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令和のビジネス青春群像①

(タイトルからしてすでに時代錯誤ですが)

若者への不満をいう高齢者はホント多いですね。誰もが自分が正しいと思いたがりますが歳を取ると前脳が柔軟な対応をしにくくなり、自分の規範とは異なる規範を排除しようとするからです。前回は、そうした経営者の姿勢が退社率の高止まりに紐づくと言う事を述べました。

率直に言って、今の若者たちはすごいと思います。私の時代(1970年代生まれ)からすると大違いである。自分の学生時代、20代など思い起こせば恥ずかしくて「ワァー」と声がでてしまうことが沢山あります。
もちろん、全員すごいというわけではないし、困ったこともないわけではないが、学校教育がどうの、政治がどうというが、この分野では日本は正しい変化を起こしているとも思います。その変化をキチンと認識していない経営層が中小企業を中心に多くいるということがむしろ問題です。生じている変化をいかに取り込み、対応するかを考えることができずにいるからです。

そういう私も以前の大企業グループにいる時は同年代が多く実はこのことがよくわかっていませんでした。このことは実は市場対応の出来る組織にしていく、という観点ではキーポイントです。今、日本の人口構成は70代(団塊の世代)が一番多く、40代(段階ジュニア)がその次、30代、20代はどんどん減少していっている。会社の人口構成も古い会社ほど、バブル期の大量採用が50代に差し掛かっておりたくさん残っていて、30代、20代は頑張ってもやはり多数派にはなれないでいるのが従来型の大企業です。こういう会社は多数決+年功序列の決済権により「古い当たり前」が「新しい当たり前」を排除しているのです。悪いことに、日本の商品やサービスの市場のマジョリティもその世代にあるので、その「古い当たり前」は商品を売るという段には結構通用してしまいます。そのため、組織運営もそれでよいとなってしまっているようにも見えます。

その後、20代が多く勤める会社に勤務し上司が年下ばかりという環境を知り、今はそうした若い会社のいくつかに、場違い感満載で居心地悪そうに座りながら、子供と同級生でもおかしくない社員たちの言動を子供を見る親の様に観察しています。

そこで今日と次回は、「新しい当たり前」、つまり今の若い人たちが持っていて私を含む古い世代の多くが持っていない経験とスキルをご紹介し、「若者の力を生かす」(活躍の機会を増やす)一助になるようにしたいと思います。

企業での就業経験を通じて興味分野とその実情を理解している

昔はインターンといえば、理系では関連業種の企業での夏休み中の1,2週間の見学・実習でした。文系ではそれすらありませんでした。今、多くの大学では、継続的なインターンが単位として認められるという制度を運用しています。学校の単位の期間は1か月未満と短いケースが多いのですが、一部の学生は自分の興味の対象範囲で独自にインターンを継続しています。これは「就職に有利」という幻想のほか、その分野での自分の能力開発や実務知識を向上させ、あるいはより深く知ったうえで最終的な就職先を決めよう、という背景があるようです。その過程で企業の戦略、ミッション、遂行方法や管理方法と言ったことを彼らはある程度見知って友人間でも情報交換して、そのうえで働く会社を選んでいるのです。これは私たちの時代とは全然異なります。すごいケースだと、インターンとして「営業にいったことがある」と上場企業を次々あげるような学生がいたりして、こちらが紹介してほしいぐらいだったりします。新卒で入って来る時点で実務的なスキルや人脈を持っている人がいる時代なのです。

逆に中小企業でも技術や商品のアピールに自信があるならば、インターンを受け入れる、というのもチャレンジとしてよいと思います。労働力として期待するというよりも、会社と社員の変化のきっかけとしてです。ただし、学校や行政の思惑とは裏腹に採用という面では中小企業にとってのメリットはなかなか期待できません。彼らは「成長環境重視」の色合いが非常に強い一方、生活についてはバランス型を志向している傾向があり、昔の「生涯の安定志向」とはやや相違するものの結局大企業が有利な状況は続いています。

起業ということが現実的な選択肢としてとらえられている

大学出てすぐ、あるいは勤めて1,2年で起業する20代に最近よく会います。さらには、20代で「起業を支援する」という私のライバル事業者までいます。私の時代にはそんな人はほぼいなかった。(同級生に1人だけいました。)できるだけ大企業に勤めて、そこで課長、できれば部長になり、家をたてて車を買って定年を迎える、という人生設計を疑うことはほぼありませんでした。(私は一つも実現できませんでしたが)これから外れるとしたら、医師、弁護士、大学の研究者といった道が候補になるぐらい…

なんか考えが足りてなくて危なっかしいなあ、と彼らを見ていて思うのですが、彼らに共通する強い特徴は、皆が、「このサービスは世の中のこんな不便が改善する」と社会的な効果を堂々と主張することです。恥ずかしながら、私は心からそう思って商品を売ったことはあまりありませんでした。大抵他社にもっといい商品があったからです。そして、企業内で新しい、日本一と自負するサービスを作りだしたことも何度かありますが、顧客に売れない以前に、営業部や親会社を説得できず売れないということが多くありました。それは若いころの自分の力不足でもあるのですが、だからと言って起業しようとは思わなかったものです。

もちろん、そんなに簡単に成功するものではなく失敗することもあるのですが、そうした人は若くして様々なマネジメントの知識を有しています。マネジメント能力とは年数ではなく、どれだけシビアな決断を自分でしてきたかで決まるものであり、経営者の1年は大企業の部長の10年にも勝る経験です。こういう人は、新規事業リーダーとして社内に囲っておくべき人材であると私は考えています。

なぜ、こんな変化が起きたのでしょうか?自分の力を信じ、自分を肯定して生きるということは私たちの世代では良くないこと、自分を卑下して人の下に置き、奴隷的に働くことが道徳的とされてきました。学校でも家庭でもそう教育されてきて、そうではない人を「協調性がない」「自分優先」と排除してきました。それがこの2,30年で教育は大きく変わり、正常な自己認識の下、自分は生きる価値があり、祝福されるべき存在だということをベースに行動することが今の若者の原理になりました。アメリカや中国の若者にこの点では近づいていると思います。この変化こそが、年寄りが若者にイラつく「文化の衝突」の根源であり、同時に若い日本人にチャレンジする人が増えた背景でもあると思うのです。(もちろん、全員というわけではありません。)

もちろん、自分の価値を信じていることと自分勝手であることは全く別の事項です。ただ、電車内で妊婦さんに席を譲るのは、中年サラリーマンではなく、若い学生さんや若いOLというケースが多くありませんか?中年サラリーマンは寝たふり、見て見ぬふりしている人が多いですよね。会社では奉仕的で自己犠牲的なのかもしれませんが、社会の中ではそれは適用されないんだなあと思いながら見ています。

新しいスキル~主体性、ファシリテート~

これも私の世代にはなかったものです。今の若者のうち、優秀な層は、グループをうまく運営するという技術のトレーニングを受けています。私の時代は、小論文がようやく普及し始めたころで論理的に文章を構築するとか、面接でもその論理構成をわかりやすく話すとか、そういうトレーニングは必要性を感じていましたが、基本的には上意下達の学校、企業運営でした。その中で実りあるディスカッションをするとか、うまく合意形成するとかいうことを学生時代や下っ端社員時代に意識することはほぼありませんでした。それが学生たちのアピールを見ると、「ファシリテーションスキルがあります」とかいうんですよ。そんな言葉30歳過ぎてから本読んで知りましたよ。

入社面接でも大手企業ではグループワークを取り入れるところが増えていますが、以前一度年齢がバラバラのグループワークに参加したことがあるのですが、年長者は多くが下手です。長々と主張する、あるいは全然しない。賛成、反対がゼロ、百でしかも論理的に未熟。相手の意見を引き出すのではなく、打ち負かそうとする、など今の時代の「ダメな上司」そのものがそこにはありました。

ただ、このスキルは集団の中で多数派がその流儀(明るく、活発に。否定しない、前提を明らかに…)を理解していないと組織内で浸透し効果を発揮しません。そのため、会社で普通に会議をしても彼らは潰されてしまいます。それを防ぐには、このようなスキルを持った人達を多数派にして会議体を形成するよう管理側が仕組む必要があります。組織を変えるには、そうした「古い常識の排除」が経営の意志として必要な場面が多くあります。

こうしてみると、学校での、「優秀さ」の定義自体がずいぶんと変わっていることを感じます。しかし、「会社」では、その優秀さの定義が変わってこなかったのです。

今頃になって財界では、「企業に頼る時代は終わり、これからは個人個人がプロの職業人であることが求められる」と言い出して、50代は逃げ切りを図り、40代は途方に暮れているわけですが、こうした若者たちはその時代に対応できる教育を受けてきていることを感じます。やばいのはやっぱり40代以上です。


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