普段、私は「若い人の慎重さを欠いた猛進を尊重するべき」といい、また、「35歳ピーク論」を主張するところではあるのですが、それでも、50代のいいビジネスパートナーに出会った、というのが今回の話です。
少し前まで、お客様のEC事業のロジスティックス改善のお手伝いで大きな物流会社いくつかとの間で業務合理化とこれに伴う費用低減についてご相談をしていたのですが、その中の1社の本部役職者の方が50歳ぐらいの方でした。この方が、現場のTips、それにEC事業の競争要素に関して大変お詳しくて、価格交渉が本質なはずなのにずいぶんと話が弾みました。
いえ、詳しいだけではないのです。先方からの価格低減のための要望事項を説明するにも、簡潔にそのバックグラウンドを教えてくれ、自社、および個人でできる範囲の情報提供をしてくれます。しかも押しつけがましかったり、軽薄だったりしないが、明るい感じで話してくれます。要は「お互いのメリットを最大化するように情報を開示しあって相談しましょう」という事が伝わるように話すのです。交渉学でいうところの「統合型交渉」(分配型ではない交渉)を上手にやれる方だったというのが一点目です。
私は「交渉アナリスト一級」でして、名刺にも記載しているのですが、それには「そんなのあるんですね」と雑談していたので、特段勉強したことがあるわけではないようなのですが、この方は自然に「どのようにすれば統合型交渉を成立 させることができるか?」を会得しているようでした。
もう一つ、商談が快適だったのは、現場の実務のコスト感や躓きポイントを自社、顧客両面で相当よく知っておられて、それを教えてくれることでした。その上営業として、いろいろなことを考え工夫しながら取り組んできたことがわかる方でした。歳をとると、現場の情報がアップデートされておらず、総論とお天気の話しかできなくなる管理職がいますが、この人はむしろ、「会社のことはいろ いろ問題はあるが、自分は現場のことは一生懸命です」という感じでした。
また、決済が最終的には、本社の上の方の役職者になるわけですが、その意思決定に必要な時間も明確でした。(ちょっと遅いんですが)
もちろん、年齢だけではなく、地頭の良さもあってできていることなのだと思いますが、それにしても、この方の場合、おそらくは20年ほどの間、積み重ねてきたものが存分に発揮されていました。
こういう方って、何年かに一人ぐらいお会いします。共通しているのは次のような点です。
これらは、もちろん、年を取っていればできるというものでもありませんが、いい大人の手本を見た思いでした。