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番外編~中年起業の真実①タイムマネジメントとコストマネジメント

12月も中盤ということでそろそろ個人での2回目の税務申告の準備をしております。今年もお取引先様をはじめ多くの方にご協力をいただきましたおかげ様で、何とか年の瀬を迎えられそうなことに本当に感謝しております。この「感謝」という言葉も、サラリーマン時代,子会社代表時代と比べても格段に重みを違って感じられます。やはり親会社もあるわけではなく、全リスクを負って自分で経営するとなると一つの注文、紹介、情報提供、そんなことを何者でもない自分にしていただけることへの感謝は堪えません。

ここのところ、古い友人と話す機会があったのですが、その多くは、誰もが知っているような大企業グループに学校卒業以来長く勤めておられたり、医師や士業として長く活躍していたり、と羨ましいばかりの方が多く、名刺を渡すのも憚られたのですが、その一方で彼らからすると、「未知の世界」によくこの年齢で飛び込む勇気があるな、と言われることも多くありました。

彼らは、どんな風にやっているの?誰でもできるの?というような関心を持っていました。また、巷では、45歳、50歳以上の生産性が低下してきてコストパフォーマンスが合わなくなった社員の早期退職という名の削減が一層盛んになってきています。早期退職して、そのあとどうするのか?は私の知る限りでも決して甘くはありません。結局は自分の生活費分以上に自分の腕で稼ぐということを明示的にやることが我々の世代には、元の会社にいようが、早期退職等で第二の職場を求めようが、そして私のように(私はそれ以前も転々としていましたが)、独立の道を選ぼうが、いずれにせよ必要であり、稼げる以上の出費を抑えるしかないのです。

そんな途方に暮れる中年に今年も何人か出会いました。彼らの多くは私に、「仕事を紹介してください。」「できれば、仕事をください。雇ってください」というような姿勢でしたが、私は、「チャンスがある業務はご紹介しますが、そこで稼ぐかどうかは自分の実力次第です。」という態度を取り続けました。また、ある人は「事業の形」という点であまりに古い、画一的な思い込みを持っておりたちまち立ち行かなくなっていました。

しかし、私や彼らのような荒波の中で必死で漕がなければならない立場と、大企業で比較的安定的な仕事を継続できる立場は実は紙一重の差であり、今大企業に安住できている方々も一寸先は闇なのです。

そんなわけで、今日と次回は、「中年起業の実情」を少し公開し参考にしていただこうと思います。今日は、時間と経費の管理。次回は営業、マーケティング関連についてご紹介します。

①コストマネジメント

最初に分かりやすい点という意味で、コストマネジメントについてご紹介したいと思います。私のことを過去20年知る人のほとんどは、私のことを「コストカッター」という認知を持っていると思いますし、自分でも身に覚えがあります。ただし、本当の私の主張は、「時間当たりの付加価値を最大化する」です。一方でビジネスモデルをきちんと確立しグロース(一応目指しています)の軌道に乗せるまでは、採算分岐点をできるだけ抑えながら、信頼とこれに伴う収益のストックを積み上げ基礎を構築する、ということをこの時期には重点を置いてきました。

中年起業家、あるいはそうしかけている人にこの2年あまり何人もお会いしましたが、私以外全員早期に失敗しています。それはビジネスモデル以前に実に単純にこのコスト構造に一番の原因があります。

地代家賃と通信費、設備費、修繕

「家では仕事ができない」から始まり、「千代田区、中央区、港区の名刺が信用には必要」、あるいは「人と会うのに毎回喫茶店というわけにはいかない」というものまでさまざまなことを言う人がいますが、もっともキャッシュを傷めるのがこの事務所賃料、そしてこれに伴うオフィス家具等設備、あるいは機器類、通信費等の事務所があるが故の付帯費用であることは間違いありません。これを0にして、毎回必ず自分から訪問するし、契約先とは相手先でその会社の仕事をさせていただくことにしました。

もちろん、うさん臭く思われることは多々ありますが、そのケースは、多分事務所があっても他の外形的箇所で、零細事業者は結局うさん臭く思われてしまうのでしょうから「自分個人の信用」が通用しない方(もちろん、その方が多いに決まっています)とのお付き合いは無理と割り切りました。実は都心の一等地で「安く同居させてあげるよ。看板も出していいよ」というお話は2件いただいたのですが、あえて「個人の信用」にこだわったことと、その会社の事業への寄与を気にして自分の道を進めなくなることを恐れてお断りして、根無し草を今のところ貫いています。

もっとも、いつまでもそうしているつもりでもありません。

人件費

これもお会いした中年起業家たちが間違っていていた点です。彼らは事務員や作業を依頼して、自分は営業や付加価値に専念したい、という言い方をしていましたが、実際には根気と集中力、それに操作知識を要するようなパソコン作業や電話でのアポ、何度も推敲が必要な資料作成を毎晩のようにし続ける、ということをする持久力・能力がないので、それを「手伝ってくれる人」を必要としていたのだと思います。

しかし、そんな適当な説明でも資料をあなたの思った通りに仕上げてくれる人が本当にいるとしたら、きっとその人の方が稼ぐのであってあなたがその人に雇ってもらうようにお願いする立場です。会社ではそのような優秀な部下が一時自分に協力してくれることが組織編制上あるわけですが、個人同士ではそんな義理はありません。

さらに都合の悪いことに…私が一緒にやりたいと思うような優秀な人は、私よりも稼げる、ということは、私と一緒にやるよりも自分でやっていた方が利益率が高くなるので、一緒にやることはできないわけでして、結局「アライアンス」はできても、雇用はしませんでした。

もちろん、なんでも自分でやる一馬力では広がりは持てないのですが、新たに加わる戦力が顧客の支払意志ときちんと対応していて、しかも継続性が見込める、というのでなければ、そのリスクは取れないと思っています。

ただ、現在「在宅勤務のお客様経理担当(要実務経験2年以上。要月次、年次決算対応)」は募集しています。やはり作業がかなり増大する部分がありまして、フローを整理したあとそれを運用する係は必要になっています。

交通費

実質的に何が一番経費が掛かっているか?というと、交通費です。この1年で2回だけ東京以外への出張があり、これに13万円ほどかかっているのですが、その他の月でざっと2万円かかっています。

通勤費の支給もありませんので、都心の営業先やお客様先に行くにもいちいち往復千円以上かかります。サラリーマン時代には経費に厳しいほうではあったものの、ここを気にする、ということはありませんでした。恥ずかしながら自分でやるとなるとやはり意識が違うのです。駅までのバスや自転車をできるだけ歩く(その過程でアイデアを考えたり、メンタルヘルスのため風景の色を意識したりすることをやることでアイドルタイムにはしないようにしています。)ようにして費用を節約したり、電車の移動ルートを少しの差なら最速ではなく、最安を採用しています。

実は2回目以降のミーティングではZOOMを採用するように関係先に働きかけています。うまくいくと、午前に3本のZOOMミーティングを入れて都合1500円の交通費を節減し、時間も4時間程度節減できる、ということを経験しています。費用もさることながら時間の節減効果が非常に大きく、空いた時間でその会議の準備に時間をかけた方がよほど互いのためと言っているのですが、なかなかOKがいただけません。まだまだ経験者が少ないということがあるようで、1度やられた方は、「またオンラインでもいいよ」と言ってくださったりもします。

通信費と支払手数料

その次に出費が多いのは通信費です。このwebサイトを公開しているサーバーとメールサービスは月額1540円、家兼事務所のネット回線の按分費用に、携帯電話代が発生しています。当初、携帯電話はそれほど通話しないということを想定して節約のためMVNOにしたのですが、実際には大量の通話が発生してしまっています。この通話のほとんどは、自社の需要というよりも、お取引先様の担当者としてお取引先様の取引先への交渉や説明の電話でして、ここは顧客への見積の際に含めておくべきだったものです。

また、マネーフォワードクラウド会計(月間1300円ぐらい)、Adobe Illustrator,画像利用のための写真AC(これも1100円代)などの費用が毎月発生しています。Adobeは得意分野というわけではないので、毎月費用から削除したいとは思っています。

交際費等

交際費は、出張時手土産以外はほぼ使いません。食事・酒席は仕事という観点ではむしろ使わないで分けて行っています。交流会も、初めて会った人に強くアピールできるサービスというのがない状態で言っても効果が薄いと考え、あまり行きません。研修類は時々行きますが、こちらは逆に研修のためというよりも、信頼する人の研修でその周りの人に会うため、という目的が多いです。本当に役に立つ研修は1回数千円のものではないことが大半ですし、そのあとに代理店権利料的なものがさらにいるようなものも多いので、使っていません。(もっとも関心があるのが一つあるのですが)

その他

人と会うのは、できるだけ相手先、それがだめならばSpacee等で場所を借りて会うというようにしています。喫茶店ではセキュリティも心配ですし、厳密な思考がしにくいと感じているからです。そうはいっても、気楽にお会いしましょう、というときには喫茶店も使っていますし、時間調整も春秋は公園でパソコンを開いているのですが、夏冬はさすがにそれにも限界があり(先週秋葉原の芳林公園で1時間以上仕事していましたが)喫茶店でパソコンを開いています。人と会う時は、事業の会計に会議費として計上していますが、そうではない時は計上しておらず、「私費」扱いになっています。

書籍はそこそこ読みます。いままで経験したことのない分野の経営者とお話しするにあたっては、新聞やネット記事を読んで臨み、何か宿題をいただけるとその分野の書籍をめくる、というようにしています。どの分野にも詳しいですね、と言っていただけるのですが、結構一夜漬けの部分もあります。今年でいうと、「塗料の品質保証」「医療機関の地域連携」「ベンチャーの資金調達」‥‥これを一個一個買っていると結構な費用が掛かるので、オーバービュー的なことは、図書館を使うようになりました。実はこれ高校生以来でして、サラリーマン時代は平気で月に何万円も購入していました。それでも、図書館ではないケースも結構ありますし、リクエストするほどの時間的猶予もないこともあります。

上でも書きましたが、私自身経費の使い方、魂の入っていない惰性での経費使用にめちゃめちゃ怒るタイプの管理職でしたし、経費見直し専門会社の代表もしていたことがあるぐらいの「経費マニア」なのですが、いざ自分の懐で事業をやるとなると、真剣度合いがだいぶ異なります。「生活費を如何に残すか?」がそこにかかっているわけですので。

②時間管理

やらなければならないことはいくらでもあります。そして、近年では会社に勤めていれば45時間以上の残業は実質的にできないし、自宅作業も制限されるのに対し、経営者にはこうした庇護は一切ありません。結果として、朝7時から夜11時まで16時間、土日もそれに近い状態でずっと仕事をしています。サラリーマン風に言えば、月300時間残業。お手伝いしている先には、過度の残業を激しい言葉で戒めて「生産性重視型マネジメント」へ移行するよう助言しているのですが、そういう自分は付加価値型事業になかなか移行するきっかけをつかめないでいます。

それが苦痛かというと、もともと好きで始めた仕事ではあるので、企画を考えている時間は全然苦痛ではありません。ただ、ひたすら数字の合わない伝票処理をずっとやっていたと言う期間が今年は長くあり、これには正直メンタルを大きく削られました。過重労働を世の中に推進するつもりはないのですが、こうした「やりたいこと」と「しょうがなくやっていること」との差が健康に与える影響というのが本当にあることを身をもって体験しました。

こういう暮らしを続けているとそれでもなんだか気分がすぐれない、という状況が発生するので、仕事を終えてから少し(5キロ未満)の距離を気分転換を主目的に緩くランニングして、少しの疲労感をもってよく寝られるようにする、ということをできるだけ努力しています。

会社勤めの時と時間の使い方で何が違うか?というと目立って違うのは、①会議が少ない。(社長に決済をもらうのに中間プロセスを省略できる)②パワポで綺麗に資料を作る、という時間が少ない(その分、Wordで論理を整理する、Excelでデータを分析するが多い)、というのが目立っています。

①については、もともと私は会議無用論者でして、きちんと練った計画をその根拠とともに資料にして配布して読んでから質問を受け付けて納得すればそれを実行すればよいし、情報収集したければテーマを依頼して、メールか社内SNSで投稿してもらえばよいと思っていました。その意味ではありがたいのですが、下手をすると人と話をする機会がとても少ない週ができます。

「自分の言動、記述」で「自分の生活費を稼ぐ」と言うことは、裏返せば目の前の顧客に契約を終了されると、来月の生活費に窮する状況と日々隣り合わせである、ということでもあります。しかも、その状況は顧客企業はもちろんのこと、周囲の協力者すらもわかっていない、零細企業の経営者だけの悩みです。家族にも言えません。家族は「大企業で安定的に仕事をしてくれ」と思っているのであり、「自由な環境で世の中の困っている企業経営者の助けになってあげてくれ」なんて思ってはくれないのですから。そういう意味ではその「孤独」を如何に処理するか?というのは重要なテーマです。チームスポーツでもやればよいのかな、と思うこともありますが、本当にフルタイム仕事している状況ということもあり、今はそれはまだ良い方法を見つけられていません。

②の「資料作成時間」ですが、これは私の場合、お付き合いする先、提案する先の数を大きく絞り込んでいるということと関係があります。これは一つの会社の存続の根本にimpactするような事項を提案の中心においているため、その一つの会社に対して賭ける時間が大きくならざるを得ないし、そんなことを話ができるのは、自分のことを信用してくれている人が同席して紹介してくれるような先ぐらい、という閉じた仕事の仕方をしているためです。

これは、人件費を抱えない、と言うこととも関係していて、本当に少人数で、かつ採算分岐が低いビジネスであれば、支払能力がそれほど高くないが必要として信用してくれている経営者に十分な工数をかけ、質の高いサービスを提供できます。逆に、もし固定費が大きければ、そうもいっておられずテレアポでも、交流会でも行きまくって、少しずつだけ内容を改変したカラーの提案資料を毎回何部も印刷して持参して営業することをせざるをえないでしょう。しかし、これが必ずしも良い収益結果を生むわけではないことは経営者ならばみな経験していることでしょう。

もう一つ時間を膨大に消費しているのは、このブログです。週10~15時間は使っています。ただ、これは実際には、関連する記事や政策を調べたり、自分の考えを整理したり、場合によっては汎用的な図表を作成したり、と言うことも行っており、あまり社交的ではないがアウトプットが早いしとがっている、という私の営業ツール、兼、アウトプットのドラフト集という役割を持たせています。実際、ご紹介いただいてお会いする前や後に見ていただいて、「こんな範囲をこんな感じでやる会社なんだ」と分かってもらえる、という点では十分役立っています。

タイムマネジメントという点では大きな誤算がありました。たとえば、経理の仕組みであったり、人事制度であったり、というものは一回やれば、2社目からは大幅に工数は低減するであろう、と思っていたところがあったのですが、これは全く減りませんでした。かかる工数の大部分は、ドキュメントの作成ではなく、組織の文化への注入やノウハウの教育、といった対人的な部分であるからです。一方で各社各様の課題があるか…というとこれはそれほどでもありませんで、根本の問題は会社の古さや業種には関係なく、5~30人ぐらいの規模のところでは、どこも共通する根本の課題があると感じることが多くありました。簡単にいうと、標準化と精度改善が不十分なために、伝播の過程で「何が起きるかわからないまま進む」ことが常態化している、ということです。この辺は分解してまた、ブログでも取り上げていきたいと思っています。

というわけでお金事情と、時間事情を簡単にご説明しました。収入の面でも時間の面でも楽か?というと会社勤務の方が楽に決まっています。しかし、顧客に役立たないものを勧めなくて良いし、信用を犠牲にしてまで数字を作らなくて良い、むしろそれをしないで信用を積むことが戦略の柱、というのはこうしたコスト管理、時間管理がベースにあるからできることですし、そこを維持しながら緩やかにでも成長していく事業体でありたいと思っています。

次回は、営業とマーケティングの話を少しご紹介したいと思います。

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