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「経費削減分析」プロはこうする

【経費削減分析のお仕事】

 経費削減分析の仕事を大きく分けると半分はデータ分析と仮説の立案、もう半分はそれを依頼していただいた会社に導入していただくための依頼主様社内の調整や依頼主様とその項目の発注先、あるいは新しい発注先との間の交渉の支援、という作業です。

前者は、依頼主様のところに伺って画像で明細を取得させていただき、それをエクセルに転記するところから始まります。大きい会社になると、1万枚を超える撮影を行うこともありますし、エクセルのデータも項目数(列数)が30ぐらいになることもよくあります。その後データを睨んだり、いじったりしてその会社の運用状況の中で一番コストメリットがあり、かつ移行のストレスやコストが受け入れ可能であろうものを第一案として提示する、という作業を行っています。そして、案を見つけることについても実はここまではもうかなりの数をこなしているので、作業自体はいつも大変ではあるのですが、割と妥当性のある案を見つけることはできるようになっています。

ところが、後者のほうはそうはいきません。当初は総論では賛成だった社内から異論が噴出し、あるいは抵抗勢力が生まれたりしますし、既存業者の経営陣への泣き付きや、新規業者への依頼主の無理な要求など、いろいろな混乱が起き続け、必ずと言っていいほどこのまま放置するとプロジェクトはそこで崩壊し終了してしまうのです。こと経費に関していうと、経営陣の誰かが最後までリーダーシップを取り続けてくれる、ということがほとんどありません。それができれば私たちもいくらか楽なのですが、経費というのがそこまで経営陣の重要な関心事ではない、というのが実情なのです。

【真実は細部に宿る】

よく私たちが最初に提案に伺うと、経理部の方に、補助勘定元帳のデータを提供したら、いろいろ分析してくれるようなものだろう、と思われていることがあります。たしかに、多くの会社では経理部でかなりの計数能力を有する方がいて、拠点別、部門別に月次、年次の数値を管理して、そのトレンドや異常値からアラートを出す、という作業をされています。  それ自体は、日ごろの仕訳入力時にきちんと入力しておけば、ずっと有益なデータになる、という経理の基本コンセプトにも合い、追加の作業も少なくて済むので合理的、妥当な対策です。

しかし、ここまで十数回の連載をご覧になった方はお分かりになったと思いますが、私たちが行っている作業は、「経理データ発」ではなく、「請求書に記載されていることすべて」をもとにしています。例えば、同じガソリンの金額であっても、単価や単価のばらつき、頻度、給油場所のばらつきや給油先ブランドなどの情報をすべて総合し、さらに締め払いと建て替え払いの差などをすべて考慮して案を立てます。

この作業は、新たに膨大なデータ整理作業が発生し、なかなかお忙しい総務や経理の方では短期間に実施できるものではありません。我々ももちろんかなりの時間がかかるのですが、ただ、数をこなしてきているだけに、各会社の方が初めてやるのに比べれば数十倍の効率でできますし、どういう項目を整理すればよいのかの勘もわかっているのです。(その項目は、この連載の中でも、着目点として言及しているような項目です。)

その専門的な効率の良さ、というのが我々のような会社に作業依頼したほうが効率良い、という理由の一つです。別の人に転記させるとき、私がよく言うのは、「君は転記しているんじゃない。お客様の利用状況を再現し、理解しようとしているのだ。」ということです。実際、転記してみると、「この会社はこんなことしてるんだあ、苦労しておられるなあ。」というような理解、共感がわかってくるのです。

【どんな方法を使えばどこまで下がるのか?知っていますか?】

多くの会社の担当者にとって、ある項目についての情報源は目の前の業者の請求書に記載されている単価だけです。ネットを検索しても出てくる単価情報はかなり古いものも含まれていますし、法人サービスは価格が多様すぎて実はなかなかズバリの答えというのがありません。  そのため、担当者は、今の伝票の価格を基準にここから少し下げて成果を出そう、という目標設定になりがちです。交渉される相手もそこらへんはわかっているので、この方法は今が底値ではない限り、割と成果が出やすいのです。

しかし、もし担当者が、自分と同じような規模の会社がどんな単価で利用しているかのデータを10社分持っていたらどうでしょう?担当者は、自分たちにとっての適正価格をその10社のうち、一番安い値付近に設定して交渉するでしょう。あるいは、その一番安い値を出してくれているメーカー、営業に、「自分も同じ値段にして」と交渉するでしょう。  なぜ、交渉が難しいのか?については別の機会に稿を分けたいと思います。しかし、こうした経費を削減する、というときに、皆さんの会社の需要な仕入れ品目や原材料ならば詳しい方はたくさんいるでしょう。しかし、電気やコピー機や携帯電話の価格や業界の構造に詳しい方は通常いないはずです。総務は兼任兼任で忙しいのです。

私たちはそれを持っています。だから、現状ではなく、適正価格目標値から案を立案することができるのです。 本連載では、各社が自分で努力すれば経費をさげられるようになるためのヒントを連載しています。それはわたしたちは過去4年ほどで身に着けてきた知識のかなりの部分を公開していることでもあるのですが、そんな種明かしをしたとしても、私たちは存在価値があると思っている理由がいくつかあります。その一つがこの「ゴールを知っている」という点です。

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