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駆ける人と落としたものを拾って追う人

ここのところ、実に地道な経理作業を延々としていました。正直もう嫌になりました。私には向いていない…とおもったところからさらに1か月以上延々とやっていました。その過程で依頼先の会計事務所の担当の女性は実に淡々と膨大な作業をこなし続けました。この人が会社にいてくれればいいのに…そう思ったところから考えました。

成功している経営者は皆、現状を否定しようとします。前回と同じやり方、同じコスト、同じimpactでは満足できないで、そうした前例踏襲的な動きをした人を罵倒したりします。そういう人に仕えると、毎日本当に疲れるのですが、一年経つと、元居た場所からだいぶ高い場所まで登っていることに気づきます。毎日同じ速度で歩いていても、平らな道を選んだ人と、少しの上り坂を選び続けた人とでは大きな差がついてしまいます。それを自分がやるのはもちろんだが、会社のほかの人間にもやらせることができ、結果として組織を高いところへ連れていける人が成功する事業リーダーの一側面です。そして、3人、5人という組織が小さいときには、そういう人が集まると大きな力を発揮できるのです。

でも、組織がさらに大きくなり10人、20人になってくるとその人たちがまき散らかしたものを拾いながら後を追いかける人が必要になります。たとえば、経理や給与、総務の実務がこれの代表的なものです。もちろん、攻めの総務とか攻めの経理とかいうものもあるわけですが、現実には、大して準備もしないでやってしまった現場で起きたことの後始末というのが結構な量を占めています。ここをきちんとやれる人、というのは上の「リーダー型」「突撃型」とは全くタイプが異なる、落ち着いていて我慢強く、仕事が丁寧な人なわけです。野球で言えばキャッチャー、その人が後逸すると点が入る。でも顔も見えないし、すごい勢いでボールを投げられ手はパンパン、時々相手ランナ―が突進してきたり、ファウルボールが股間に当たって悶絶したりする…

何が言いたいかというと、わがまま放題の現場を見守りつつ、全部例外ばかりの処理を毎日数百、正確に判断し入力する、ということがどんなに大変か…たとえば冒頭の会計事務所の担当の女性がそうでした。

いままで、このブログでもそうでしたが、きぼうパートナーは組織を如何にドライブするかという前者の方法論をメインに扱ってきたわけですが、やむを得ない事情で後者に専従してみると、見えた光景はいろいろと違っていました。そして、その作業は進軍ラッパ型のリーダーからは評価されないし、そこでの小さな見落とし、ミスが会社に大変な迷惑をかけてしまうし、普通の実力ではなかなかノーミスでは終えることができず、終わったとたんに謝って回らなければいけなくなるのです。私ってこんなにダメな人間なんだっけと自信も無くします。

こうした「守りの人材」が必要であることは攻めのリーダーにはなかなか認めてもらえません。それが性格、能力などでまた、優れた営業マンと同様に希少なものであることをここのところ痛感しました。

成長企業の皆さん、キャッチャーがいない、キャッチャーがポロポロ後逸する、そんな組織になりかけていませんか?

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