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【経費削減講座26】この時期に設備購買を検討される方へ

このシリーズ、25回書いたところでネタ切れで2か月以上休止していました。

 

以前はこの経費削減コンサルを本職にしていたこともあり、今でも昔からお世話になっている方からの問いあわせの半分以上が、この関連です。ただ、今はこれ単体で成果報酬で削減をお請けするということは弊社は基本的には辞退させていただいて、外部の力のある会社を紹介するなどの対応をおこなっています。事後の(たとえば一年後)成果報酬では弊社の資金的な問題があるのと、真剣に丁寧にこの業務をやろうとすると、ものすごく工数がかかり他業務に影響がでること、それにこれ単体では削減できる幅は決して経営者の方が期待されるほど大きくはないケースが多く、本当に困っている会社は救えない。他のものと組み合わせて体質自体を改善しないと収支改善の効果を発揮しにくいのです。その中で安易にお請けすると経営者の方の弊社に対するがっかりを生んでしまうことを恐れている、ということが理由です。

もちろん、実費ベースで今後の長期的なご関係が可能であれば実施しておりますので、それでもよろしければご相談いただければ、と思っております。

 

さて、久々にこのシリーズを書き始めたのは、1月も中旬になり、主要メーカーの決算期が近づいてきたからです。過去数年の状況を見ると、やはり2月から3月にかけて調達に対する安値が提示されやすい傾向が顕著にあります。各メーカーはメディアやIR資料等では「乱売を抑止し価値をきちんとアピールする営業を進める」と表向きは言うのですが、営業の現場は概してそうはなっていません。営業はそんなに口で言うほど簡単ではないと体感としてわかっていない人がそんなことを言っても、ノルマに対して不足している数量をこなすために現場の営業は必死ですし、本部からもやはりこの時期販促支援金的なものを出して数量を確保するという動きが一番出やすい時期です。特にメーカー間の差別化要素が少なく単価が大きい複合機や事務機器類、それに台数がまとまり継続的な利用が見込める法人向け携帯電話は条件が出やすく、買う側にとってはいい時期、売る側にとっては実は他社のものでも不便がないという事実に悲哀を感じる時期です。

 

こうした機会をうまく利用するにはいくつかのポイントがあります。

1 複数ベンダーの比較検討を行うこととする。それらが比較できるような見積もり取得の日程計画を立てる。見積もりのためのデータの準備をする

3月に入ると自社も忙しいですし、営業の電話での押し込み圧力も高くなり、平静に比較検討をする、ということをおろそかにしがちです。今からスタートしましょう。また、今とは違うメーカー、たとえば今同じ商品でシェアトップクラスのメーカーを採用しているならば、中位のメーカーの見積もりも取ってみましょう。中位メーカーは上位メーカー以上にこの時期必死です。さらに、その準備として、見積もりを取る前に現状の利用量や配置個所、単価などのデータを整理してみましょう。

多くの会社で自社の中でも単価がバラバラであるとか、実はある個所は不足しているが、ある個所は余っているなどの、「買う以前の問題」が潜んでいます。日程に余裕をもって始めればこれらに気づきやすいのです。

 

2 他にセットで商談できるものがあれば加える。ただし、本当に必要なスペックかどうかは吟味する。

一拠点ではなく、全拠点。あるいは複合機だけでなく、テレビ会議システムやプリンターも、とパイを広げて交渉することは、相手が「残り予算を詰めたがっている」という状況がわかっているときには効果的な方法です。この時期は特に効果的です。管理上も、ベンダーはできるだけ集約されていた方が手間が減りますし、次への交渉も便利です。この機会にベンダーを集約する方向性を持つことを検討するとよいでしょう。

逆に、この時期今のベンダーから提出される見積書に特にありがちなのが、「機種のアップグレード」。それから「リース期間の5年から6年への変更による見せかけの月額費用の削減」です。営業担当は、なかなか小さなものを積み重ねても予算達成には近づかないので、既存ユーザーの大口案件を目指すことを考えがちです。そして、「利用量がずいぶん増えている」とか、うまいことを言って上位機種を買わせようとするのです。ユーザーにとっては月額リース料ですが、売った人にとっては、そのリース料の合計額に近い販売額(あるいはその粗利額)が評価対象ですので、このような行動がとられるわけです。

私の経験上、アップグレード提案を受けて、本当にアップグレードが必要なケースというのは少ない。そもそも運営に支障が出ていればそれ以前に変更されているケースが多いし、「少しでも快適に」のためにお金を払う必要はないケースが多いし、実際体感は変わらないことも多い。(そもそも使う方の人間がそこまで早いわけではないし、実は時間をフルに有効活用しているわけではないのだから)むしろ、複合機などはダウングレードしても全然大丈夫というケースも多いです。そこを景気よくやる必要は全くないです。

 

3 「買わないで見送る」も選択肢の一つとする。

以前もご紹介しましたが、交渉をうまく進めるもっとも有効な方法は、「BATNA(実行可能な次善の策)を用意する」ということです。それが相見積もりであるわけですが、もう一つ有効な方法があります。「目標値に満たなかったら、半年延期して再度調査しなおす」という選択肢です。本当に壊れて困っている、というのではない買い替えの場合は、これでもよいことも多いはずです。私たちのように目標価格水準や原価を知っているプロは、そこを目標値に交渉を進められますが、そうでなければ少し大きな削減幅を狙って、それが実現できなければ「もう少し使い続ける」としたうえで再度挑戦してもよいのです。焦ってはだめです。

 

個別の商品群については、このシリーズにいろいろ記載してきていますが、過去の記事のうち、この時期に当てはまりそうなものを再度リンクを掲載しておきますので、併せて参考にしていただければ幸いです。

・複合機 https://wp.me/pa0sBp-3P

・法人携帯電話 https://wp.me/pa0sBp-2z

 

そういう私もかつては、相当期間、「売る側」でした。決算期前にこうした対応を取られる賢いお客様にあたるととても陰鬱で悲しい気分になりました。それを買う側に立ってこんな記事を書くのは、今だにその現場で汗を書くかつての同僚もいるだけにちょっと心が痛みます。

 

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