以前、あるアジア系資本が保有する銀行にお話を伺った際、そこの70代の役員(日本人です。)が丁寧な感じで過激なことを言っていました。「自分たちは日本の銀行がやらないことをどんどんやることに自分たちの存在価値を見出している。」銀行出身の年配者というと、人当たりは柔らかいが、腹の底は言っていることと違っていて、財務のいい会社には貸し込んで、お金の必要な若者の事業には貸さないで、と勝手に思い込んでいたので(失礼)この人の前のめり感はとても新鮮でした。
【こんな借り方 あるんです】
ここでご紹介する話は、知っている方も多いと思いますが、現実にそれを用いてベンチャーというわけではない、それなりの社歴の中堅企業の財務改善が行われた事例がある方法です。こうしたことを一生懸命やる金融機関も中にはあるのです。
・プロジェクト投資・・・担保を取らず、そのプロジェクトの将来性を評価してお金を貸してくれる方法です。もちろん、それなりの事業計画の説明力は必要です。そして、事業計画だけでなく、それを遂行できるという初期的検証を行った結果を説明したり、途中経過の説明も必要です。借りる方も決して楽ではありません。
・在庫を担保に融資(動産担保融資)・・・在庫を投げ売りすれば、多少のお金に変わります。時々そういう特価商材に小売店でも出会います。しかし、何等かの方法を変えれば在庫をキチンとお金に換えられるが、そのお金がない場合には、その改善プロジェクトのお金を在庫を担保に借りればよいのです。私の師匠(年下なんですが)がこれを得意としており、かなり厳しい状況にある在庫を有する会社の救済にこの方法を多用しています。
・売掛金を担保に融資(これも動産担保融資)・・・この方法は金融庁も積極活用を図ることを勧めていますが、銀行、企業とも消極的なところが多いようです。しかし、売掛金も在庫も貸借対照表上は現預金と同じく資産ですので、これを評価額に応じて売却する、担保にするということは可能です。それにより、改善速度をアップしたり、不利な借り入れを回避したりということは十分可能です。
【あなたの銀行担当者はこうしたことを教えてくれていますか?】
いつもの銀行さん、こうしたことを教えてくれていますか?より銀行にとって収益性が高いもの、リスクが低いものだけを提示してきていませんか?そうであれば、こうしたことを今後検討していきたいと言ってみて、否定するようならば、こうしたことに積極的な銀行を探す時期かもしれません。財務手法も時代によって変わっています。
なお、小さな金融機関でもこうしたことに積極的なところは意外にあります。ただし、為替、金利に関する商品にはくれぐれも注意してください。