実は、昨年12月後半から1か月ほど、結構な時間をかけて、お客様に新規導入をお薦めした勤怠管理のクラウドシステム「ジョブカン」の設定をお請けし、設定と運用マニュアルや個別の運用トラブルシューティングをしています。(社労業務自体は社員の代行を業としてできるのは社労士等に限定されていますので、その部分は社員の方にお願いしています。)お客様にジョブカンをお勧めしてご採用いただいたことはこれまでもあったのですが、これまでのケースではお客様自身が設定作業をしてくださっていました。弊社は別に同商品の取次店とでもありませんのでお客様の状況に応じて他のものをお勧めすることもありました。
設定作業自体は、決して難しいものではありませんが、一度マニュアルに沿って設定すれば終わり、というわけではなく相手の会社の状況に応じて細かなチューンアップが必要で、一定期間に結構な手間がかかるものです。また、システムを設定すればそれで仕事は終わりか?というと実は、システムを入れるというのは、「健全な内部統制」や「ルールベースの処理」という文化を、いままで混沌としていたベンチャーの成長の過程で根づかせる、という部分もありますし、たとえば勤怠で言えば本当に大事なことは、「ルールを守る」ことではなく、「ルールを守れるような仕事の仕方はどういうものか、自分たちで考え改善し、それを習慣とするように導く。」ことであるわけです。
それを若い社員たちに連日すこしずつ言ってあげながら定着させていく、というのはシステム屋さんも社労士さんもやってはくれないでしょう。
これは誰の仕事なのですか?誰もそれに答えてくれないならば、あるいは「社長の仕事」と他人事のふりをするならば、私がそれをやりましょう。
それに、今回のお客様は規模が小さく人的リソースも限られており、この設定や運用のトラブルシューティングの初期の障壁が導入の障害になっていました。こうしたクラウドサービスには、無料のトライアル期間があるのが通常ですが、それを申し込んで何となく試してみるのと、全社に説明を実施し、問い合わせ対応し詳細まで問題が起きないように設定し運用するのとでは、作業の量や難易度は全然異なります。ベンチャー企業のような社内にシステム担当も、人事担当も専従でいない会社にとっては、そうした一時的な出力上昇の要求が実際には業務改善の際に越えなければならない壁として存在しているのです。
いままで自分で運用管理したことのないシステムの設定と運用指導をやれますか?というと多くの社員の方はしり込みしてしまいます。外部の人ならば余計です。それは当然のことです。絶対に設定ミスはあるし、社員のよくわかっていないで運用してしまうことや若干の反発もあって、それを試行錯誤しながら、対話をしながら乗り越えていくことに対して、人は、「自分はわからないのでできません。」という態度をとりがちです。私たちとて、すべてのクラウドシステムの操作を知っているわけではなく、設定漏れやお客様の会社の流儀とのアンマッチは次々見つかり土日も対応に追われます。ただ、「ミスがあることを前提に移行の仕方を考える」ことや、「変えるときに、社員から何をヒヤリングし、何を話しかけていくことが前向きな気持ちを失わせないのか?」という「チェンジの技法」は誰よりもよく知っているつもりです。
実は同社では他にも管理系のクラウドサービスの設定と入力運用の一部をお請けしています。それがこの会社が成長していくために必要なことであるならば、当社はそれは他人事とせずやり切るべきだと思っているし、システムを設定して終わりではなく、皆がそれを使って業務を改善し便利になった、スピードアップした、と実感を持てるまで社員の「めんどくさいな」という気持ちに正面から相対してやり切る、ということは今後も当社ではやっていきたいと思っています。
だって、私たちは「希望のための」「パートナー」ですから、ね。