシートに沿って実際にスタディツアーとワークショップを行う少人数チームで話し合い、現場へ行く前に仮説や質問を立てます。
  3. スタディツアー
    テーマ(社会問題)の当事者や問題解決に取り組む団体を訪れ、ヒアリングや交流を行います。また、訪問先の見学や体験活動を通じて、情報収集を進めるとともに、自分なりに情報を収集/編集解しながら、探究のプロセスを繰り返していくことに挑戦します。
  4. ワークショップ
    スタディツアーによる共通体験をもとに、下記⑴〜⑷の流れに沿い、チームで議論を行います。多様な視点や価値観を受け入れたうえで他者と協働し、1つの結論を出すことに挑戦します。最後は、チームごとに設定した課題をプレゼンテーションします。


「実際に現場に行く」ということの高校生へのインパクトはとても大きいものがあります。実際に課題に直面している人に出会い話を聞くと、若者たちは決して他人事ではいられないのです。必死で考え議論し、驚くほど質の高い発表をして見せます。

詳しい訪問先の事例や実施風景、導入事例については、同社の以下のURLに記載がありますので、ご覧ください。

https://ridilover.jp/school/

本サービスの活用場面

本サービスは、先進的な教育を志す高等学校でかなりの導入事例があります。学校単体では、複数(多い時は10程度)の「課題の現場」を効果と安全を考慮しながらコーディネートすることは大変なことですし、生徒の主体性を引き出すファシリテーションの品質担保はプロの彼らの方が正直一日の長があるでしょう。

現在のところ、この会場は東京圏のみで設定されているため、このサービスのご提供は、①首都圏の学校の校外学習、②東京圏へ修学旅行に来る学校、の2つに限られています。

公立高校の修学旅行は10月~11月に偏在しているため、これからの季節、担当部門は一番の繁忙期を迎えています。稼働平準化も経営課題です。

ビジネスとしてみたField Adventure

日本では首都圏の学校は2割強、東京への修学旅行の機会がある学校は10%強であり、2/3は東京への訪問機会がありません。また、過密な授業日程の中で日程捻出が実は大きな課題ということもあり、目下のところ対象マーケットは高校で約1000程度に制約されています。この点については、遠隔地でも疑似体験の可能なサービスを開発中であり、2020年度には提供開始できるということです。

このサービスの優れた点は大きく分けて二つあります。「教育・学校はどこを目指すのか?」という時代の変化に対して、その期待に正面から答え、かつ学校単体では提供できないサービスとなっているという、サービスの解決する課題が一つ目です。また、二つ目は現場の開発、ファシリテーションの準備と運営、効果の集計などの点において容易に模倣できない、参入障壁が高いサービスである、という点も事業評価としては魅力的です。

私が親でも、1万円追加で負担することとなっても、子供にこういう機会を与えたいと思います。

一方で課題もありまして…一番の課題は、決定権者にどうやって認知してもらうか?という点です。最近、こうしたベンチャーの革新的サービスをいろいろお手伝いするようになりよく思うのですが、どこの業界にも、そう、遅れていると言われる業界であっても優れたイノベーターは一定数存在するものです。学校にもそういう学校、先生がおられます。しかし、多くの公立学校で導入してもらうためには、学校単体での評価のほかに行政、さらに言えば社会に認知していただく必要があります。それはベンチャー企業にとっては大きな壁です。

だからこそ、担当部長に相談して、この欄でこのサービスを取り上げさせてもらったのです。学校関係者や学校への提案を行っている方、あるいは取材希望などございましたら、同社かこちらまでお問合せください

また、私が事業企画をお手伝いするという視点では、最近はやりのSaaSビジネスと比べれば、規模の拡大に対して必要となる資源と見込まれる収益のバランスが低く、サービスの質を保ちながら効率化要素をいかに組み込むかという点では工夫が必要なビジネスです。

きぼうパートナーは何をしているの?

Ridiloverには弊社の創業時からお世話になっています。正確に言うと、この会社に出会っていなかったら、私は、きぼうパートナーを始めていなかったでしょう。

弊社が何をやっているかというと…

個々のサービスを運営する、個々の顧客の満足を実現する、ということに対しては彼らは元から非常に高い水準を実現していました。しかし、事業をグロースさせるための仕組み化や、そのための人、資金の計画、あるいはそれらを引き付けるための取り組みという部分では立ち遅れた部分がありました。とにかく優秀な熟練工が必死で構築し納品する工房状態だったものを、弊社のお手伝いで少しは近代工業化することはでき始めているかと思っています。具体的には

  • 勤怠管理の改善
  • 経費精算フローの改善
  • 予算管理、資金計画の改善
  • 事業計画立案支援
  • ガバナンス体制の改善
  • 個別事業の戦略立案とPDCAサイクル運用の支援

などを、子供のような年齢の若者たちに混じって、ハンズオンで実施しております。

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