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中小企業でSFA,CRMはツカエルか?

新しもの好きでなんでも試してみたがる私は、いろいろなサービスの無料体験を試していて、そのせいかすごい数のメールマガジンが連日届きます。このブログでも、これまで「クラウド契約」(こちら)「電子経費精算」(こちら)「社内SNS」(こちら)などをご紹介してきました。が、かなり導入には慎重です。理由は簡単でして、業務自体もうまく見直し変えていくことをしないと、かえって手間が増えたり、社員が継続してくれなかったりするからです。広告やイベントで、「導入したら大幅に時間短縮が出来ました」という広告を売る側は盛んにしますし、これを導入紹介してお金をもらっている人は否定的なことは言いません。しかし、「いまいちだった。」と思っている会社や、うまくいかずに元に戻している会社は実はたくさんあります。

先にも述べたように、これらの原因の多くは、システムではなくその会社の業務フローをシステムに合わせて変えないことにあります。しかし、なぜ変えなくてはならないのか?をきちんと説明し社員が「そうした方がいいよね」と思ってもらって変える、というのは実は結構難易度が高いことです。たとえば、内部統制の改善(社員にはそうではなく、「会社なのだから恣意ではなくチェックルールをキチンと仕組みとして取り入れる」という言い方)であったり、リモートワークによる働き方改革への対応による人材確保であったり、という大元の問題の解決のため、一見本末転倒なのですが、「今までのやり方をシステムに合わせて変える」ということが結局フローをすっきりさせ全体工数を減らし、業務効率を改善するのですが、その一番めんどくさいところを誰も(ここを面倒を見るのは、時間が膨大にかかるのに、お金にはならないので)きちんと説明しないから、こうした「システムが使えない」という悪評がたつのだと思います。

 

今回、ご紹介するSFA=「営業支援システム」もそんなことが良く起きるシステムです。実は、私自身も様々なシステムを試用し、トライアルしたのですが、業務で本格投入した、ということは自分では一度もないのです。その理由は後述します。営業支援と言いますが、実際に何をやってくれるのか?というと大きく分けて2つあります。一つは「営業日報」機能です。どこのお客様とどんな状況にある、どんな課題をいつまでにどうする、ということを昔は紙に書いて上長に出す、というようなことが行われていたわけですが、それをデータの集計や情報の共有などをやりやすい状況にしてシステム化しようということ。もう一つは、「営業のモデル、KPIに対するPDCAサイクルを回すことの支援」ということです。これは、「営業の科学と幸福」というテーマで2回に分けて以前記載したのですが、(こちら https://wp.me/pa0sBp-b4)、営業では、「今月いくら行けそうか?」という会話が良く交わされますが、それだけで終わっては方法論の改善ということはできないわけで、その「売れるしくみ」を因数分解し、「行動の数」×「その段階のクリア確率」という形に営業をいくつかのステップに分けて考え、行動数を管理しながら、確率(つまり品質)の改善に取り組む、ということを行います。これらはEXCEL上で誰がどのような数値(これが売上ではなく、その途中の行動数)をアウトプットしたか?を集計し、そこから個人別・部門別に集計を行い、数値の予定からの乖離は行動数が原因なのか?確率が原因なのか?また良いグループと悪いグループの比較などを行うことにより全体として方法論の改善を行うという方法です。いずれにせよ、直接的にシステムの寄与の恩恵を受けるのは、営業の管理者であり、個々の担当者は(間接的には売り上げが増える方法論が的確に指示されるかもしれないが)直接的には作業増にしかならないのがこのシステムの導入理解の難しいところです。

つまり、「営業の方法論の標準化」「ナレッジ共有」というところが自分にも寄与するものだ、というコンセンサスがないとこの仕組みはうまくいかない。ところが、本当のノウハウを持っている成績上位者は、記述の手間が増えノウハウを与えるだけで、自分の社内の相対的優位が崩れる方にシステムが寄与します。(部門の成績があがれば賞与は増える、と言ってなだめるしかない)そこを集団での成功というところにコミットしてもらう形できちんとのりきれるよう経営側が制度も実地のマネジメントも工夫する必要があるわけです。

 

さて、私を含めて多くの管理者は「もっと営業の進捗状況を可視化して、不足点に手を打ちたい」と思ってこうしたツールを試すことが多いでしょう。しかし、なかなかうまくいかないのにはいくつか典型的パターンがあるように思います。

まず、一つ目の「営業日報をちゃんと管理したい」については、これだけが目的であるならば、まず「SFA」の導入というのはやめた方が良いです。Slackなどの社内SNSを利用して、これで皆が十分きちんと記載できるようになり、もっと「データの管理」をきちんとしたい、という段階になれば、SFAに進行することをお薦めします。

「ちゃんとした日報を書く」こと自体は古い営業部長はいまだにやりたがる人がいる(そういう指導をする70代のコンサルタントも複数知っています)のですが、まったくお金を生まない行為ですし、そうした営業部長が「方法を指導」しようとしても、相手が新人でもない限り無駄な行為です。相手のニーズを感知し、それを言語化して答える能力は年を取ってから経験で身に着くものではなく、最初からできるかできないかがはっきりしています。その上、「お金ください」ということがいけないことだというような生育環境からくる自己束縛は大人になっても営業の態度に色濃く表れ、こういう思い込みがある人は全く売れません。実はノウハウ以前にそうした「人選」の問題の方がはるかに大きな影響があるのに、そこに手を付けないとシステム以前の問題なのですが中小企業では人が限られており、なかなかそれに踏み込めず、結局その人が苦痛に耐えかねて辞めるまで異動等の措置がとれない。SFAはそうした「人選」の問題を解決するほどの力はないので、そこに期待はしないでください。

ただし、進捗を知りたい、課題を知りたいし対策したい、ということ自体は管理者としては当然だと思いますので、商談毎に短文で、いくつかの必要項目を組織内で決めて、報告させればよいと思います。

この方法を採用する場合の落とし穴は、多くの場合「一番売るエースが、一番書かない」ということにあります。一番書いてほしく、ノウハウを提供してくれるはずの人が、こうした「売上に直結しない言語化」を苦手としている。こういう人は雑談がてらインタビューすると、スキルの宝庫で感心させられるので、「それもぜひ会社の資産にしたい」とお願いすると、適当に相槌を打ってくれるのですが実際にはそうはいかない。でも、ちゃんと柱となる数字は作ってくれるので、むやみに評価を下げるわけにもいかない。特に組織が小さいとこうした「エース」に頼る部分は大きいだけに困ってしまいます。こうした「販売の天才」には時々お会いしますが、非常に貴重な存在です。天は二物を与えません。気持ちよく売りまくってもらって、ノウハウは他の人がこの人の付き添いでもして言語化する方がたぶん正解です。

 

二つ目の「営業のモデル化、KPIをベースとしたPDCAの回転」の方は、同じ作業をするグループやサンプル数が一定数以上ないとなかなか機能させずらい、ということがうまくいかないことの一番の背景にあります。たとえば、10人ぐらいで月200ぐらいの顧客にアタックすると部内の比較も、全体の問題点の把握もしやすいのですが、これが3人で20ぐらいだと、営業個人、個々のターゲットの個別具体の話をした方がよく、しかも対面でできてしまう。そもそもメールやEXCELでできないのか?というとできるものです。それが数が多くなってくると仕組み化しないとあちこちにサンプルが散逸するとか、データが統一化されない、という問題が起こりがちなので、「専用フォーマット」と集計の仕組みを作りましょう。というのがこの趣旨の仕組みですので、そこに払うお金がそこそこ大きい場合は、EXCELで「適当に進捗や規模、課題の記載方法を標準化した顧客のアタックリスト」に「各自、金曜日に進捗書いておいて」でダメなのか?というとダメではないのです。これがSFAが中小企業でうまく活用できない二つ目の理由です。

現場の人が試してみると、全部を入力すると営業担当の負担が結構大きいので、部分的にしか機能を使わないで運用する、ということになりがちです。しかし、そのくらいだったら、EXCELじゃダメなんだっけ?というと(バージョン管理が乱れるとか、外部からスマホで作業できない、とかいうのは実はEXCELでも解決可能な方法が最近ではあるので)月に何千円も払うんだったらEXCELでもいいんじゃないか、という結論になってしまう。

 

それでは、逆に中小企業で活用できるSFAとはどんなものなのか?ということも時々考えます。これも、先に述べた「エースは書いてくれない」という問題は解決しないのですが、そうではない人の推進方法という意味に限っていうと、私があるといいな、と思うのは、営業自体というよりも課題の取り組み方を分解(ブレイクダウン)し、それを3か月ぐらいのスパンでどのように進捗させるのかを計画し、毎週それに〇×をつけて計画を修正させる、という「目標管理のPDCAツール」です。これは、適性はあるのに売れない、ということの原因は大きく分けて二つあり、一つは顧客に対するインサイト(洞察力)-これはシステムで解決はしないー、もう一つは準備や段取りの悪さからいつ何をやるかがわかっていなかったり間に合っていなかったりするという問題であり、後者を管理することが可能だからです。

ガントチャート類や、タスクリスト類はいろいろあるのですが、これに適したものというのはなかなかなく、自分やお客様の状況に合わせてEXCELで作成して使っています。いくつか考え方が近いようなツールも最近見受けるのですが、そこそこ高い、ということで今のところはこうしているのですが、もし、5人のチームでこれを柔軟にできるというツールがあれば使いたいし、お勧めしていきたいと思っています。

 

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