前回に引き続き、そんなに大きな額ではないかもしれませんが、簡単に下げることができるような、「知ってるだけで得をする」情報をさらにご紹介します。
【振込手数料】
総合振り込みに関しては、振込代行サービスというのがいくつかあります。大手各社はだいたい1件税込280円(税抜260円)で振り込みが可能です。月額基本料はかかりません。サービス会社によって、資金移動のタイミングや制限、相手への口座名義の通知方法にすこしずつ相違があります。各社のシステムでは銀行のEBの総合振り込みと同等の機能が使えますので、振込手数料が260円よりも高い場合は、これを利用すれば確実に安くすることができます。
ただし、このサービスへの資金移動の手数料は1回、今の銀行で発生してしまいますので、1回あたりの総合振り込みの件数が5件以上はあるようなケースで利用するのが適切です。また、給与振り込みには対応していないか、対応していても銀行と比べて価格メリットが小さいケースが多くなっています。過去に大きな効果があったのは検針業務など個人への業務委託が大量に発生している会社様でした。
一方銀行では、定価ではジャパンネット銀行が他行向け3万円以上で税込み270円(税抜き250円)、楽天銀行が同税込み258円としており、これが現時点での通常利用できる銀行では最安値です。ジャパンネット銀行は他の銀行同様に基本料がかかりますが導入キャンペーンで一定期間は無料になります。楽天銀行は月額基本料もかかりません。個人事業主や小さな新しい会社では請求書の振込先がこうした新興銀行になっていることも増えてきました。もう、銀行窓口にいく必要があることはそうそうありませんので、振込についてはこういう銀行を使うというのも手ですし、そうしたことを調査したうえで、今の取引先銀行に相談すると多少なりとも下げてくれることも多いようです。
このお話をすると、経理責任者の方は、「銀行との間で摩擦になるようなことをしたくない」、と嫌がられます。でも、銀行にとっては、御社の月何万円かの手数料収入なんて実は何の関係もなくて、借入や商品の購入の方が何倍も儲かるのです。相手の動機も見極めて交渉してください。
【PC】
多数のPCをそろえる際、システム開発、デザイン、CADなどマシンパワーを要する会社ではない通常の会社様だとそこまで高性能のものである必要はないでしょう。そうした方には、「リファービッシュPC」をお勧めしています。簡単にいうと中古品ですが、企業等でリースで用いられたものを買い取り、再整備しそれを正規のOS(マイクロソフトには、リファービッシュPC用のOSがあり、正規ライセンスを受けた整備事業者はこれをセットアップして販売することができるのです。)をインストールして販売しているものがあります。もちろん、結構な美品が多いです。(ひどいものは販売できませんので)
一昔前は年に4回パソコンの性能が向上する時代でしたが、今では性能向上も落ち着き、普通の事務用途なら5年前のものでも十分実用に足ります。一定期間の保証もちゃんとした業者はついていますので、それを確認して選んでください。また、その会社専用のセットアップをしてくれるような会社もあります。パソコンなんて道具ですから、安く済ませてしまいましょう。
【宅配便料金】
お客様からご要望が強いにもかかわらず、ここ数年はほぼほぼ成功していないのが宅配便料金です。これは、昨今の値上げの流れの中で通常の宅配便からメール便へと各社の値上げの流れが広がっているためです。一日に数千個というような大規模な発送事業者ですとまだいろいろな作戦の立てようがあります。しかし、そうではないところがほとんどでしょう。
この際、「できるだけ発送しないこと」「できるだけ高いヤマトを使わずに、郵便に替える」「できるだけ小さくする」に取り組んでみてはいかがでしょうか?
私自身、お客様のお手伝いをする前は、事業者としてこの費用の削減に取り組んでいたのですが、この問題に取り組むうえでの最大の障害は、「コスト感覚の低い経営層、営業」です。簡単に「朝一の便で到着するよう手配します。」「明日着です」と約束したり、メールで済ませられそうなものを「紙で送ることに誠意がある」と言ったり、週に1日でよい支店間連絡便を毎日にしたり、愚痴のようになってしまいましたがそういうことを変えれば単価交渉するよりも、ずっと大きく費用は下がるのです。あるいは、請求書類や案内書類を宅配便で送る会社がありますが、これは信書法上の違法行為です。その上、郵便の方が安いです。
手渡ししてくれるから、配達確認が取れるから「自分が安心」と言いたいのでしょうが、もったいない話です。
また、もっともサービスが安定していて時間指定がしやすいのはヤマト運輸ですが、他社に比べて高いのも事実です。最近はなかなか値引いてくれませんが、それでもゆうパックの方が一般には安いです。それから、サイズが小さくなるとずいぶん安くなります。なんで某通販A社はあんな大きな箱でいつも送ってくるんでしょう?量を減らすほかにぎりぎりの梱包で発送すれば、安くなります。
そういえば、月末になると、角印押して請求書を郵送する、というのも経理担当は、「紙ではんこを押してもらったものをください」と頑固に要求する傾向がありますが、なぜメールや電子データではだめなんでしょう?法律上や税務上はメールでもらったものを印刷して対応することでなんら問題はありません。こうした時間、お金を無駄にする「思い込み」「慣習」を他社より先に捨てていくことこそ、本当は一番簡単な経営改革だと、この仕事をしているとつくづく感じます。
今回はこんなところです。