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喫煙者は採用差別するべきではないか?

私は自分で選べる場合には、昔から喫煙者を採用していません。前任から引きついだ場合には仕方ありませんが。

最近では、そういう会社も増えてきましたので、これを言っても差し支えないようになりましたが、言い始めた21世紀初めには、「突飛なことを言い出す変なやつ」と私が言われる主因の一つ(他にもいろいろある)ではありました。

 

串カツの大型外食チェーン「串カツ田中」が昨年夏に全店禁煙に踏み切りニュースでも話題となりました。その業績動向が先日発表され、目下のところでは、「顧客当たり単価は下がるが、客数は増えた」「サラリーマン層は微減し、当初から狙いとしていたファミリー層が増えた」という結果になったそうです。今後も下がり続ける喫煙率と労働者人口よりも高齢者の方が増える社会情勢からはどうやら、外食産業ですら禁煙の流れが正解らしい、というデータが示されました。

 厚生労働省の国民健康栄養調査によると、平成29年現在、習慣的に喫煙している者の割合は、17.7%であり、男女別にみると男性 29.4%、女性 7.2%。男性は平成元年には55.3%、JT統計になってしまいますが昭和41年には83.7%でしたので、50年あまりで男性喫煙者は1/3、30年で1/2に男性喫煙者は減少しています。平成29年の男性の30歳~49歳は喫煙率が39%台あり、他の世代よりもだいぶ高いのですが、それでも、この「おっさんど真ん中」世代の男でも吸わない人の方が多数派です。吸わない人が圧倒的に多い時代になっていて、この傾向は今後も強まっていくわけですので、串カツ田中さんが郊外型の立地志向という点を差し引いても、外食産業での禁煙は時代の流れだと思います。私もスターバックスは禁煙なので行きますが、サンマルクカフェは多くのお店が不完全な分煙しかされていないので行きません。

(この男性喫煙率、職業によりかなり差があるような気がするのですがどうなのでしょうか?)

 

串カツ田中さんの市場データ分析にのっとった経営判断は英断だと思いますが、私が喫煙者を採用しない方針なのはそうした市場分析とは全く関係がありません。私が採用しない理由は、「社会のモラルの変化に対応できないことはマーケッターとして不適任」「仕事中に定期的に席を立つ克己心の低さは重大な局面で頼れない」「多くの人が嫌がるたばこ臭さを身にまとって営業に行かせることは会社にとって不利益」という理由です。ニコチン中毒者は、時間が立つと集中力が持続できなくなり、再度ニコチンを摂取しないとイライラするという病気です。昔はそのイライラも、あるいはイライラを定期的に解消することも許されたのでしょうが、今はそれは社会的に不適当なことになったし、これから先ますます強まる中、それでもやめる気のない人は組織のリスク要因だと思っているのです。

 

古い中小企業では、社長がいまだに社長室で喫煙しているような(これは、健康増進法で禁止された行為です。)ケースもまだまだありますが、そういう会社は徐々に若い人から辞めていってしまいます。そういう会社にかぎって誰も社長に物がいえない状況になっていますので、あなたのその感覚が若い人からは嫌がられています、ということも伝わらない。という話を昔、会議室でぷかぷか吸い出した社長に言ったらその場で話を終了させられたことがあるのですが、その会社は社長以外の社員が皆辞めてしまい、別の事業で再出発したようでした。

ちなみに私が昨年まで勤めていた東証一部上場の某企業(東京だけで3000人近くが勤務)は、事業所のすべての喫煙所が昨年廃止され、「公共の喫煙所を使え」という通達が流れました。ご丁寧に、「周辺の迷惑になるので、会社の敷地内や周辺の店舗の敷地屋外では吸うな」という指示も付記されていました。「喫煙所」とは駅前広場や都市公園などにある「喫煙所」であり、建物からは歩いて数分はかかるものです。つまり、出勤前や昼休み、退勤後でなければたばこは吸えない、(営業は外回りの前後が使えますが)ということです。ずいぶん思い切ったな、と思ったのですが、経営陣の鶴の一声だったようです。

「売上に関係ないことを会社で場所を用意するとか、そこを清掃するとか、やる必要はない」

そりゃそうだ。そういう時代なんだな、と思ったのを串カツ田中のニュースで思い出した次第です。

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