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中小企業の副業人材活用の具体的ポイント②

前回と今回は、中小企業が副業人材を活用してイノベーションを起こすためのポイントについて解説しています。前回は、人材の見極めと契約などについて、こちらでまとめました。

今回は、前回の仕組み構築に続いて、副業人材との「実務の進め方」について具体的にご説明したいと思います。

①連絡方法と情報開示

 副業人材の貴社業務従事時間は、基本的に貴社の「勤務時間外」です。ですので、面会、会議、電話などでのコミュニケーションが大きく制約を受けます。そのため、やり取りは、メールかSlackなどのビジネスSNSで行うこととなります。ですので、「考えを具体的に言語化して文字や図にする力」が相手にも、自分の会社でも重要になります。
  おすすめはビジネスSNSです。まだ、使っていないという会社はこの機会に該当チームだけでも導入してください。無料プランでもしばらくは十分使えます。
 もっとも近年の「オープンイノベーション」ブームの中で、一番のネックになるのは、この「情報の疎通」です。社員同然の仕事を要求しているのに、与えられている情報が非常に限られている、という状況が成果を制約しています。社内SNSを導入しても、なかなか社内のメンバーが発言しないようだと、イノベーションへの道のりは遠いです。皆がいる場で主張をする、発言をすることを「いけないこと」と思っている社員がいるという事自体、経営者であるあなたが反省すべき状況です。 

 そんなことを言っても始まらないので、プロジェクトリーダー(中小企業ではそれが多くの場合、経営者であるのですが)が、逐一反応して、社内メンバーに振って、状況を集約する、という役割を精力的にやっていく必要があります。そのためには、メールよりもSNSの方が圧倒的によいのです。

②秘密保持について

 これに関連して、参加メンバーが「社外」の人ということで、言ってもいいことと行けないこと、情報を提供していいことと悪いことが区分できず、消極的になる、というケースが見られます。というよりも、それを表向きのもっともな理由にしているが、実は①の説明作成が面倒でやれていないのが実情というケースの方が多いかもしれません。

 秘密保持契約は社員と同レベルでしておいた方が良いと思いますが…いつも思うんですが、漏れて困るような秘密なんて中小企業に本当にありますか?
 多分、そんなものは実際にはないんです。そして、実際には社員も普段はほとんど気にしていないのが、中小企業の実情であり、それは問題視するようなことでもないと思います。中小企業の強さ、模倣のしにくさは、多くの場合、「技術」ではなく、営業、製作、販売などの複合的なオペレーションの強さであることが多く、逆に言うと、サービスや製品自体は真似をしようと思えば別に内部に入りこまなくてもまねできるようなものがほとんどです。でも、同じようにトラブルなく仕事が回り、利益が出るか?というとそれはそうでもない、それが中小企業の強さというもののです。

 乱暴かもしれませんが、現場の社員が知っているような会社の情報は、社員と同様に共有してよいというのを基準にして、むしろ闊達にし、そして副業人材も会社のファンにしていく、という取り組みの方がよいです。

③実行部隊は別に手当てする必要がある場合が多い

 これ、重要です。

 副業人材は、どうしても時間が限られるため、やるべき施策の分析はできても、実際の作業までは全部はやり切らない、という場合が多くあります。「作業はしないです」という人は選ぶべきではないのですが、やる気のある人であっても、フルタイムのようには作業ができないという実情は踏まえて計画する必要があります。しかし、その作業を社員に説明されたら、手順書を用意されたらできるか?というと一般社員の方も、「今ある仕事で忙しい」と言ってみたり、基礎知識が足りなくてできなかったりというのが相場です。

 そのため、立案したことを実行する人員は、また別に用意しなければならないことを覚悟する必要があります。つまり、他社の優れた知見を持ってきてくれる人と、それを社内で実施する人の2人セットで考えるということです。
逆にいうと、費用を考えたら、副業人材を複数部署で多数確保する、ということは中小企業ではおそらくできなくて、1か所ずつやらないと、「作業の費用」が出せなくなってしまい、「結果のでないコンサル」でおわってしまいます。

 作業自体は、別の副業人材という手もありますが、時間から考えると、通常の外注を法人、あるいは経験のある個人にする、という形になることが通常です。その「依頼先」も副業人材はこれまでの仕事のネットワークで知っているはずなのです。

④検収はきちんと行う

 これも起きがちなミスです。スキルは一流でも社内情報に関しては、「新入社員」状態ですので、社内では、言わなくても分かっていることが副業人材にはわかっていませんし、前例がどうだったかもわかりません。それに起因する制作物の「不備」は対象物が何であれ、初期には頻発します。

 これを1日、2日という短いスパンでチェックし、修正をSlackに大量に文字や図で流していく作業が「管理者に」発生します。この「対面ではなく、文字で」という障壁が超えられるかどうかが、副業人材で成果を出すための重要なポイントになってきます。
 もともと社内の人材よりも詳しい人を採用しているはずなので、だんだんと焦点があってきて、情報不足に起因する修正事項は減っていくはずです。しかし、その人材の作ってきた内容~それは今まで自分も含めてやりたくてもノウハウが足りなかった内容であるにもかかわらず~をきちんと理解して、チェックすることができるだけの勉強、あるいはその場で的確に質疑応答をして理解していくことができるという、管理者の高い能力が必要になる、ということです。

⑤ドキュメント化、ルーチン化は別に考える

 ちゃんとした外注業者を選ぶと、作業に対して「ドキュメント」「報告」「手順書」などを整備して納品するところまでが受注範囲であり、その代わり、思ったよりも高くなる、ということが起きるわけです。それに対して、副業人材は、それができる人を選びたいものですが、そうは言っても、限られた時間ではなかなかここまではやれませんし、「自分でわかっている人」と「文書化する力のある人」は必ずしも一致しません。副業人材に万能を求めすぎてはいけません。対象業務のノウハウがあって、仕組みを作れることを優先するべきです。

 となると、ドキュメントは別の人が作ることを計画する必要があります。多分、これはこれからその業務を覚える社員がやることが適当なのですが、それにしても、それなりに時間を割く必要があります。そのつもりで、副業人材とのチーム化、分担をしておくことが必要です。

⑥全体スケジュールは自社

 最後はスケジュール管理です。社内で面と向かっていると仕事がしやすいと管理者が思い込む理由のうち、大きなものは、「スケジュール」「進捗」の管理です。まあ、これは実際には思い込みであって、対面でできる人は非対面でもできているし、非対面だとできないとiう人は、対面でも自分ではできているつもりでも実際にはできていないで、自分の失敗のリカバリーを部下に無理をさせているだけです。その「無理をさせるプレッシャー」を部下に掛けるために「対面の方がやりやすい」と言っているのが日本の職場の現実です。

 副業人材は、原則非対面(ZOOMで話すことは社員側が厭わなければできますが)ですので、進捗確認方法を事前に決めておく必要があります。また、どの程度の進捗を希望しているのかや、今どうなっているのか?は適宜把握する必要があります。そして、そのスケジュールの立案と管理は、副業人材側ではなく、会社側が行う必要があります。当たり前と思うかもしれませんが、日本では実際には多くの場合、進捗管理は管理者ではなく、働く当人がしています。そして、ずれる。管理者はズレることを見込んで全体計画に大きくバッファを見込むので、全体として進捗が遅く、見積もりが高くなる。というのが日本の「集団作業」です。
 それではダメなのです。

オープンイノベーションと実力主義の夜明け

 といくつかのポイントをご紹介してきましたが、読んでいて気づかれた方も多いと思います。これ、「リモートワーク」の秘訣と類似している話です。一部は、「アウトソーシング管理」とも関連する部分もありますが、コロナ前まで盛んにビジネス系メディアでキーワードになっていた「オープンイノベーション」の一形態ととらえることができるでしょう。下請けでも、外注でもない、外部との交流を通じて、ノウハウを高めていくことは、副業という形でならば中小企業でも利用可能になってきているのです。

 そして、成果でマネジメントする、という点ではジョブ型雇用、あるいは成果主義型人事評価と言われるものと類似しています。

 大企業は昔は、「家族を一生養うだけの給与を払い続ける」ことが約束事になっていたものが、、そのうち、「共働き前提」になり、「成果がなければ、基本は昇給しない」仕組みに移行しつつあります。その一方で、社員には副業を許可しているわけですが、ここで活躍できるのは大企業でも「要領のいい」(仕事ができる)人たちに限られます。そういう人に「部分参加」してもらえる世の中になった、という点でこれを活用できるかどうかは中小企業にとって重要な競争要素に今後なってくることでしょう。

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