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番外編~中年起業の真実②営業とマーケティング

前回と今回、きぼうパートナー代表の私、上村(49)の一年半ほどの起業の内情を、明日は我が身との危機感を持つ同年代サラリーマンを読者に想定しつつご紹介しています。

前回はこちら

お客様をどう見つけたのか?

もっとも大事なこの点ですが、実は当てや自信があって辞めたわけでは全くありません。自分で起業すると決めたのは、有給消化期間に入って数日して退職日の10日前でした。本当に危険、というか向こう見ずというか…

その後、「営業」に近い形で顧客候補を想定して訪問した先がいくつあるかというと、1年半で20ぐらいしかありません。そして、その全部が、私のことを結構良く知ってくれている人の紹介で伺っています。実はスタートしたタイミングで相次いで受注させていただいた2社のおかげで生活を維持するめどが立ち、この2社を中心に新規の営業を行う余裕が出来たのですが、この2社はいずれも高校の同級生の関係先でした。

そういうと私がとても社交的で人脈が広い人間と思われるかもしれませんが、実物を知る方はご存じの通り、むしろその逆。付き合いが上手ではない方です。あまり情を通さないですし、人の成長とか協力とかを期待するタイプ(ここに期待しすぎて当てが外れることへの責任を持てないのが嫌)でもありません。

そんな私なので、どうしようかなあ…と思いつつ前職の代表の辞任挨拶を70社ほどして回っていたところ、結構な数のお取引先様から「何をやるの?また、一緒にやろうよ。力になるよ」というような声をかけていただいて、「アレ、もしかしてこれ、やれるんじゃない」と勘違いした、というのがホントの起業のトリガーでした。もちろん、若い頃には勝手なこともしたし、迷惑もかけた恥ずかしいことが沢山あるのですが、辞める前の4年間は法人向けの営業会社の責任者として営業や取引先との関係構築に務めていて売れないまでも信頼だけはしてもらいたい、ということを自分でも社員にも徹底していました。その前はこれも上場企業の子会社の管理系の役員を2社で10年やっていたのですが、多分その時独立していても、このような協力は得られなかったのであり、遅まきながら私の中でようやく期が熟したのであろう、と思っています。また、ちゃんと営業を行うことが人生においてとても重要である、ということを実感した出来事でした。

広告宣伝費や紹介料に頼らずにこうして少ない数の営業を紹介で実施し、1社1社と受注にまで至らなくても関係を継続していく、ということができていることは、それにしても幸運なことだと思います。最近、新しくお請けした案件は、1ねん以上前にお目にかかった経営者の方から数か月ぶりにお電話が来て決まったものでした。

それにしても、最初の2社には本当に感謝に堪えません。また、これができるのは、前回お話ししたように採算分岐を低く抑えているからでもあります。私事ではございますが、私は家も車も子供もありませんでそういう意味では人生の上でも採算分岐点が低い状態でして、これを世の中では「甲斐性がない」と称するわけですが、それも踏み切れた要因の一つではあり、家や子供のある人が会社から突然突き放されたときの困惑は想像に難くありません。

マーケティングMIX

そうはいっても、いつまでもそんな一馬力をやっているわけにもいきませんで、今後の拡大策をかんがえていかなければなりません。というのも今の体力任せの仕事の仕方では、独立時の個人としての課題である65歳、70歳までの生活の柱、ということは実現できないからです。

もちろん、これまでの失敗を若い人達が避けられるようにしてあげたい、という気持ちは本当にあるのですが、一方で自分と家族にとって、残る人生での収入、時間、そして満足度でより良い選択肢としたい、という自己の利益を考えての独立でもありました。すでに3グループ5社を転々としていて、退職金制度のある会社に一度も務めたことがありませんでしたし、雇用保険のない身分だったことも長いという中では、たとえ大企業に勤めても53~55歳にやって来ることが多い役職定年が見えてきた後の収入と仲間というのは重要な問題でした。

①Perception is Reality.

自社のファーストインプレッションの際に一番気を付けているし、それでも一番難しいのは、「きぼうパートナーは〇〇の会社です」という分かりやすくて特徴のある認知です。聞かれていきなり3分も説明に要するようではダメなのです。それでも当初はたくさん説明したくなってしまいうまくいきませんでした。最近は、中国、M&A,資本政策などのキーワードは当初は捨てて、こうしています。

  • 会社が成長しているか、縮小している時に、必要になる変化に対応
  • 人事、経理、業務管理を中心にハンズオン型で変化を実現する

でも、私を紹介してくれる人は、「行く先々でえらい目に遭ってきた経験豊富な人」と言って紹介してくれます、そのうち一部は自分の責任である部分もあるのですが。

その中で、プロモーションについては、紹介をいただく先に、とにかく次の日の朝までに概要提案を出す、というスピード感を重視しています。逆にこれが出来ない先は、「得意分野ではなく、バリューが出せない先なんだ」という自覚を持つようにしています。

②PriceとMarket Segment

また、価格については、本当は少額のものをたくさんやった方が経営の安定性は増しますし、対象については上場スケジュールに入っているような会社の方がニーズが明確で支払意志が固いものです。起業した際、複数の先輩からそのようなものを集めるよう助言を受けたのですが…現状は少ない顧客、しかも小規模な=支払可能額がさほど大きくないお取引先から、それでもお客様からしたら結構大変な額を継続課金させていただく形でいただいています。

上場候補企業は支援会社も多く激戦ということもありますし、少し心配なのは、本質的改善よりも上場審査に通る形態を整備する、ということがゴールになる圧力がありかねない、という点で、最初はしっかりと実績を作りたい、と思ったものです。その反面、そうした会社とお付き合いする以上、「切られたらどうしよう。」との不安といつも戦っています。

しかし、この仕事は困ったことに、形が整い問題が改善したら、社員の定常運行に業務を引き渡し弊社はいらなくなります。いつまでも自分が関わり続けることは自分の仕事にとって「成功」ではないのです。次のステージでも課題があり、それに参画できればよいのですが、そこでもまた自分が最強だと言い切れるかは疑問です。これは、企業グループ内においても、私のような「改革屋」が抱える宿命でもあります。黒字転換を果たしたら、過激派として排除された、という経験が実際2度もあります。

それならば、一旦完成した時に、経営者の方に、評価していただき、同じ課題を抱えている後続企業に、「いい奴いるよ」と言っていただけることを目指すしかないのか、というのが現時点での立場です。

また、取引先からのバックマージン的な手数料や、成果報酬での追加料金は原則いただいていません。これは、相手先企業での実施有無も含めた「経営者と同じ目線での判断」を狂わすもの、相手の利益を損なうことを自分がやる動機になるものである、と考えているからです。

③PromotionとPath

宣伝は前回もお話ししたように、今のところこのブログだけです。あとは、Facebookメッセンジャーで、時々「最近如何ですか?」と巡回して声掛けして思い出してもらう、と言うことをしていますが、これが結構大事です。やはり、一方的なweb記事公開やメール配信と、メッセージサービスとでは、リプライ率が全然異なります。

本当に多くのご紹介をいただき、受注有無はともかく各方面で活躍される方と知り合うことができ、私の方からも仕事の相談をさせていただく方も増え、ありがたく思っております。その中でもFacebookは、「おじさんの自己主張メディア」と化して久しいですが、それでもやっぱり他のメディアよりは正確に、そしてスピーディに自分を伝えることができます。最近は周辺でもNOTEを使われる方が増えていますが、私は自社ドメインをもってここへのアクセス誘導を図っていますので、使っていません。

webのアクセス自体は記事の増加に伴い、最近かなり増えています。いくつかのキーワードでは上位にも来るようです。しかし、webからの問い合わせが新規に来る、ということは今まではありません。これが個人事業の限界であるし、特徴・主張を出したやり方の限界でもあるとも思っており、その辺を打開したいと思っています。

④Finance

現時点では借入はしていませんし、助成金、補助金類も申請していません。お客様には散々手伝っているのに…とにかく安全にやってきたのでこれらの必要となる投資をしてこなかったのです。というのも、依然としてこうしたことを伴う事業展開には家族の賛同が得られない、という内情があるからです。

私も無担保無保証だから返さなくても良い、というような神経の持ち主ではありませんので、家族を振り切ってでもやれるチャンスを見つける機会をじっと伺っています。

⑤最後にProduct

ここまで個別対応のハンズオン型の業務改善だけをやってきたのですが、「教材を作りたい」「教育カリキュラムを作りたい」という同業の先輩の相談をいくつか受けています。私自身、今のビジネスの延長上で一番早期にプロダクツ化でき、スケールアウトを目指せるのはこの辺だと思って、少しずつ準備を進めていこうと思っています。

また、日中その場にいないとできない、というものではなく、どこでもできることや、画像等で記録性があることをミックスしていくことで時間を有効活用できるようにしていくことを当面行っていこうとしています。

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