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中国で会社経営 トンでもあれこれ①

中国で会社を経営していると日本では信じられないようなことがいくらでも起きます。そういう話は面白がってもらいやすいのですが、実はそこにも本質があります。この話題だけでおそらく10回分の記事にはできると思うのですが、今日はその1回目 電気関連ばかり集めてみました・・・

1 電気ドロボー!

私が赴任していたビルは、4階建てで、1階、3階、4階を所有し、2階は当初は印刷会社、その後武装警察系の企業が入居していました。赴任して間もないころ、各費用明細と実物をチェックすべく、建物の配電室に入ったところ・・・すごい蜘蛛の巣と埃。でかい蜘蛛にびっくり。ここでたじろいでは、何も解明できない、と全身灰色になりながら進むと配電盤から明らかに異常なむき出しの配線が伸び、それが窓の窓ガラスを一部割る形で外に出ています。「これなんだ?」「ブツダオ~(知らない)」という会話のあと、外へ出ると、その配線は2階へ伸びています。いわゆる「盗電」です。

2階の総経理に面会を申し込んでも出てこないので、本日18時で遮断するとの文書を作成し社印を押して担当に持って行かせると、下っ端が面会に来ていろいろ言い訳していました。とはいっても、武装警察関連企業では気を損ねるとどんな言いがかりをつけられるかわかりませんので撤去だけして、あとは工業区の総経理に副総経理と報告に行きましたが、工業区側も手出し無用との空気を私にはわからない以心伝心で副総経理に伝えていました。

いつから盗まれていたのかはわからずじまいなのですが、統計を昔にさかのぼって取ってみると、明らかに電気代が増えたギャップがあり、それはその企業が入居したタイミングと一致していて、そのギャップは月間50万円にも及びました。

 

2 計器不良で遡って請求!

上から数か月後、上の担当と同じ担当が「報告がある」といいます。工業区の電工と配電室を点検したら(以前は全然しなかったくせに)、計器が正常に作動しておらず、ピーク時間帯の使用量が0になっていた、というのです。確かに明細を見ると0なのですが、日本でも管理部門にいて、電気料金の体系がいろいろあることを知っていたのでうちは、ピーク時料金を取られない料金プランなのかと思い込んでいました。数日後、中国人最高責任者の副総経理が憂鬱そうに部屋に入ってきて、「総経理!」とだけ言って紙を見せるとそこには、「遡及して請求したい。そのための協議をしたい」と書いてあるではありませんか!そっちのミスだろう、と思うわけですが、慌てて規則を集めると工業区の規則には計測ミスに関する記載は何もなく、行政区(市)の規則を見ると、「何等かの原因で請求が行えなかった場合、判明したあと遡及して請求できる」と書いてあるではありませんか!

1986年から20年分遡及されては大変ですので、法的処理に持ち込むかどうかを社内で協議しました。私は法的処理もやむなしと思ったのですが、副総経理が工業区の電気を担当する副総経理と食事に行って、3か月分におさめてそこで妥結したのでした。勘のいい方ならもうお気づきでしょう。1も2も担当が黒幕であり、真面目にチェックしコスト削減を図る私に対する妨害行為だったのです。そして、計器が作動していない、というのも、ずっと昔、中国が開放路線をとり、外資を勧誘したころに工業区が会社に提供した「便宜」であり意図的に請求されていなかったものだったのが、私が来たことが引き金になり、もちろんいつかは是正しなければならないが、もう20年も工業区に居続けている会社でそのタイミングがなかったので、このタイミングで是正されたというものなのです。

実は、この手の「昔はなあなあで払わないで済まされていた」というものが21世紀に入り、やはりそれでは済まされなくなり膨大な支払い債務が発生するという事例はほかにもたくさんありました。税や社会保険でも一部これがあり、巨額の請求可能性が表面化する度に都度、政治的解決を副総経理と中心とする「党員」が党人脈で計って少額の負担でなんとか免れて以後正常化する、そして手打ち式に私が出席する、ということが何度もありました。最初の一年はそうしたリスクがもう他に潜んでいないかを一つ一つ関連法規との差異を担当の力を借りながらチェックするという日々が続きました。

 

3 計画停電!

私が赴任していた2004年~2009年、深セン市では週1日、工業区ごとに交代制で平日休みが強制されていました。電力不足がかなり深刻でした。やがてそれは2日になりました。中国に依頼してしても特急でサービスがしあがる、ということを売り物にして徐々に上がる労務費を上回るスピードメリットと品質を提供して日本の競合企業との競争に勝ち抜く、というのが私の経営方針でした。

日本のお客様はそんなことはわかってくれないわけで、普通に依頼が来るので、こっそり一部を出勤させて対応するのですが、見回りがきて、やがて工業区の配電設備側で送電が切られてしまうのです。全部のCADマシンにUPSをつけて、毎週作動確認するのですが、400台もあると、それでも毎回正常に作動せず1,2台は女工の悲鳴が上がります。近くの会社は大型の発電機を作動させているところもありましたが、私のところはそんな余裕もなく、露店が使っているような小型の発電機を調達して、それから配線を引っ張り、20台程度を作動させて最低限の対応を進めました。空調も照明も効かない華南の夏の思い出です。

実は、そのころ工業区の電気担当の副総経理のお嬢さんが結婚されるということで、日本から人形を取り寄せ、1888元のお祝いとともにプレゼントし、そのあと20台だけ稼働させてほしい、と頼み込んだことがあります。何週かはそれで救われたのですが、工業区に市の電力当局から視察があり、メーターが動いているビルがある、と見つかってしまいそのあとはもう融通利かせてもらうことはできませんでした。

この停電、送電容量が不足しているということで3年ほどは相当深刻な状況でしたが、2010年にはほぼ解消しました。

 

外国で会社を運営すると、こうした日本では想定外の事態が毎日起きることを力づくで抑え込んでいくことが必要になります。しかも、中国の場合、一応規則や調整制度を調べて対策を考えるわけですが、それは交渉の代替策の準備でしかなく、最終的には地域と社内の党人脈の日頃のコミュニケーションの密接さの中で、先方の顔をつぶさない着地点をお願いする、ということが必要になります。日本人が総経理でも、そこは現地の政治的力を持つ幹部に頼らざるを得ませんし、彼らが見出した着地点は日本側がいかに文句を言おうが日本側に飲ませるしかありません。

好評でしたら、こうした「事件簿」はいくらでも書けますので、また掲載します

 

 

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