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経営者のための経理入門⑤~結局最後はあなたが頼り

経営者のための経理入門シリーズは今回が最終回です。私がこの記事を書き始めた背景については初回に、とある会社で猛烈に経理実務に追われている最中だ、ということを書きましたが、実はもう一つ、というか続きがあります。

私は、ご協力している会社の発展に必要なことならば、営業でも経理でも一度は代行します。しかし、それをずっとやるつもりはありません。自分でできないことは他の人にもできないし、自分にできることは他の人にもできるはずなので、傍観していないでやってみる、そして実際にどうすればいいかを見出して解決策を迅速に作って引き渡す、それが私の理想とする経営コンサルタントの姿です。一般論で片付く事例など、実際の経営にはひとつとてない、だからやってみて調整するところまでが仕事である、と思うのです。

しかし、毎日毎日経理処理でいい加減頭の奥が重く痛くなってきてしまい、SNSでふと、「経理いやや、苦手や」という愚痴を漏らしてしまいまして…経理系のそこそこの仕事を失注しました。いや、その「作業」を請け負うことをメインにするつもりはなかったので、このこと自体は私は気にしていなかったのですが、同時に、「結構大変」と言っている経理作業も、実は業務の仕組みを変えればそれほどではないのではないか、ということを担当会社様の事例で実証できつつあったので、「私に再設計を依頼すれば、そのあとの業務経費は1/3にできますよ。」ということを言えるようにしてやろう、と思ったのです。
舌禍は昔から多いほうです…

現在の多くの会社の経理業務は、営業と経理、支払業務と記帳業務、財務と経理などの間で情報の分断による劣化と業務重複と情報の不一致が散在しています。これは、経理の専門性故に必要なものが営業と相違していること、それに加えて税理士事務所という外部セクターが存在し記帳のみにフォーカスした要望をすること、その上経営者がその業務設計に会社の初期の段階から加わらずに放置していることが原因です。

私自身、いままで人任せにしてきたその会社の経理改善をいざ自分でやり始めてみて、その内容の傾向や上がって来る申請のばらつきや各部・経理担当の知識や精度管理状況を具体的に知って、初めてどうすることがこの会社に一番なのか?ということを具体的に知ることが出来ました。

それに加えて、ツールの特徴、欠点というのもカタログベースで知っている程度では業務フローの構築改善には使えなくて、このサービスのこの機能を使えばよい、というようなことをかなり細かく、そして体験的に知っている必要がある、ということを最近改めて痛感しました。今回の件で相当マネーフォワードクラウド会計シリーズには相当詳しくなりました。


優れたツールのCMが最近では盛んに流されていますが、ツールを導入するだけでは作業は減りません。それを利用して重複作業の整理や情報伝達精度の改を意識的に行うことが必要なのです。本当の業務改善とは、経理だけでなく、他のものでもそのようにして始めるものであり、外部から何か完成品が持ってきてもらえるものではないはずです。

経営者の方は当然、会社の方向性の決定や提携・資本政策などの上位レイヤーの仕事を多くしていたため、こうした現場の精度、作業の実感というのがなかなかない、あるいは遠ざかっている方が多いようにも見えます。もちろん、私のように2か月ずっと伝票処理しているわけにはいかないのですが、実際に現場を見て個別の処理、帳票、決済を具体的に見ると、流れている情報があいまいだったり、判断が適当だったりという不都合な現実を目の当たりにするはずです。そのリアリティに対する憤りのようなものが経営の体幹を強くする推進力になります。指示だけではなく、経営者のチェックがそのような粒度で時に行われることは、社員の間にも緊張感を生み、データ、判断の精度を改善していきます。その情報が、経理部にはいろいろな形で集まってきています。

だからこそ、経営者は経理部で伝票と申請を具体的に手に取ってみる、ということを通じて、経理部にコミットするべきです。

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