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経費削減講座12 水道代

今回は水道代についてご説明します。多くのエリアでは下水道代が浄水使用量に応じて徴収されますので、これもセットです。

水道代が多くかかる業種は限られています。工業用に大量に使うケースを除くと、たとえば洗い物を行う飲食店では月間5~10万円、入浴設備のある宿泊設備や介護施設では10万円以上、変わったところでは散水の多い園芸店や洗車機を使うガソリンスタンドも多い傾向にあります。

【飲食店の洗い場では】
 2015年頃までは飲食店向けの節水提案というのが大ブームでした。これは空気を混ぜて脈動流という洗浄効果の高い水の流れを作り出すことのできる蛇口に取り付けるタイプの節水器具が各種発売され、これを取り付けるだけで簡単に節水ができる、というものです。実はそれ以前に旧世代の節水コマを導入された店舗の多くに担当者は使用感の低下に悩まされていましたが、ここを改善した、という点で優れた商品でした。ただし、この商品で改善できるのは、たとえば厨房の洗いものを行うための水栓だけです。
 実は最近、この案があまり採用されるケースが減っています。それは中小の飲食店にも業務用の食洗器の導入が進んでいるからです。こちらのほうがさらに節水効果が高く、昨今の人手不足の中、それを緩和する効果もあるということで、2017年に担当した飲食店ではほとんどが導入済みで節水器具提案は不要でした。食洗器の機種も各社が力を入れて増え、低価格機も増えているようです。
 こうして削減手法の潮流は変わっていくのだなあ、と思わされる出来事でした。

【多くの個所をすこしずつ】
 しかし、水を使うのは厨房の洗い場だけではなく、たとえばシャワー、トイレ、手洗い水栓などもあります。こうした個所を少しずつ削減してトータルで減らす、という手法ももちろんあります。最近ですと、関東の鉄道会社がたくさんあるトイレでこの取り組みを進めているそうです。
 この場合、水栓の中に節水コマを埋め込む方法を採用することがほとんどです。節水コマというと悪いイメージを持たれている傾向があるのですが、あるメーカーの商品は水の勢いを維持する仕組みがあり、使用感を損ないにくいようになっていますし、その箇所ごとに、絞りすぎて使用感が悪くならないような適正流量を確保するように流量レベルを何種類も用意しています。そのため、調査もかなり徹底しており、あるホテルの対応をお願いしたときには、調査に1週間かかりました。
 この方法は今でも未対策のホテルや、大型施設では大変有効であり、地道ですが着実に効果がでる方法だと思っています。

 ただし、トイレでは旧式の大量に水を使うタイプは実は最新型の節水型様式トイレに替えてしまう方法が、一番効果が高い、というのが実情です。

【えっ そんなことが、という方法】
 ある介護施設では、水道代を数分の1にすることができたそうです。しかも上のどちらの方法でもありません。(上の方法はそれ以前に実施されていました。)療養型の介護施設や寮などでは実は水道局との契約方法を見直すことで大幅に水道代を下げることができることがあります。(これができる地域や施設形態は限られています。)この方法はあまりここで公開するには向かない、敏感な問題を含む方法ですのでここでの紹介はこの程度にとどめますので、ご関心がある方はお問合せください。

【井戸を掘る】
 たとえば、染色工場やスーパー銭湯など非常に多くの水を使う場合には、エリアによっては地盤沈下抑制のため規制があるものの、井戸を掘って地下水を利用するという方法があります。(温泉を掘る話は別です)これは地下水位がそのエリアでどの深さにあるかで費用が変わってきますが、水道代を劇的に下げることが可能です。
 それよりもさらに大きな工場などでは、水の浄化循環を行うなどして環境負荷を抑えながらコストも抑える工夫をしているところもあります。また、中水という言葉が一時期はやりました。これもトイレに流す水などは、こうした再循環水を使うという考え方です。雨水をこれに利用しているところもあります。これらは規模が大きい話なので、ご紹介まで。

【下水道代だけ下げる】
 ほとんどの施設では、上水道管に水道メーターが取り付けられていて、下水道管にはありません。下水道料金はほとんどの場合、下水道使用料単価×上水道使用量で計算されています。つまり、上水道使用量と下水道使用料が概ね等しいという前提があるわけです。しかし、そうではない、という根拠がある場合、これを適正化するよう水道局に申請することができます。たとえば、大量に散水しているとか、工程上蒸発させているとか、です。どのくらいが下水道に流されずにロスとなっているか、あるいは下水道の実際の使用量がどれくらいかを計測、計算し届け出るような方法です。
 この方法は、調査が難しくお金がかかるので、水道使用量が多く、かつ上水道と下水道の使用量の差がかなり大きい場合には向いた方法です。

 今回の話題は、普通のオフィスや飲食店以外の中小の店舗様にはあまり関係するところがなかったかもしれません。ただ、世の中には様々な方法が実は存在していて、知っていると知らないとでは大違い、ということが経費削減ではいろいろな場面である、ということを知っていただければ、と思いご紹介しました。

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