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「交渉」の技術

いろいろな場面で会社に勉強させてもらう機会がありました。その中でも、2015年に取得した日本交渉協会認定の「交渉アナリスト一級」という資格は、資格自体は実は何の役にも立たないのですが、その勉強した内容はそのあとの仕事にとても役に立ちました。この機会に簡単に紹介させていただきます。

【まずは考えてみてください】
あるところに仲のいい小学生の姉妹がいました。学校から二人が帰ると、お母さんはお出かけしていて机の上には大きなオレンジが1個、そしてメモには「二人で分けて食べなさい」と書いてありました。お姉さんはナイフを持ってきて、自分の方を多めに切ろうとすると、妹は「お姉ちゃん ずーるーい」と大絶叫。お姉さんも負けじと「あんた、酸っぱいの嫌いって言ってたじゃない」といい返して、収集のつかない事態に・・・
さて、二人はどのように分ければよいのでしょう。

【こんな解答はいかが?】
それから一時間後、お姉さんはキッチンでマーマレードを使ったカップケーキが焼き上がり、オープンからはいい匂いがしてきています。それを珍しそうに見ている妹の手には、搾りたてのオレンジジュース。お姉さんは皮を使ってケーキを焼いてお友達に持って行って自慢したかったし、妹は最近言ったショッピングモールでフルーツをその場で絞って飲ませてくれるジュースを思い出して、実を絞りたかったんですね。だからお姉さんは皮を。妹は中身を取ったんです。
上の喧嘩の少しあと、お姉さんはふと思ったんです。「私は実はいらない。」そして、「あなた、皮はいらないでしょ!」

【交渉学とはなにか?】
名刺に「交渉アナリスト1級」って書くとこの人は無茶ばかり言うハードネゴシエーターなのかと女性幹部に心配されることもままあるのですが、実際には交渉学というのはそういうものではありません。

交渉アナリストで学んだことは、「どっちが多く配分する」の一次元での競争、丸木橋をどっちが先にわたるかの意地の張り合いから、「複数の要素での優先順位をお互いに理解して、その優先順位の差を理解して譲歩できるところ、譲歩してもらうところを探す」という方法に転換するということです。前者は分配型交渉、後者は統合型交渉とも呼ばれます。
例えば、コピー機の価格を下げる交渉をする場合でも、実はユーザーも、代理店も考えているのは「価格」だけではないわけです。ユーザーは品質や、その他の情報提供も加味して考えているし、代理店もその会社の他部門の情報や、その他の商品群を狙っているが情報がなくて欲しがっているなどの情報があり、実は価格、品質、情報提供など多次元間の交渉に明示的に転換することができるのです。そして、そのほうがたいていうまくいき、満足度も高くなります。

では、どうすれば、統合型の交渉をうまく進めることができるのか?ということは講座の中では、簡単に「お互いの情報を公開しあうこと」という程度に触れられただけでした。その後、毎日のように多くの交渉をお客様と、協力会社と、あるいはその両者の間に立って行う中で自分なりにわかったことがあります。
ひとつは、「正直に何でも話した方が、信頼してもらえてうまくいく、相手に関心事や優先順位も明かしてもらいやすい」というように思っています。
もう一つは、こうして得られた関心事項や優先順位こそ、そのあとのその人との長期的な関係構築に決定的に重要である、ということです。

そのほかにも知っておいて普段の仕事の中で意識すると役に立つ知識がたくさんありました。複合機の経費削減のところで記載したBATNAというのもその一つです。
ご関心があるかたは、一度日本交渉協会のwebサイトを除いてみてください。

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