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新分野への対応力をつける

新規事業を立ち上げようと思うと、未知の事項への対応をいろいろと求められます。本当は、「業界を調査して主要なプレイヤーと競争状況を知り」「規制(これは必ず対応しなくてはならない)や品質基準を官公庁に問い合わせしながら調べて」「戦略を立てて、小さく実行して検証して」そのうえで修正して始めることができればよいのですが、大企業ならまだしも(大企業出身のお客様は新規事業に際して、私に最初に「市場調査」をご発注してくださいました。)、中小企業ではそんなことを言ってもそれを専従してやれる人材もいないし、悠長に構えるほどの時間軸(先行投下コスト)も用意できない。誰かが短期間に多少乱暴で漏れがあっても、「形にしてスタートしてみてから考える」必要があるのが中小企業の新規事業です。もちろん、このやり方は危ないです。

なぜ既存の中小企業にはイノベーションが起きにくいのか?それは新規事業を考える時間とコストが大企業に比べて投下しにくいからであり、それは資本政策などを取りにくいことと合わせて、資源の重点再配分が難しい(余裕があまりない中、潰れるリスクを取りえない)ことが原因です。危なくてもこうならざるを得ないことを受け入れて対策を考えなくてはならないと私は考えています。

まずは、新規事業は、市場か技術か、商品かのいずれかがその会社にとって未知であるから新規事業なわけで、その部分をできるだけ素早くキャッチアップしなければなりません。私たちも、そんな「新規事業」をお手伝いすることも多くあり、また、そうではなくてもニッチな事業のお手伝いをするとなると、私たちにとっては全く未知の新規事業なわけで、「毎日が新規事業」のような状況です。

 ここ1か月程度を振り返っても、衛星画像の深層学習処理による商品化、地方の地域旅行社の設立課題、海外の防水塗料メーカーの日本進出、ベトナムへの日本の健康食品等の輸出販売、訪問介護の請求システムからの経営管理情報の抽出、おむつの減容処理機の販売体制整備…改めて書いてみて自分でもよくこれだけついて行っていると感心しました。これをまた、相手の会社の方が途中までは研究していて要領よく私にレクチャーしてくれるところから始まれば私も楽なのですが、上の例では、深層学習以外はそれはありませんでして、「何を知らなければならないかを知る」ところから自分で始めなければなりませんでした。それはおそらく多くの中小企業も同じ問題に直面していると思います。そこで専門性もなく、時間も限られた並の人間である私がどうしているか?は少しは参考になるだろう、と思いその辺を整理してみます。

①何を知らなくてはならないのかを知るには

まず、その業界、技術に関する本を3冊買います。しかし、本屋にはいきません。そういうマニアックな本は本屋に行ってもありませんので、アマゾンか、Honto(丸善等)で在庫がある方で買います。そのため、弊社の経費で人件費、営業交通費の次に多いのは、図書費です。3冊は少しずつ違う分野、違う著者の本で、できるだけ網羅的に解説しているような本をうち、1冊は必ず買います。残りの2冊は技術面からの本、業界課題や社会変化への対応などを論じたようなものを選ぶこともあります。できれば新しい方がよいのですが、10年ぐらい前のものでも「新しくはない」ということを踏まえて思い切って買います。(ニッチな業界の本は、新しいものがあるとは限りません)

 若い方は、「ネットを調べれば出てくる」と言って本不要論を言われる方もいますが、それは「何がキーワードであり、何を知りたいか」まではわかっている状態では有効ですが、それを知るためには、依然として本はとても有効な方法です。本は、ある程度のまとまった情報を効率よく入手するにはとても優れた方法です。ただし、そこに書いてあることがすべてではないし、必要がことがそこにあるとも限りません。そして、それは読んでだいたいのその業界の知識を知った後ではないと判断できないので、買う段では「賭ける」しかないのです。

そういうわけで私事、妻は私に「買ってろくろく読まない本があるのはもったいない!」と怒るのですが、確かに3冊買って、ちゃんと読んでいるのはそのうち、1,2割のページだと思います。あとは、目次と図表だけ程度に近い。それが良いとは思いませんし、余裕があるならちゃんと読みたいのですが、とりあえず、「その分野の専門家なら誰でも知っているような基礎知識」と「その分野での変化の方向性」が「その分野のキーワード」とともに分かればよい、というのが最初の到達点です。ここまでを届いたその日の晩のうちにやってしまうように心がけています。(翌日やっているときも実はありますが)

②知るべきことを知る

 そこまでいくと、何がキーワードか、何がKSFなのか?がなんとなく想像できるようになります。そうしたら、その関連のwebでの検索により新しい情報や、業界のプレイヤーの情報を知ることができるようになります。本にはこれらの情報は書いていないからです。特に、「誰と組むべきか」を考える時には、ただ大きければよいというわけではありません。その辺を想像しながらTwitterなどももちいて情報収集をします。その辺のやり方は以前、こちらの記事に記載しました。このやり方で、漁業も防水塗料も、知識0から最新の情報を収集しています。


 上の記事で書かなかったもので、もう一つ多用しているのが、「その業界をよく知っている人に会って話を聞く」というものです。これは相手の時間を無駄にして、自分のバカさを世間に広められないよう、一応上の2つをやったうえで、人づてに「参考になりそうな人」を探して面会をお願いして情報収集をしています。そうして得られた情報でないと、「味方」と「敵」を見誤る危険性があるのです。あるいは、この先、まずどの順番に市場にあたるべきかなどの情報はその業界をよく知っている人に教わるのが一番です。

以前はこの方法は本当に人脈をたどるしかなく、その人脈を有することが一つの競争優位性でもあったのですが、最近では、ビザスクに代表されるマイクロコンサルティングサービスでネット上で面会の機会が得られるケースも増えてきました。実は私のところにも、こうしたサービスからの「スポットでの相談依頼」が時々舞い込みます。ただし、この方法、自分のところにも来ると書いてからいうのもおかしな話ですが、費用がかかる割には玉石混交で外れもあります。人づてでわかっている人から紹介される方が品質は良い。もう一つ、この方法が有効なのはほぼ東京だけです。今の私の悩みはこの「調査コスト」をコンサル費用に上乗せすることがなかなか難しいということです。

そうして一週間もたつと一人前の口を利けるようになる、というのが私の今のところの新規事業のスタート方法です。お役に立ちますでしょうか?自分はこうやっている、みたいなことがあればぜひお教えください。私自身、本当に参考にしたいと思っています。

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