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中小企業の「副業解禁」

今週は夏休み前、そして会社に行くだけで体力を消耗する猛暑の時期ということで、中小企業の「働き方改革」について3つの視点で書いていきます。

最近、同年代の大企業勤務や学校勤務の友人に「お宅は副業は解禁されている?」と聞くようにしています。
ブログネタにされることを警戒されつつ、返ってくる答えは…

  • 学校…全然解禁ではない。
  • 公務員…公的なものは解禁すると新聞で読んだが、その後よくわからないし、国会期間中は無理。
  • 大企業…制度上許可制で解禁になったが、部門の運用上実質無理

日本らしい答えが並びました。…皆さんの会社はどうですか?

私は中小企業も副業を受け入れるべきであるし、社員も解禁するべきだと思っています。中小だからこそだとも思います。

副業人材の受け入れ解禁の3つの壁と破り方

中小企業の一番の悩みは、必要な人材が集まりにくいことです。しかし、それは週5日×8時間働くことを前提としていませんか?あるいは事務所で顔をそろえることを前提としていませんか?もし、この前提を除去することができ、週2回、夕方7時~9時だけ来てもらい、あとは自宅勤務で週1時間×2回、土日に計4時間仕事をしてもらうと週10時間、月40時間です。その人が大企業で年収600万円の人だとして、年2000時間勤務なら時給は3千円です。上乗せして3500円出すと月間14万円の費用負担になります。もし、この金額で自社に不足している人脈やスキルを補充できるとしたら使いませんか?おそらくは使うという経営者が大半でしょう。社内のルーティーンしかやらない30万円より社外の確実に成果が上がる14万円の方がいいに決まっています。

では、なぜやらないのでしょうか?もちろん、これまではそういう人材を探すことが困難だったということはあります。しかし、大企業人材の副業の解禁はこの1年ほどで進行したことですが、大企業を辞めた自営業や起業した人はこれまでもいて、同様の機能の提供を行っていました。(私もその一人ですが)

実は、見つからないからやらなかったのではありませんよね?①社内の制度へのミックスの仕方がわからない。②社内の人員とのコミュニケーションの設計がわからない。③一番深刻なのは、ミッションを社内でうまく定義しそれを切り出し、納期と形態を決めて発注することができない。の3つが大きな壁となっていたのだと思います。そして、この3つこそ、中小企業の20世紀的体質を今の若い人や外国人などの力を取り入れて再活性化するポイントにもなっています。

1番目の社内の制度へのミックスの仕方、というのは考えてみれば簡単です。アルバイトという形態で時間管理のある時給計算でもよいし、想定される見積時間について協議し業務委託契約という形態でも可能です。ただし、アルバイト契約の場合は、「自宅勤務」という勤務形態の時間やシフト管理が労働基準法上必要になります。もちろん、最低賃金の制約を受けます。そして、多くの経営者に言われるのは、「アルバイトに自宅勤務を認めたら、社員にも認めないといけなくなる」ということです。そういう経営者に話を聞くと、「自宅勤務では成果が上がらない恐れがある」というのです。私もそう思います。自宅勤務で成果が上げられるのは実施事例をみていても実は少数派です。多くの人は怠けます。ゲームしながら仕事をしていたり、テレビをつけていたり…しかし、それは実はオフィスでも同じですよ。トイレに行くふりをしてゲームをしている人はたくさんいますし、オフィスにも「やっているフリ」は蔓延していて気づいていないのはあなただけです。ではどうすればよいのか?というと、私はその答えは、「プロセスではなく、成果のみで評価する」ということだと思います。わかりやすい言い方をすれば、「8月1日に1億円稼いでくれれば、残りの30日はパンツいっちょで自宅で寝ながらスマホいじっていてくれて結構」ということです。このことは後でもう一度述べます。

2番目のコミュニケーション設計の問題は、社内SNS-Slack,Talknoteなど-を導入してください。あなたはうまく使えなくても若手社員は上手に使えます。そこにプロジェクトごとのスレッドを用いて、副業人材もそこに参加させればよいのです。そこで、面会が必要だと思えば副業人材側は会社で担当者に会いに来るはずです。あるいは、セキュリティがどうのとか言っていないでSkypeかZoomを会社として解禁してください。PC画面の共有やホワイトボードの共有などがそれで可能です。それで解決できる問題は全部ではなくても相当部分あります。逆にそれを体験したら…社員も「自分もできるはず」と思う事でしょう。

最後の「問題の定義と切り出し、発注」ですが、これが一番難しいです。日本企業は分掌やミッションがあいまいでこれを苦手としている組織が多い。これは、別に副業人材への依頼と言う問題ではなく、社外のコンサルタント会社やIT会社に発注する際にも同じ問題があるのでして、自分たちは何を目指しているのか?から、今の自分たちの達成すべき事項はなにで、そのために今月は自分は何をしなければならないのか?をきちんと定義する、ということができていないと、これを切り出すことが天地がひっくり返るほど大変なことになってしまい収拾がつかなくなってしまうのです。

この、戦略の時間軸、部門間の分割と一貫性という問題は極めて基本的な経営者の管理事項であるにもかかわらず、できていない会社は会社の規模の大小にかかわらずとても多いのが実情であり、それが多くの経営の問題を引き起こす「根本」であることはこのブログでも数多くの機会で言及してきたものです。

切り出しの便法がないのか?と言うとなくはないです。それは多くのコンサル会社やIT会社がやっているように最初の1か月を相手に「問題の切り出しに費やしてもらう」という方法です。しかし、その切り出したものが適切かどうかはその方法では本当の意味では経営者にはわかっておらず、相手の言いなりになっているだけ、というケースが多くあります。そこは丁寧に自社でやるべきだと思いますし、弊社ではそのプロセスをお手伝いすることを得意としています。

実は、この「経営課題を分解して個人・当月という単位に落とし込む」という作業は先ほど言及した「成果主義評価」とも直結しています。何を課題とするか、は成果主義評価では一番大事です。私は、働き方の多様化・ダイバーシティを尊重する組織という時代の流れの中で、組織を束ねる唯一共通の価値観は、「成果にこだわり、成果のみで評価する」ことだと思っています。

ちなみに中小企業でも、副業人材ならば、正社員よりもスキルを持った大企業経験者を雇用しやすくなります。どんな人材を探すかさえ、定義できていればチャンスはあると思います。

自社の副業解禁

そうなれば、思い切って自社の社員の副業も解禁してみてはいかがでしょうか?ただし、この場合でも、残業を評価せず、成果を評価する仕組みは絶対に必要です。そして、全員が有効に活用する、ということは期待しないことです。御社で成績下位の社員は他社でも使われませんので、たとえばパチンコ屋の閉店後の清掃ぐらいしかないかもしれません。職業差別しているように聞こえたら失礼なのですが、実は私は最初に家電店で勤め始めたとき、妻がいるのに手取り14万ぐらいでして、会社に黙って深夜アルバイトしていたのがこれでした…。その後本社に異動して超長時間勤務になってその副業は辞めましたが。

そうではない、上位2割の方は、自分のスキルを活かして他社での経験を持ってきます。もちろん、営業秘密は持ってこれませんがそうではなく仕事の進め方や社内の管理の仕組み、あるいは新しい人脈などを非常に速い速度で吸収するはずです。それは自社の発展・変革に大きく寄与するものになるでしょう。他社で評価される人、使われる人は自社でも評価すべき人です。他社に負けない給与を支払い引き留めるべき人材です。

ビジネスの能力は、経営者は「決断の数」で決まり、マネージャーは、「運用できるレベルで見知っているビジネスモデルの数」「密に接した顧客や部下の数」で決まる部分があります。それを増やすことが自社の費用と時間ではなくできるという意味で有効な人材育成方法だと私は思いますし、もってかえって来たものを積極的に活用するべきだと思います。

いずれにせよ、男性中心で5日×8時間、机を並べて黙って仕事をする、という20世紀のビジネスモデルは、国際化、少子化、ネットビジネスの隆盛とネットコミュニケーションの発展などの社会環境でもはや不可逆的に変わりつつあるものです。ならば、踏み出す体制を整えるべきでしょう。

探し方ですが…それは正社員を募集するのと同じで、自分の特徴と自分の必要としていることを明確にしてアピールするのです。それについてはいつかまた、ご紹介したいと思いますが、もしご関心があればお問いあわせください。

それから「副業をしてみたい」という方がおられましたら、お付き合い先の中から無料でご紹介します。(有料だと紹介業登録がいるもので)

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