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2018年のビジネス界を振り返る③7月~9月

12月ももう3週目が終わろうとしています。早いものです。一年間のビジネス関連ニュースを振り返る第3回目は7月~9月のニュースからピックアップします。

 


■7月

□佐野文科局長を受託収賄容疑で逮捕、息子の大学入学のため東京医科大学に便宜→東京医科大の理事長、学長が揃って辞意→裏口入学リストが発覚→女性差別問題発覚→他の10大学でも同様の女性差別が摘発されるまで波及

前半はまた悪い奴が見つかった、というだけの政治の話でした。それだけなら私は選びませんでした。しかし、途中で問題の様相は一変します。医学部は大学病院のハードワークを要する医師の養成機関であり、内科、外科を中心とする大学病院のニーズに対し、「出産、育児や体力面で不利な女性は採用したくない」という都合を「女性の方が早熟だから」(順天堂大学)というような明らかにおかしい言い訳で隠そうとしました。

そして、その本質は、大学病院の勤務は時間も内容も異常にハードであるということを男性医師も強要されている、ということであり、さらにはそれを他の日本の労働条件と同等に緩和しようとすると養成定員の問題、そして病院経営に対する人件費の圧迫というところから診療報酬水準の問題、という財政の問題に飛び火すること、さらには地方を中心に人口が減少する中で今その投資をすべきなのか?という国の衰退の問題へのパンドラの箱を誰も明けることが出来ず、ただ表面的に「大学の頑迷さ」を報道して終わるにとどめているわけです。

私の年代でも女性でもすごい活躍をしている方はたくさんいます。しかし、その多くは、「男性並みに下品に頑張る」ことを受け入れた女子だったりします。「女性の活躍」とは、今の40代、50代と同じような働き方を強いることではなく、それを否定した先にあります。そして、そのためには、「1日8時間にこだわらず短時間でも効率的に業務指示できる仕組み」という会社のプロジェクトの進め方、評価の仕組みの具体的な改善も必要ですし、「夜間、土日は不便だったり高くなるのが当たり前、価格転嫁して当たり前」という世論醸成も必要だと思います。そして、それを成し遂げ、優れた女性を有効に機能させることに成功した企業が業績面でも優位に立つのが次の10年の日本でしょう。

 

□スターバックスコーヒーがプラスチック製ストローを世界全店で廃止へ、紙ストローに切り替え

この決定に他のチェーンも次々後追いし、製紙業界は開発競争が急に盛り上がっています。紙だから万事解決なのか?というとそういうわけでもないのですが、国連を中心にSDGsという目標が掲げられ、日本でもすこしづつ目にするようになった一年でした。このスタバの決定も大衆デモに会ったから決めたとかいうのではなく、SDGsに対する行動計画として決めたものでした。SDGsとは「持続可能な開発目標」の略であり、17の目標、169のターゲットが設定されています。従来のESGのような環境問題中心、というわけでも、CSRのような「社会貢献」というわけでもなく、環境、健康、飢餓、エネルギー、平等から平和まで「企業は、市民はどうあるべきか」という広範な規範を定めたものです。

オリンピックに向けてその存在感はすこしづつ大きくなってきており、日本でも多くの方が着目するようになりました。2018年はヨーロッパではESG(環境にやさしい)銘柄として評価されることが市場での資金到達の一条件として確立された一年でした。それらを包括してさらに大きな枠組みで企業の社会的責任を位置づけるものとして、SDGsは2019年注目のビジネステーマです。

 

□出光と昭和シェル石油が経営統合で合意

「海賊と呼ばれた男」の系譜の創業家の強硬な反対に会い進まなかった統合がようやく実現することとなりました。「出光」の家族的企業文化を守りたい、という創業家の思いはとてもよくわかります。「企業文化」というのは、空気のようで実はその会社を決定づけているとても重要な要素です。サントリーがキリンとの統合をあきらめたときにも「文化」の違いが話題になりました。しかし、石油業界はなかなか「文化」が効きにくい…品質の差もないし、投資規模はより巨大です。従業員のことを考えればこそ、最後に「普通」になることを選ばざるを得なかった創業家には本当に同情します。3年後、5年後にどうなっているんだろう。そして、一人残されたコスモ石油はどう進むんだろう・・・

 

□IR法案成立

これも、新産業系ということでそろりそろりと日本でもスタートします。深センにいるとき、となりのマカオにお客様をご案内することが何度がありましたが、カジノそれ自体、それから周辺のホテルやレストランでの雇用創出力というのがかなり大きいものがあります。また、ディーラーの養成学校、富裕層の送迎など周辺産業もかなり大きいものがあります。総中流を良しとする日本ではなかなか大きな声では言いずらいことですが、いわゆる「富裕層」の購買や消費というのは、一般の人の何千倍という規模感であり、経済面での投資対効果は実は、「富裕層」をターゲットにした方が大衆相手よりもはるかに高いのです。

 アジア諸国には、普通の日本人がびっくりするような大金持ちがたくさんいます。そういう人たちに日本に来てお金をつかってもらうことで日本が潤う、そうしたことを考えないといけないぐらいに日本は追い付かれ、相対的に貧しくなっている、という認識が経営には必要です。それがわかって、「アジアでの富裕層の取り合いに勝てる産業集積を行う」というところにきちんとフォーカスし、そこに見合うサービスをエコシステムとして取り揃えれば事業としては魅力的なものになると思います。今でもないわけではないのですが、「世界の富裕層に特化したサービス」を日本で急ぎストックしていく、という流れが今後(大衆に叩かれないようあまり目立たないように気を付けながら)強まるでしょう。

 


■8月

QBハウスが1,200円に値上げ、人手不足から

年末になり年末年始を休むチェーン店、というニュースが今年も出始めていますが、そのほかにも十分な人手確保のための値上げ、というニュースが昨年ぐらいから多くなっています。きちんと値上げして従業員をある程度固定化できた方が持続可能です。理美容なんて特に技術だけでなく、接客力のある人は貴重ですので、安いところは、いい人材がいかないところ、という見方もできます。

問題は、そうでもない業界。実名を挙げると差支えがありますが、たとえば牛丼チェーン。同じような事情で値上げすると客数がそれ以上に減ってしまい、また値下げでカンフル剤を打つ、ということが常態化し老司同条件を改善でいず外国人従業員が増えていく。FCチェーンの場合はさらに、それの割は本部以上にFC各店が食わされて余計苦しくなる。500円を切る駅の近くの外食産業なんて持ち帰り中心でもない限り健全でないに決まっています。人を使い倒すようなビジネスの仕方は見捨てられ淘汰されるのが本来の姿です。

1件当たりの粗利を3倍にして、件数は半分にする。そして社員の給料はすこしだけ上げる。それがブームになってくれないと貧困スパイラルは止まらないと思うのです。

 


■9月

□ルネサス・エレクトロニクスが米半導体大手「IDT」を買収、買収総額7,000億円

言わずと知れた国策半導体メーカー、そして船頭多くして船進まず、今話題の「産業革新機構」へ持ち込まれてどうなることか、と一時はさんざん批判されたのですが、実は2014年3月期以降黒字転換し、最近では車載市場の開拓など攻めに転じています。母体企業から引き継いだ工場を売却し、従業員を減らし、母体となった日本の家電メーカーの垢を落として、さらには汎用品の半導体サイクルの呪縛から逃れるために自動車メーカーからの出資を受け、ここ2年は巨額のM&Aを仕掛けて成長にチャレンジする姿に、「日本の変わるべき道」を見ます。

さあ、次は、ジャパン・ディスプレイ!(変化の兆しが見えない)

 

茨城県庁で決済ハンコ電子化、ドワンゴ出身の茨城県知事-大井川和彦氏が推進

個人的には、今年のビジネス界で一番注目すべきニュースの一つだと思っています。4か月ほどでほぼ100%を実現したということで、トップが変われば組織は変わる、という良い例であるし、省スペース、スピードアップ、ことし問題になった改ざん防止、検索の容易化などのメリットがあるわけで、税の有効活用という面でも大きな効果があるはずです。大井川知事は、経産省にいるときから内心、無駄だと思っていたんでしょうね。

他にも契約手続きや受発注、日常の購買など「役所のしがらみ」で解き放てばスピードも上がり、コストも下がるものはたくさんあります。そして、それは地域経済を効率化する起爆剤になり地域を変えていきます。

 

来週で今年も終わり。来週は残る10月~12月について整理しようと思います。

 

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