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経費削減講座11 ガス代

前回まで電気代についてご説明してきましたが、その流れでガス代についてご説明します。
この記載はおおむね月額3万円以上使用する会社様が対象です。電気と異なり、ガス代は使わない会社はほとんど使わないで、2000円台の明細もたくさん見ますし、飲食店や介護施設などはとても多く使うという差があります。 ガスといっても大きく分けて2つあります。都市ガスとLPガスです。また、製造業で多く使われる燃料ガスもありますが、これは該当される会社も少ないので今回は省きます。(弊社ではこれらも鋭意対応しています。)

【都市ガス】
最初に都市ガスの話です。
20174月より都市ガスも自由化され、東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスなどのエリアで競争的な環境が始まりました。しかし、電気ほどの参入は起こっておらず、今のところ大きな価格競争にはなっていません。
これはガスには、各使用拠点の保安~引っ越すとガス会社が開栓手続きにきて、器具を点検するあれです。~を販売会社が行わなくてはならない、というルールがあるため、細かな人的配置が可能でないと参入できないためです。新規参入会社はどこも大手LPガス提供会社の既存のネットワークを自社、または業務提携などで活用することで参入しています。電気の発電送電の分離のような仕組みをなぜガスで採用しなかったのかははなはだ疑問ですが、当面のこれ以上の価格競争は起こらない、とみられます。

そのため、まず、都市ガスを今の会社から変えたら安くなるかを試算するというのが第一歩です。変更を申し込みすると新ガス会社が保安に来るようなので、自分でも気づかないうちに会社が変更されている電気ほど簡単ではないのですが、それ以外の設備変更などの面倒ごとはありません。ただ、エリアによっては、使用量が大きくなると従来のガス会社のほうが、新規参入組よりも安いケースもありますので注意が必要です。電気のようにいままでよりは安くなるはず、という構図はここでも成立していません。
以上が2017年に盛んにテレビでCMを目にしたガスの新会社の状況です。
もう一つのチェックポイントは、本当に今のプランが最適か?ということの点検です。これは飲食店や小型の介護施設などで月額が3万円を超えて、契約が一般契約のものが対象です。定式的に閾値を決められないのが難しいのですが、使用量が多くなると一般に「業務用契約」という契約(多くの会社で2種類あります。)のほうが安くなります。正確にいうと基本料金が増え、従量料金がうんと下がります。

ところがガス会社はこのアドバイスをなかなかしてくれず、長期放置されているケースがまだまだあるのです。実はこのプランはただ単にプランを変更すればよい、というだけでなく、一般契約では関係なかった時間帯別の最大流量を割り出す、という作業が必要になります。電気でいえば契約容量のようなものです。ところが、その値は一般契約用のガスメーターでは計測されていないデータなので、需要家にもガス会社にも正確にわからないというのがこれを実施する上での難しい点なのです。こうしたケースを見つけ出し、妥当性のあるデータを決めてガス会社に承認を受けプランを変更するとうまくいくとガス会社を変えるよりもはるかに大きく安くなりますし、両方一遍にやるとさらに安くなります。本当はこれの助言はガス会社がきちんとするべきだと思うのですが、今は民間の専門コンサルタントがやっているのが実情です。弊社も失敗するとお客様に迷惑をかけかねないので実はそういう専門家と組んで実施しています。

さらにその上になると以前から自由化されていた「大口契約」という分野が存在しています。弊社が見たのは、大型の金属加工工場やスーパー銭湯などです。ここは実は以前から地域ガス会社に電力会社が激しく勝負を挑んでいるような領域でして、交渉と相見積もりで下げる、という高圧電気に近い状況があります。おそらくガスの大口契約をしておられるかたはこの状況はよく知っておられるので、ここではご紹介にとどめます。

LPガス】
これに対して、LPガスはずいぶん前から価格が自由化されています。皆様のご自宅のガスがLPガスなら基本料と単価を見てみてください。ちなみに私の自宅の単価は1㎥あたり950円です。これはとても高いのですが、賃貸の集合住宅なので大家さんの指定で変えられません。(この説明は自虐ではなく、あとで意味がある説明です。)これに対して、私が知る限りある飲食店チェーンさんは現時点で200円を少し超える単価です。一契約当たりの利用量は確かに数倍違いますが、こんなに差があるのです。
従いまして、LPガス料金を下げる第一歩は、「価格は自由交渉なんでしょ」と交渉することです。ただ、お願いしても聞いてくれないケースは多いでしょう。以前もお話しした、強力なBATNA(次善の選択肢)が必要です。

その場合は、会社を変えることなのですが、いくつか面倒ごとがあります。まず、ガスの供給設備を自社で占有的に使っている場合はよいのですが、ビルなどでは2施設以上が共同で使っている場合があります。そうなると自社用に新しいガスの配置設備とガスの配管を用意しなければならないことになります。このガスの配置設備は、法定で安全性の基準が定められていて新設が簡単ではありません。そのため、複数施設が共同で一つのLPガス設備を使うようなケースでは変更は難しいのが実情です。
また、どの会社も選べるというわけではなく、LPガスを供給できるかどうかは緊急時に一定時間内に駆け付けられる距離に保安拠点があるかどうかがポイントになります。そのため、全国を一社で統一というのはなかなか大変です。ただし、逆にいえば、これが満たされれば、複数拠点を一つの会社にまとめるのでボリュームディスカウントをしてもらう、という対策は実施しうる、ということでもあります。弊社はこの作戦をよく用いています。
最後に、実は建物のガス設備は建物保有者ではなく、ガス会社が保有している、というケースが多いという問題があります。そのため、ガス会社を変更しようと思うと、今のガス会社が設備を買い取れ、と要求してくるわけです。これをスマートに解決してくれるガス会社を変更先に選べばよいわけですが、なかなかそれは一般の方にはわからないもので、弊社のような専門会社に依頼が多いのはこうしたケースです。

【必殺技】
先ほど都市ガスの話の中で触れませんでしたが、都市ガス会社といっても東京ガスのような一地方全体を対象にした巨大な会社以外に、1市町村など比較的狭いエリアで営業している都市ガス会社も多数あります。実はこういう会社はあまり安くないケースがあります。こういうところにある工場でガスを大量に使っているような場合、これをLPガスに転換してしまうとそのほうが安くなる、ということが起き得ます。弊社でも一例だけ成功しています。もちろん、設備投資などは生じますし、相場変動のリスクがないわけではないのですが、それを上回るメリットがある場合もある、ということであきらめてしまわないことです。ほかにも災害時の復旧速度が速いというメリットもこの転換にはあります。
ちなみに同じ体積で比較するとLPガスのほうが高いのですが、LPガスは体積あたりのエネルギー量が都市ガス(13A)の2倍以上ありますのでこういうこともありうるわけです。

以上 ガス代に関するワンポイント講座でした。

 

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