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中国とんでも事件簿3 暮らすに大変

このシリーズ、前回は仕事で危ない目にあった話をしましたが、そんなシビアな事ばかりではなく楽しいこともたくさんありました。ただ、私は妻と一緒に会社の近くにマンションを借りて暮らしていたのですが、生活には困ることがたくさんありました。今日はそんな日常生活の話からいくつかご紹介。

1 目の前で白熱電球が、ポン!

これは移り住んで間もないころ、妻と買い物からマンションの15階の部屋に帰って、私は荷物を置こうと部屋の中へ入り、妻が入り口わきの電気のスイッチを入れると私の目の前1メートルぐらいのところで、電球がポン!と破裂しました。「また」、テロ行為にあったかと驚いたのですが、安い無名の電球を買うとこうした感じで気密が破れて空気が過熱されて破裂する、という事故が起きます。だから、消耗品は、(現地生産品なのですが)Philipsなどの「ブランド品」を買わないと手間もかかるし危ないのです。しかし、無名品は日本よりも安いのですが、ちゃんとしたものは日本よりもずいぶん高いのが通常です。

中国が物価が安い、というのは誤解です。農産物は比較的安価であり、南部の方では安くフルーツがたらふく食べられるというような面はありますが、電気製品やプラスチック製品で、日本と同等の品質のものを買おうとすると日本より高いのが通常です。中国で暮らすと、日本の百円ショップダイソーの品質、デザイン、価格のバランスのすごさが実感されます。(中国製が多いのに)

 

2 壁から水がトクトクと!

中国へ移って2年ぐらいたったころ、壁が突然湿りだし、漆喰が溶け出しました。やがて、しみるなんてレベルではなく、溶けた漆喰からトクトクと水が流れ出し、床が水浸しになり始めました。床も板張り、のように見えて、コンクリートに段ボールの上に木目を印刷したものが貼ってあっただけなので、水を吸ってふやけてどんどん床がはがれてきます。

急いで会社に連絡し、会社から香港に住んでいた家主に連絡するのですが、明後日見に行くからそのままにしておけ、といいます。日本の顧客ファーストは異常であり、世界では契約は対等、あるいは資本家優位なのが当たり前なわけですが、水は元栓から閉めてしまわないとずっと流出し続けるので、その部屋には住めず、仕方なく同じマンションの空いている他の部屋を臨時で借りてそちらで暮らすことにしました。

これは、部材の水道管の品質が悪く、経年劣化で腐食して穴が開いたわけですが、香港からきたパワフルな家主は40ぐらいのエリートっぽい女性で、我々の使い方が原因でありこっちの費用で直せ、と言い出します。もちろん、そんなわけはないことはわかっているのですが、それが外国での交渉のやり方なのです。最初に高く吹っ掛ければ、着地点を多少なりとも自分に有利にできる、ということは実証されている事実であり、そういうその場しのぎのみっともない交渉を平気でする政治家が某大国のリーダーになったりもしているわけですが、自分たちは1元も払うつもりはない、という態度を明確にし、何日膠着しようが譲らない、という姿勢を見せるため、他の部屋を使い始めていたわけです。ここら辺は以前お話した「交渉術」にも通じるところがあります。

結局修理はしてもらったのですが、1週間以上の間、壁を取り壊して水道管を交換して、また壁を塗って、としていた間は妻の安全も気になり気が気ではありませんでした。ぶよぶよなった床の張り紙は替えてもらえず、屋内のはずなのに土だらけの床を清掃するのに、妻は2日ぐらい大変な思いをしていました。

後日、次の更新期に家主に追い出されてしまい、家主は大改装をかけて値上げしていました。私はなるべく安いところを探してとなりの棟に移ったのですが、それでも2600元が3000元にアップしてしまいました。これでも2008年当時の現地の相場ではずいぶん安くて、駅から2キロでも5000元以上がざらだったのです。不動産価格も中国は安くありません。それから中国では日本のような小さな部屋というのがなかなかありません。私も妻と2人しかいないので日本では40平米のアパートに暮らしていた(今もまた)のに、向こうでは仕方なく、100平米のマンションに住んでいました。内装も装飾的で豪華ではあるのですが、いつまでたってもなんだか落ち着かないのは、壁も天井も白いせいでしょう。

 

3 シャワーヘッドの買い置き!

これも日本では考えにくいのですが、水道管のさびや、よくわからない粒子が水道水に混じっているので、シャワーヘッドがすぐ詰まってしまいます。そのためスーパーにシャワーヘッドが安いものから高いものまでたくさん売られています。これをまた、よせばいいのに、一番安いのをうちの奥さん買うものだから、またすぐ詰まるのです。だいたい安いので40元、高いので140元ぐらいでした。中国にいる5年の間に10回以上交換したと思います。食料とちがって、こういうものは店員に言わないと買えない(盗難防止のため)仕組みなので、私がいけるときに2個買ったりして、シャワーヘッドの買い置きが家にある状態でした。ちなみに高いシャワーヘッドは倍ぐらいの期間持ちました。

華南エリアは基本、バスタブがありません。私も2つの部屋に住みましたが、5年間シャワー暮らしでした。

 

4 壁を塗る。

2に記載のとおり、最初に住んだ部屋を追い出されました。通勤と買い物に便利なよう、同じエリアの隣の棟に引っ越したのですが、妻が嫌だと言い張ります。なぜかというと、壁が黄ばんでいて汚いのです。実は、一件目も本当は私が赴任する前に副総経理が会社の費用でキレイにしてくれていたのを私は知っていましたが、妻には言っていませんでした。そして、決心したのは、「自分で壁を塗る」ということでした。

実はこれ、中国では割と普通のことです。どこのホームセンターでも白い塗料が大きな缶で安く売っています。それとローラー、刷毛を買ってきて、帰宅後や休日にせっせと塗ること2週間、壁は新築のようにきれいになりました。業者に依頼すると3000元ぐらいかかるということでした。最後の方は妻も面白がって手伝ってくれていました。

 

というわけで、「普通に暮らす」ということに努力が必要なのが駐在員です。特に奥さんは、何もかも知らないことだらけでたいへんです。私は、学生のころから現地の暮らしに近いことをやる旅行が好きでしたので、こういうことも気になりませんでしたし、気の強さがたびたび起きる問題でもよい方向に働いたように思います。

しかし、こんな生活の一つ一つにエネルギーを吸い取られているのもまた駐在員の現実です。一つには適性のある人に楽しんでもらいながら働いてもらうことも大事ですが、多少は日本側のサポートも大事です。たまにくる日本の出張者のお土産はひそかにとてもうれしかったです。

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