2 固定電話費用の減らし方
削減手法のご紹介第一回目ということで、どこの会社にもある固定電話についてまずはご紹介したいと思います。
近年では携帯電話の利用割合が増え、大きな額の発生する固定電話の明細を目にすることはコールセンターなど特定の業種を除いては少なくなってきました。これは携帯電話の電話帳機能がとても便利なことと関係があるように思います。
【まずは電話代の明細を見てみてください】
電話代の明細に何が書いてあるかをよく見ることは実はあまりないのではないでしょうか?経理担当の方が入力してしまったあとは、元帳の一行のデータに支払先と金額が書いてあるだけになってしまいますが、経費削減に取り組むには、その前の請求書や明細のレベルでできる限りの情報をそろえることがとても大事です。
大きな会社では何枚ものつづりになるので表紙だけとって後のページは捨てていたり、あるいはまとめ請求をご利用になっている場合もあるでしょう。そのような場合でも一二か月かけてでも明細をご用意いただくことがまずスタート点です。
明細を見ることができましたら、その中に携帯電話向けの通話料がどの程度あるかということをまずは確認してみてください。そして、もし通話記録明細があれば、あるいは社員の皆さんにインタビューして、携帯向け通話のうち、どのくらいの割合が会社から携帯電話を支給している社員向けであるか、ということを確認してみてください。
固定電話費用を削減する手法は、それこそ非常にたくさんあり、大企業では特殊な方法も存在しますが、ここでは中小企業の方が多い前提で、端的に2つに分けてご紹介します。
【基本は「ひかり電話」】
まず、社員の携帯向け通話量が概ね全体の費用の半分以下の場合には、「ひかり電話」の採用が現時点では一番おすすめです。
同じ事務所におそらくは、フレッツ光、あるいはその光コラボ版を引かれているケースが大半だと思います。光コラボ、というのはNTT東西の「フレッツ光ネクスト〇〇」という商品を各社に卸し販売しており、その各社が価格や付帯サービスを工夫しているものであり、回線サービスの品質自体は元のフレッツ光ネクストと全く変わりがありません。
そのすでにある光ネット回線に、電話機能を付帯することができ、今ある事務用の電話番号(通話料、あるいはINS通話料という記載がある電話番号)を多くの場合、番号を変えずに移行することができます。(現在の電話回線の提供会社等により同番号での移行ができない場合は一部あります。)
この方法が優れているのは、基本料も、通話料も大変安くなることです。通話料は、NTT提供の場合3分8円(固定電話向け)です。携帯電話向けも大変安くなります。実は、通話料次第ではここからさらに安くすることも可能です。
さらに、基本料は、ネット回線の料金+500円です。今、固定電話で各種オプションを使用している場合は、ほぼ同額でひかり電話にも同機能のオプションがあるものが大半です。
そのため、通話料がさほど多くない場合でも、既存の回線の基本料(アナログ回線で2300円~INS回線で4800円程度)が500円になる効果があります。さらに現在、NTT東西のフレッツ回線をお使いの場合、光コラボへの「転用」(会社を変えることをこう呼びます。)により光回線の基本料自体も数百円から最大1400円程度削減することも可能です。という感じで数段階の削減が可能です。
【ひかり電話の注意点】
今後、すべての固定電話は数年後にひかり電話ベースの商品に置き換わる、という方針がNTTから発表されています。その詳細や従来回線からの移行サービス等についてはまだ詳細は発表されていませんので、狼狽する必要はありませんが今後の主流技術である、ということは間違いありません。
しかし、かなり古いPBX(電話交換機)をお使いのケースでは、このひかり電話に対応していないケースもまだあります。その場合、PBXを対応機種に更新する、となるとそこそこの規模の投資になってしまいます。PBXだけならばまだ対応する中古機を用いるなどの手法もあるのですが、ビジネスホンまでリプレースする必要がある、となるとなかなか厄介な話になってしまいます。
このような場合、ひかり電話では0120で始まる受信者が費用を負担するサービス(フリーダイヤルなどの呼称で知られる)でも、料金が削減できますので、通常通話料が多く発生していることが多いこの回線(正確にはこの番号が上に乗っている通常の電話番号)だけ対応できないか検討することか、次にご紹介する、投資がいらない方法を用いられないかを合わせて検討することとなります。
【携帯電話と合わせて安くするには…】
私たちは、一般にはネット回線、携帯電話料金、固定電話料金を合わせて一番安くすることを目指します。今回も携帯向け通話が多い、そして携帯の通話料も多い、という状況であれば、携帯電話(別の機会にまたご紹介します。)で社員同士の通話料を0にし、会社向け通話料を0にする、あるいは会社から社員の携帯への通話料を0にする、というようなオプションを使いながら、固定電話の通話料と基本料を下げるようなことも選択肢となります。
もっとも一般的に用いられる手法は、固定電話を例えば、ソフトバンクの「おとくライン」というサービスを用い、携帯電話もソフトバンクにし、そのうえで上のようなことが実現できるよう必要なオプションをつけるよう交渉するという方法です。
ただ単にそれぞれを普通に申込だけでは全部は実現しないことには注意が必要です。
おとくラインは通話品質レベルが従来のNTTの固定電話サービスと全く変わらず、会社内工事も多くの場合不要なため使いやすいのですが、最近ではNTTの線路構造が理由でお申し込みできない建物も多くあり、どの会社でも適用可能、というわけでもないのが難しいところです。
もちろん、他社でも似たようなサービスはありますので調べてみてください。
【最近の潮流】
私は普段、Skepeを愛用しています。簡単な用事はメールでも電話でもなくこちらのチャット機能で済ますこととしています。これにはテレビ電話機能もあるのですがこちらはまだ使いこなせていません。こちらは通話料はかからず、ネット回線費用だけで利用できます。
LINE,Facebookメッセンジャーなどコミュニケーションツールも多様化しており、費用や手軽さという点では便利な手法が増えてきましたので、徐々に固定電話の通話料はこれからも減っていくのでしょう。
でも、営業上はやっぱりメールしても返事くれないケースが大半だったりしますので、少し声を高めにしながら勇気を奮って電話する、というのはまだまだなくならないのでしょうね。